ジャッリカットゥ 牛の怒りのレビュー・感想・評価
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今年一番の衝撃作
インドのある村で、牛が暴れてめちゃくちゃになるというシンプルなプロットなのだが、とんでもない化け物みたいな傑作だった。世界はでたらめに動いているんだなと強烈に納得させられてしまった。
物語の進行は全く秩序だっていない。牛が暴れる、男たちが狩りに乗り出す、男同士の遺恨があったりして村人同士でもめまくる、牛が穴に落ちたので、なんとかロープで持ち上げる、最後に大勢の男たちが次々に山のように重なり出して、映画は終わる。近代の人間社会の秩序がここにはない。そういう秩序ある社会で生きる私たちの理解の外にある何かが、この物語の中で進行している。むき出しの蛮性と無秩序が映画全編を支配しており、なんというか、人間の原初の形態に近いなにかを見せられたような気分になった。この映画はギリシャ神話みたいなものに近いのだと思う。善悪ではなく、混沌の暴風。
とにかく、今年一番の衝撃作だ。
一匹の牛に“人間の皮”を剥がされた1000人の獣
高橋ヨシキさんがYouTube番組の中でおススメしていて気になっていた作品をゲオで見つけたので早速レンタルしてきた。
正直、登場人物の顔の区別がつかず、最初から最後まで誰が誰か分からない状況の中、通常のセオリー無視の撮影と編集で何が何やらと混乱しているうちに、物語は収拾のつかない大騒動に発展。
クライマックスの群衆シーンは、まさに地獄絵図。
小さな村の肉屋から逃げた牛を追うというだけのシンプルなストーリーだし、化け物じみた大きさとか特別狂暴とかではなく、ごく普通の、むしろ痩せっぽちの牛一頭に翻弄され、やがて常識や倫理、建前と言う“人間の皮”を剥がされ欲望剥き出しの獣に戻っていく1000人の村人の姿に普遍的な人間の本質を見てしまう。
いや、そんな難しいことは置いておいても、2000人のエキストラが松明やライトを持ちながら暗い林の中を駆け回る絵面だけでも見る価値あり!
ポスターに騙された感
動画配信の有料コンテンツで鑑賞。インド料理屋でポスターを観た時には、かなりの衝撃作かも…と期待したけど、どんな視点でどこに感情移入していいやら最後までブレブレな気分のままで、入り込めずに終わりました。そもそも牛、怒ってるように見えないし、あの程度の暴れ牛をあの大人数で捕獲も制御もできない理由がわからん。カオスを狂気ととらえるにはカオス度も中途半端だし、笑うにも笑えん。映画館で観なくてよかった。
園子温監督、狂気とはこのことだ
人の持つ狂気にただただ圧倒され、色んな感情がグルグル渦巻いて、堪能させられました
園子温監督、狂気っていうのはこういう事をいうんですよ
”プリズナーズ・オブ・ゴーストランド”のクレイジーなんて嘘っぽいペラペラだって事ですよ
全般が退屈だっていう人が居ますが、謎だらけで興味津々でした
インドで牛肉を食べるのはヒンズー教徒以外の2割だけです
村の連中はみんな牛肉を食べてるんだから
えらい偏った少数の人達の話が映画になるんかと思いますが
インドは人口が多いから2割でも2億人
日本の倍の人口です
その2割はイスラム教とキリスト教の人達になるんですよね
調べてみるとケーララ州はインドの最南端の西側の細長い地域で、やはりほとんどがイスラム教徒とキリスト教徒みたいですが
彼らが宗教に関わっているとは全然思えないのも謎です
協会のカャッサバ畑がててくるんですが、個々の精神的な関わりの事です
インドの事情がさっぱりわからないのですが、ヒンズー教のカースト制度は生まれながらに身分が決まってしまうため、低い階層の人がイスラム教やキリスト教に改宗する傾向にある事は聞いた事があります
ちゃんと教育を受けていない人達が餌につられて入信しただけなのかな?なんて想像してみたり
日本人には全く理解できない人達
まず、一般人がちょっとした事でつかみ合いや殴り合いを始めるんだ
海賊や山賊じゃあるまいしね
かと思えば、頼りになる男が出現すると、中学生のようにみんなで連呼です
カルチャーショックの連続
唯一理解出来たのは
確執のある二人の男の殺し合い
これはいかにも人間的だから
