「森田さん、若葉さんを見る作品」前科者 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
森田さん、若葉さんを見る作品
仕方ないのですが、スーパーマン物は苦手です。普通に仕事して生活してる中でのやるせなさ、絶望、不条理、ほんの少しの救いがあるからドラマとなり、人間のゲス部分も光も見えるもんだと思ってるので、職業スーパーマンが出てくると一気にエンタメ色が強まって気持ちが引くのです。え?そこまでできるの?ってか、やっていいことなの?って。だから、僕は邦画の大規模商業映画が、苦手なんだろうな。冷めた目で見ちゃうひねくれモンですよ。
さて、本作は森田さんと若葉さんで成り立ってましたね。彼らが本作に説得力を生んでくれたと思ってます。原作の漫画(かな?)は未見です。原作通りかどうかはわかりませんが、本作は保護司にフォーカス当たってましたが、紛れもなく森田さん、若葉さん演じる前科者の葛藤がメイン。見事に演じきっていたかなーって思ってます。ですが、お話の内容が兄弟の葛藤が軸になっていてもおかしく無いのに、保護司の葛藤や成長、スーパーマンぶりをメインにしてしまったため、一気に薄い物語になってしまっていると思います。それをメインにしている割に、保護司の描き方が薄い。過去の経験の上に保護司の今があるのでしょうが、闇と葛藤の深さが半端ない兄弟と相対する熱情がどのように作られたのか?が見えてこないのです。「ごっこ」から「本物」への移ろいの理由が見えないのです。申し訳ないですが彼女がただ、ただ、能天気。自己満足女子にしか見えなかったのです。「あんたみたいな人が〜」のセリフの「あんたみたいな人」がようわからんのです。ただ感動させたいがためのセリフにしか聞こえないのです。もっと知りたかった。彼女の闇を。光を求めなければならなかった理由を。そこが十分に描かれていないからクライマックスのやりとりも軽く見えてしまう。
あと、大規模商業映画だから仕方ないのでしょうが、気に入らない展開があり引いてしまいました。微妙にちょっと踏み込んだラブシーンいる?いらないでしょ?売上上げたいためだけのカットなんじゃない?不自然だし。さらに、涙欲しいだけのフラッシュバック映像のダダ流しもやめてほしいです。同じく冷めていってしまうんですよね。
森田さん、若葉さんの熱演でプラス1の3.0です。