まちの本屋

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まちの本屋

解説

兵庫県尼崎市にある小さな町の本屋で、2020年12月に発売されたビジネス小説「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」のモデルにもった小林書店を題材にしたドキュメンタリー。兵庫県尼崎市の立花駅前から続く商店街にある、売り場約10坪の小林書店は、現店主の小林由美子さんの両親が1952年に創業した。近年はネット通販の広がりや読書離れによって全国の書店が減り続け、小さな町の書店を取り巻く環境は厳しさを増している。しかし、そんな中でも由美子さんは「小さな店だからできることがある」と、さまざまなイベントを開催したり、地元客を大事にするなどし、店を続けてきた。しかし、ある時、夫の昌弘さんが脳梗塞で倒れてしまう。店をたたむべきか悩む由美子さんは、改めて書店という商売と向き合う。監督は、テレビのドキュメンタリー番組の演出などを手がけ、これが映画初監督となる大小田直貴。

2020年製作/107分/日本

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

  • 小林由美子

  • 小林昌弘

  • 渡邉愛

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フォトギャラリー

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(C)Rakuda Films

映画レビュー

4.0【真面目にコツコツ働くご夫婦が経営する小さな本屋には、人と人を繋ぐ温もりがある。著作物再販制度の実態もやんわりと映しながら、笑顔が素敵で本が大好きな奥さんと、真面目な旦那さんの姿がとても良い。】

2021年9月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

幸せ

ー 兵庫県尼崎市の小さな商店街にある”小林書店”が舞台。売り場面積は10坪だそうである。店の中には、漫画は新刊本が少しだけ。その代わりに傘が沢山売られている。ー

■感想
 ・小林さんご夫妻の会話が、心地よい。特に旦那さんが奥さんである由美子さんに話す丁寧語が。
 “ステキな女性だからね。昔から丁寧語です。”
 ー 優しい旦那さんの性格が良く分かる。妻を大切にしている気持ちを素直に口に出来る男性はどれくらいいるだろうか。ー

 ・旦那さんは、脳梗塞の影響で左半身が不自由だ。それでも、毎日届けられる雑誌を束ねてあるテープを取り、苦労されながらも仕事をしている。

 ・由美子さんも、一冊の雑誌、漫画を近くの喫茶店や、美容室にわざわざ歩いて、届けている。
 ー 配達する、店との関係性も大切なんだろうな・・。ー

 ・小さな本屋でも、毎月段ボール箱4箱もの返品がある。著作物再販制度の実態が伺える。知識としては知ってはいたが、実際に見るのは初めてである。
 ー この制度が、町の小さな本屋の数を激減させている一因である事は、間違いない。勿論、amazonの存在や、大手書店にしかベストセラー本が入荷しないという実態もある事は、承知している。ー

 ・旦那さんが、脳梗塞になった後、本を届けられなくなり、それを惜しむ町の人達の話を笑顔でする由美子さんの後ろで、申し訳なさそうに俯きながらその会話を聞く旦那さんの姿。
 ー 肩が震えているように見えたのは、私だけであろうか。
 皆、キチンと仕事をしている人には優しいのである。ー

□ビブリオ・バトルのシーン
 ・全く知らなかったが、5分間で自分のお勧めの本を紹介し、一番読みたい気にさせた方の勝ちという、京都大学で始まったという、素敵な本のプレゼンゲームである。
 これ、ヤリタイデス。やらせて下さい。自信あります・・。

 ・小さな本屋では、色々なイベントがこじんまりと行われている。そして、そこで、知らない人達の交流が始まっている事が描かれている。

<シャッター商店街になりつつある商店街のなかで、小さな本屋”小林書店”には、人と人を繋ぐ温もりがあった。
 そして、真面目に仕事をするという事は、どういうことかを今更ながら、学ばせていただいたドキュメンタリー映画でありました。>

<2021年9月18日 刈谷日劇にて鑑賞>

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NOBU

4.0物を作る人から売る人へ、売る人から買う人へ、愛情のバケツリレーみたいな映画

2021年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「枕草子か徒然草しか面白い本がない」って、それって実質ただの吉田兼好やんけと映画館で絶叫しかけた。
(吉田兼好:徒然草の作者。枕草子のガチヲタであることを感じさせる文章が、著書の随所に見られている)

尼崎の商店街で書店を営む、カリスマ店主小林さんと彼女を取り巻く人々との物語。
全然知らなかったですが、この店主さん、かなりの有名人みたいです。
彼女の営む書店の名前は『小林書店』。通称『コバショ』。
帰宅してからいろいろとググりましたが、旦那さんとも元々はガラスメーカーに就職されていたようですね。
転勤するよりは家族全員で一緒の場所で暮らそう、と言う旦那さんの意向により、ご両親から書店を継がれたらしいです。

この小林さんの本の売り方が、半端ない。
まずはお手製のブックカバー。
その時の最推しの本から“これや!”と思った文章を書き出し、可愛らしいイラストとともにブックカバーを作成する。裏面にはコバショ通信的な書店情報を記載、本を一冊買ったお客さんが、ブックカバーのデータを基に、二冊目、三冊目と購入せざるを得なくなるような仕組みを作っている。

そして、小林さん自身が持つ、本に関する情報。
図書館の司書さん並みに本に関する知識が豊富。
「なんかおもしろいもんない?」と言われたら、即座に情報提供できるほど、相手の趣味嗜好に合わせた本の情報をいつも保有されている。

最後に、ビブリオバトル。
二か月に一度、店内で行われる“ビブリオバトル”にて、参加したお客さんに本のプレゼンをしてもらうことで、書店の売り上げに貢献してもらおうというエコでえげつない(褒めてる)企画。
読みたくなったら即購入をモットーに、今後も定期的に行われる予定。

そんな小林さん。
本と同時並行で傘も販売していますが、この傘に関する知識も相当なもののようです。
作っている人たちの一生懸命さを台無しにしたくない、だからお客さんには扱っている商品に関して「私は(この商品に関して何も)知らないとは言えない」とのことです。

作り手の愛情を、売り手として購入者に届ける仕事。

最近はネットで何でも買えたり、特に本の世界では、作者さんから読者がボタン一つで本(のデータ)を購入出来るような事態にもなってしまっているため、なかなか真ん中で働いている方々の顔や動きが見えない状況にあります。
ただ、彼らがいてくれるからこそ、私達購入者は膨大な対象から自分の好きな作家さんや本を選び取ることが出来るし、その繋ぎ手である彼らと感謝の気持ちで繋がることが出来る。

自分で選んだ本より、大切な人から勧められた本の方が、後々の記憶に残りやすいし、思い出としての付加価値も上がる。

人との繋がりの素晴らしさについて、改めて認識させられた素敵なドキュメンタリー映画でした。

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BONNA

4.0名もなき薬

2021年6月24日
スマートフォンから投稿

楽しい

幸せ

見終わって、どこかが軽くなっているはず。
今私たちに必要なのは、ワクチンよりもこんな映画。

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alanr

5.0尼崎市民、観るべし

2021年6月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

小林さん夫婦の生き様が本屋の経営を通じて描かれる。人生というよりも生き様。違いは何?という人はぜひ鑑賞を。尼崎市民の皆さん、映画を観て、小林書店にも行きましょう。

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Jovianreviews

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