彼らは宗教どころかちょっとした事で本能丸出しになる
はっきり言って人というよりケモノですね
扇動なんて必要ない
ヒトラーもジョーカーも真っ青
勝手に狂って集団で自滅するんだから
勝手に川に落ちて集団自殺する鹿の群れみたいだ
ヒトは特別な物ではなく、大脳皮質がちょっと大きくなったケモノなんだって事です
聖書の黙示録を引用していますが、根本は単純なんですよ
キリスト教はヒトは特別な物で、世界は人のためにあるという考え方があるのでややこしくなるんです
日本人にはとてもついていけない血圧の高いハイテンション
近寄りたくないです
1000人の狂人に追いかけられる水牛に同情さえしてしまいます
冗談はさておき、文化も何もわかからない日本人にはその狂気と迫力に圧倒されるか、キリスト教の観点から黙示録を体感するぐらいしかできませんが、インドの人達には色々とささるものがある作品なんでしょう
”チャーリー”という映画がこの地方を題材にして作られたらしいですが、内容を見ると予告編だけ観たような気がします
【”神のご加護を・・”制御不能な暴走水牛と、愚かしき捕獲しようとする人間達からの、何が何だか分からない物凄い”熱量と圧”が伝わって来る映画。イヤー、凄いもん見ちゃったなあ・・。】
ー 冒頭、1000年物語について、語られる。そして、呪術的な腹に響く効果音が鳴り渡り、寝ていた村人たちが、次々に目を開いて行く・・。ー
◆感想
・ストーリーはシンプル。
アントニが経営する町の肉屋から、屠殺間際の水牛が逃げ出すところから始まる。
・だが、序盤、水牛は殆ど姿を現さず、代わりに町の人々の人間関係が、物凄く粗く描かれる。
ー ホントに粗い。だが、呪術的な腹に響く効果音が不穏な雰囲気を醸し出す。ー
・いよいよ、水牛登場!!。逃げ惑う村人達。立ち向かう且つて村を追われたならず者クッタッチャンと、アントニ。
ー イキナリ、笹薮の中から飛び出してくる水牛!。ビクッとする・・。ー
・水牛が、井戸に落ち捕獲しようとする町の人達。いつの間にか、尋常でない人数になっている。釣りあげようとした際に、水牛が暴れ、取り逃がすが追うクッタッチャンとアントニ。
ー 泥だらけになりながら、水牛を押さえつけようとするが・・。ー
◇泥人間達が、次々に水牛の上に乗り、築く泥山のシーン。
どうなっているんだ!
<随所に挿入される男女間の遣り取りなど、もはやどうでも良く、人間が水牛を追っているのか、水牛が人間を追っているのか、人間が人間を追っているのか・・。混乱の極みである。
ナンダカ、トンデモナイモノヲミチャッタナア・・、というのが、本音のトンでも、インドムービー。
一切踊らないが、画面から伝わって来る熱量が半端ない作品である。>
<2021年10月3日 刈谷日劇にて鑑賞>
まさかの水牛側に感情移入 笑
「マッドマックス」や「地獄の黙示録」でさえ、カオスさでは今作に霞んでしまうんじゃなかろうか…笑
上映開始から何やら不穏なオーラMAXなのに、最初から最後まで私は何故〝半笑い〟なんだろう 笑
無数のインド人が、ワーワー!ヤーヤー!タッタカタッター!*$≡¥⌘!!喚いてる。
何故か皆んな激おこで、もう登場人物の相関やら、そもそも誰が主人公なのかもさっぱり訳分からん 苦笑
終わり頃には、逃げた牛なんてそっちのけでインド人vsインド人となり、最後はゾンビ映画かよっ!って具合のカオスぶり。
もうこのレビューも、何言ってるかさっぱりワケワカメになってきた…
ただただそのパワーやパッションに圧倒された90分だった。
これはあれだな!主人公は水牛で、半狂乱のインド人の襲撃から逃げ惑うという、新手のアニマルパニックものだな 笑
牛の怒りより人の怒り、後半のカオスは前半の退屈を超えられず
ノレなかった…。倫理観飛ばされる前に意識が飛びそうになっちゃった。前半のダラッとした空気に飲まれて結局…って感じ。
一応主役のようなヤツとその周辺のゴタゴタがあって、そいつが逃しちゃった…みたいな所から始まる。牛の命を頂くってこういうこと、という生肉が飛び交うシーンは圧巻で身が引き締まるのだが、割とプロローグは長め。ちょっとスロースターター。いざ、牛が脱走!となってもどちらかというと「お前ツケが回ったからこうなってるんだぞ」みたいな、知らんところを書いてくる。まあそれは前半だしいいとして。その他もろもろのゴタゴタもあったりして割とダルい。
