「良い映画だけど、情報量が多かった。」前科者 tackさんの映画レビュー(感想・評価)
良い映画だけど、情報量が多かった。
WOWOWのドラマがAmazon Primeで配信されていたので、しっかり観てから映画館へ。
保護司については、それまで全然わからなかったけど、ドラマは映画のプロローグ的な感じで、そこそこ面白かったのでかなり期待度は高かった。
前科者を扱うなんて、個人的には大好きなジャンルだが、この映画は少々情報過多のように思えた。
まずあまりにも事象が多すぎた。最後、工藤(森田剛)が接見する弁護士を襲おうとするシーンとか『あれいる?』という感じだった。そこまで詰め合わさなくても伝わるのになあ、と思った。
あと、登場人物の背景が濃すぎて、現実離れし過ぎてて感情移入がいまいちできず。
保護司、佳代(有村架純)と警察役の滝本(磯村勇斗)の関係性とか、ちょっと重たい。
後は、セリフが少し多いかな。観る側に推測させることなく全部言葉になりすぎている感じがする。
特に工藤(森田剛)が弟・ミノル(若葉竜也)をかばって自分の痕跡を残したことなんて観てる側なら誰でもわかるのに、刑事が『なんでまた?』みたいに問いて、他の警察が『弟をかばおうとしたためでしょう』と言う。これ、要らないよなあ。
という感じで、もう少し余韻や憶測を楽しめたらもっと良い映画だった。
素晴らしかったのは若葉竜也。今泉力哉監督作品でよくあるような若葉竜也とは違い、
悲しく辛い人間を完璧に表現していた。無精ひげを生やしているイメージがあったが、最初の登場シーンで、少しニュートラルな感じの声色や、怯えているような目、本当巧かった。
もっと主演とか増えても良い役者だ。
森田剛の最後の涙も良かった。『ヒメアノール』とはまた違った役だったが、多分こういうちょっと暗い感じだったり、闇を背負った役は彼に合うのだろう。