「加害者も被害者も生まないために。坂道を転げ落ちないように支え、踏ん張る存在。」前科者 スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
加害者も被害者も生まないために。坂道を転げ落ちないように支え、踏ん張る存在。
本作は前科者に寄り添うことを信条とし、奮闘する若き女性保護司の物語だ。
保護対象者の更正の為、真正面から体当たりし、お節介が過ぎる様は少し心配になるほど。
そんな彼女が新たに担当するのは殺人罪で仮釈放中の受刑者。
あと少しで刑期を終えるという矢先に彼と関わりの深い人物を狙った連続殺人事件が起こり、
彼自身も失踪。容疑者として警察にマークされてしまう。
保護司として何もできないという葛藤の中、それでも彼女は保護対象者の更正のため、奮闘する。
「正しく」あり続けるということは勾配を落ちないように踏ん張ることだ。
人によって斜面の角度が急だったり、掴むものがなかったり、滑りやすかったり、蹴落とされたり、、
それを「止めているもの」があるから、何とか一線を越えずに踏みとどまれているにすぎない。
本作を見て、登場人物の言葉を聴き、そんな事を考えてしまった。
世間の目とか法律や道徳なんてものは抑止力として実に心もとないのだと。
感情にかられ、自分自身が呻き苦しみ泣き叫んでいる声が聞こえなくなった時が一番危うい。
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