なによりノレなかったのは、牛がそんなに出てこなかったかと思う。音楽も独特で抑揚はあまりない。独特な野蛮さがラストに向けて走っているので理解できるが、時すでに遅し。なんだか消化不良。牛の怒りより人の怒り、って感じ。何を持って駆られているのか…なんて問うような話でもないし、そこに答えを求めても仕方ないので単に合わなかったってことかと。
初インド映画。熱量と人のスケールが違う。ある意味新鮮な映画体験。イメージフォーラムってドキュメンタリーも多いのに、カオスな作品しか観てないな。笑
ラストシーンを見るための映画
肉牛業者が屠殺用に飼っていた水牛が、ある晩逃げ出したところからこの物語は始まる。
延々牛追い。
村の男たちが結集して牛を捕らえようとするも、牛の方が一枚上手で、するりと逃げられる。
村の男たちが牛を捕まえられないのもワケあり。なんせお互いすこぶる仲が悪い(笑)。
牛を追い込みながら、日頃の溜まりに溜まった鬱憤をここぞとばかりにぶちまける。
仕事しろや、と言いたくなる。
牛追いの果てにあるもの。
一人の男が無事に牛を仕留めかけるのですが、とんでもないことになります。
あのミッドサマーの監督が絶賛したのも分かるというものです。それがこの映画のラスト。
正直、このラストを観るための映画と言っても過言ではないかと。
なお、インド映画にありがちな謎の美女も出ますが、そこまで絡みません。
まーとにかくテンション。編集と音と、牛が頑張っていました。絵も綺麗...
まーとにかくテンション。編集と音と、牛が頑張っていました。絵も綺麗だったな。でも何故か、それ以上の感想にならない。なぜだろう。
閉塞的な今だからこそ浴びるべき異様な熱気
全く知らない国の祭りをみているような感覚になる。登場するキャラクターたちに感情移入したり、ストーリーに没入することはなかったが、粗野な人々の熱量に溺れ、息が荒くなっていくのを感じる映画。
ストーリーはごくごく単純で、脱走した食肉用の牛を捕まえるために、村人や近郊に住むアウトローやら騒ぎたいだけの若者たちが躍起になる、というもの。捕まえるために大した作戦があるわけでもなく松明を持って追い回すだけ、倒すための作戦もなく、牛に近づけても逆に追いかけられたり吹っ飛ばされたりコケたり、お粗末なもの。
そして、キャラクターたちも自分の被害に文句を言ったり、新婚の妻を殴ったりだとか不快な奴らばかり。銀行が牛に襲われるシーンでも、銀行員に「助けてやるからウチの差し押さえをなんとかしてくれ」なんてことを言っており、どうしようもなく必死な奴らばかりで頼りになりそうなやつは誰一人いない。
しかし、今の日本に溢れる自粛やマスクや飲酒などの制限だらけの環境から、そして何を発言するにしても誰かに配慮しなければいけない不自由さから、この映画のコミュニティの熱量が、キャラクターの粗野さが、解き放ってくれる。そして牛を追い、その肉を求める熱狂に放り込まれる。牛を追い、牛に追われ、牛に店を破壊された怒り、何もしない警察の怠慢に怒る人々をカメラが捉えるが、あふれる臨場感に気づけば自分も牛パニックの中。牛を追うことに興奮を覚えるようになる。BGMは全編を通して人の声と打楽器だけで、異様な祭りに参加している熱気を感じさせる。
何かが煮詰められて硬さと異様な臭さと鈍い輝きを感じられるような映画。度数の強い酒を流し込み、旨さはわからないけれどカッと熱くなるような、そんな映画。
欲にまみれた人間に神様はため息。
予告編の煽りで観たい気持ちマンマン鑑賞です。イメージフォーラムさん大盛況でした。
なかなかのエンタメ作品でした。リズム音楽と細かいカット切り替えではじまるオープニングがインド映画っぽくない(って言えるほど観ていませんが・・・)雰囲気で期待が膨らみます。
話はひたすらシンプルなんですよね。逃した水牛をみんなで追うだけなんで。ですが、監督が描きたいのは、追うほどに大きくなり、明らかになる人間の「欲」や「卑しさ」そして「獣=欲にまみれた人間」なのではないかな?って思いました。本作は追いかけっこの醍醐味あります。予告編通りに後半は徒歩版マッドマックスみたいです。怒りのウォーターバッファロード。しかし、間違ってはいけません。追いかける話であって、チェイスはないです。
