「岸義幸監督による社会派ヒューマンドラマの佳作」前科者 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
岸義幸監督による社会派ヒューマンドラマの佳作
この映画を観たのは、あの『あゝ荒野』の岸義幸監督作品だったからだが、仮釈放者の更生をサポートする保護司の女性を描きながら、彼女の成長物語であり、社会における人間の在り方をも描いた社会派映画の佳作であった。
コンビニ店員として働きながら保護司の仕事も懸命に行う阿川佳代(有村架純)は、前科者のために奔走する日々を送っていた。
その中の一人、工藤という男は順調に更生していくように見えた。そんな工藤だったが、保護観察終了直前に姿を消してしまう。
そんな時、交番の警官が襲われて拳銃を盗まれる事件が起こる。
そして……と物語は続いていくのだが、序盤は「こうした保護司の姿を描いていくのかな?」と思っていると、警官の拳銃強奪事件から次々と殺人事件が起こって、俄然盛り上がる展開はさすが!
犯罪を犯してしまう人間、被害者となってしまう人間、そして保護司となった女性、誰もにそこへ至るキッカケや動機があるということを、過去の回想シーン含めて描くあたりも見事である。
出演者も、主演の有村架純だけでなく、磯村勇斗、宇野祥平、石橋静香、リリー・フランキー、木村多江など豪華メンバーは、岸義幸監督作品だからか…。
見応えのある社会派ヒューマンドラマであった。
公開2022年の作品。
<映倫No.122646>
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