劇場公開日 2022年1月28日

「前科者を人間へと生き返らせる手助けをする聖母」前科者 あささんの映画レビュー(感想・評価)

4.5前科者を人間へと生き返らせる手助けをする聖母

2022年2月1日
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元受刑者が出てくる作品などで普段はメインのお皿の添え付けの料理ぐらいにしか描かれていない「保護司」が今回のメインディッシュ。私は単純に「前科者が保護司によって更生再生していく話」だと思っていた。だけどこれだけなら30分ぐらいで終わるだろう。一筋縄では物語は進まない。

阿川が無事に娑婆に送り出した元受刑者、刑事、弁護士などなど彩り豊かな人を揃えてサスペンスとロマンスひとつまみ、友情を少々加えての130分の大作へと昇華。

料理に例えるのも変だけど、“保護司”というメインディッシュに前科者の再犯、犯罪者達の悲痛な生い立ちや背景、社会的弱者と強者、さらにDV問題や養護施設での虐待などという重くて暗いものが幾つも乗っかっている。

前科者工藤誠と弟の生い立ちや回想シーンでは胸が締め付けられ、まともにスクリーンを見れなかった。「お願い、もう止めて!」と見ているこっちが叫びたくなるほどだ。

ちなみに保護司とは国家公務員である一方で無報酬という名ばかりのボランティア活動。それにしてもこれほどまでに尊い仕事が無報酬なのはどうしてなのだろう、、)。なので定年退職して時間のある人又は、よほどその仕事に対しての強い思いがないとできないはずだ。まだ20代の阿川がコンビニのアルバイトをしながら保護司という仕事に人生を捧げる理由も描かれており、本作の重要なテーマと登場人物とも大きく関連している。

前科者を普通の生活に戻すには様々な問題がある。
だけど結局人が求めているものは人の温もり。
「気持ちに寄り添う」そして抱擁すること(それくらい寄り添うってこと)が一番大事なのかも。意外とシンプル!

キャスト陣も実力派が大集結。森田剛と若葉竜也の兄弟の演技には驚嘆しかない。工藤誠が憑依したかのような森田剛。抱きしめたくなるほどの儚さ、今にも消えそうになるほどの弱さはそう簡単には出せないだろう。(森田剛は年取ったなぁと驚いたけど、色気がある)。今泉力哉監督作品で常連の若葉竜也の演技にはさらに上を!途中まで若葉竜也だと気づかなかったほど、なんて凄い俳優なんだ!

見終わった後には自分の心が分厚い雲でずっと覆い被さっている感じ。だけど、うっすらと陽の光も差し込むような希望もある。色々と考えさせられ、余韻も半端なかった。

明るい映画ではないので、日中のできれば晴れた日に見るのがおすすめかも。

マキ
NOBUさんのコメント
2022年2月1日

ノープロブレムです。
そういえば、最近活躍の場が増えている若手演技派、若葉竜也さんも、哀しき男を演じきっていましたね、では。

NOBU
NOBUさんのコメント
2022年2月1日

今晩は
 DV夫には、天誅を加えて欲しいですが、リリー・フランキーさんが弱弱しい更生したと思われる演技をしていたので・・。
 保護司の方は、あんなに尊崇な仕事をしているのだから、ボランティアではなく、旧貴族院の参議院の人数は1/8にして、衆議院も1/4にして、議員特権もすべて廃止し(特に、国会議員の隠れた年収とされている文書通信交通滞在費は、関東圏の議員は廃止、遠方の議員は領収書提出により、実費支給(民間企業では当たり前)などして、保護司の方の手当てに回して欲しいなあ。
 あと軍事費ももっと、削れないかなあ・・、などと思ってしまいました・・。
 では。

NOBU