「小さき者たちへの賛歌」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 のむさんさんの映画レビュー(感想・評価)
小さき者たちへの賛歌
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アイアンマン、キャプテンアメリカ、ハルクといったメンバーが「歴史に名を遺す偉人」だとしたら、ガーディアンズの面々は「名もない小さき者たち」だ。はじめは本当に「誰?」といった名もない存在だった彼らが9年の歳月をかけ、個性あふれる魅力的なキャラクターに成長していった。これこそシリーズものの醍醐味なのかもしれない。
今回、特にロケットが主人公であることで、この「小さき者」たちにより一層スポットが当たる映画になったように感じる。余談だが、本作のパンフレットの表紙のデザインが秀逸である。ロケットと、もう一人宇宙犬コスモ以外は足元しか写っていない。この二人はどちらも、人によって不遇な扱いを受けた者である。ロケットはハイ・エボリューショナリーによって「捨てられる前提で」生み出された者であり、コスモは「還ってくることはない前提」で宇宙に送られた者である。つまりどちらも人に「道具」として扱われたものである。本作にはロケット、コスモ、銀髪の子供たち、動物たち、そしてアダムも含めた、「目的を果たすためだけ」の存在だとみなされている「弱い小さき者」が多く登場する。彼らはロケットの最後の言葉通り「ありのまま」を受け入れてもらえない存在である。
そんな「小さき者」たちを救うのが、何かしら傷を抱えたガーディアンズの面々であることが胸を打つ。時に本作はネビュラ、マンティス、ドラックスなど、今まではどちらかというと誰かを助ける存在ではなかったキャラクターたちが、自身の過去の傷を乗り越えて弱い者を救い・導く描写が多く、これぞ「ヒーロー映画」だと思わされた。
MCUの中で、一番「好き」な映画になりました。
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