スピードはないですが、工夫が随所にあるんで、観てて飽きません。ヒヤヒヤするスリルはないですけどね。セットらしいセットがなく自然を舞台にしてるのに。見せ方うまいなー。あとは、人間の血走り感がへんな迫力です。気色悪いくらい。なんでしょ?人間の集合体が「欲」っ名前の生き物にすら見えてきます。あさましく、滑稽。
こんな姿を神様はなげいてんじゃない?って、客観的な視点で見せてくれている気がします。
ヒンドゥー教では、牛は神が乗っている生き物で、神聖な生き物だそうですね。本作はインドでもどうやらヒンドゥーの地域ではないみたいですが。そのあたりも上手く関連づけている気がします。
ストーリーの面白みは高くはないと思います、場合によっては退屈と感じる方も多いのでは?と思いますが、僕には興味深い作品でした。良作。
個人的にはクッタッチャンが好き。あの部下達のコールがしばらくリフレインしてました。
騒がしさでイライラ。
まー、耳障りに騒がしい映画だった。宗教的ネタでもあるのかしらん。純粋にただの水牛だし役者さんの顔も同じに見えてこんだけわんさか人が登場するともうとんちんかんちん。がっかりな作品でした。
いろいろ驚いたが…
インド映画なのに導入部で黙示録の言葉が…
しかも牛を屠殺して売買…えっ? インドじゃ牛を食べないはずでは?
…いやいや、この村にはキリスト教会があるじゃないか。
インド人でも、キリスト教徒なら牛を食べて問題ないわけだ。
そう言えばイスラム教徒もいるから、豚は食べずに牛は食べるよね。
なるほどインドって広いから、宗教も食文化も多様なんだ。
…結局「野獣より人間が怖い」という映画。
音楽の雰囲気などは良かったが、物語としては何のカタルシスもなし。
後で調べたら、インドは牛・水牛の冷凍肉輸出量では世界一の国なんだね。
インドの宗教・食文化の多様さを再認識して、驚きました。
とても勉強にはなったけど、映画としてはあまり評価できませんでした。
タピオカじゃなくてキャッサバね
南インドのとある村で、肉屋から逃げ出し暴れ回る1頭の水牛を捕まえるべく村人総出で追い回す話。
心地良いSEから始まり半分コメディの様な音楽劇になっていくのかと思いきや、時に畑や村を襲ったり山林を走り回る水牛が切っ掛けで巻き起こるカオスなストーリー。
音楽やSEは頻繁に入るけれどノリノリになってそれメインとはならず。
誰が捕まえる、どう捕まえると揉めたり、わらわらと人集りが移動したり、一応皮肉を込めたスリラーとして作られているのだろうけど、トラブルが起きても暴徒化することのない現代日本人からみたら滑稽で苦笑する様なシーンも。
自分はあまり詳しくはないけれど、ヨハネの黙示録に記される千年王国について触れているし、人のあさましさをみせるという意味では面白くはあったけど、同じ様なことの繰り返しで大したオチもなく、91分は非常に長くて途中で飽きてしまった。
半分の尺で良かったかな。
予告編を観れば十分
キリスト教徒の住む地域らしく、“牛を食べるインド人”の世界。
暴れる牛は、CGで作ったモンスターではなく、実写の普通の牛。
さっさと捕まえればいいのに、なぜか捕まらない。
この映画、たくさんの人間が叫び、走る姿以外、自分は観た記憶が無い。
本編は、予告編を50倍に引き延ばしただけだった。
濃密なカオスに打ちのめされた。傑作!
かなりキリスト教の世界終末観を感じる印象。舞台となる村の静寂のエントロピーが、水牛の逃亡という事件で増大し、カオスとなっていく。ぐいぐいと観客をスクリーンに惹きつける剛腕の演出力。増幅する混乱と秩序の崩壊を、鋭く刻んでいく音楽、音響効果。縦横無尽に動き回るキャメラ。その全てに脳髄を鷲掴みされ、瞬きも忘れるほど。で、後で監督の狙い、テーマコメントを読んだら、思いっきりストレートに受信していた。凄い、言葉もない。クライマックスの数分間の、あまりに静謐な混沌と昇華は、今年のベスト作品の資格充分。ps歌と踊りは無いよ。
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