「先代の偉大さを思い知ると同時に、後継者の今後の活躍にも期待できる作品になっている」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
先代の偉大さを思い知ると同時に、後継者の今後の活躍にも期待できる作品になっている
王位やブラックパンサーを継承するのであれば、国民や観客を、それなりに納得させる必要があるだろう。
その人物が、これまで、もっぱら頭脳の面で活躍してきただけで、ずば抜けた戦闘能力や身体能力がある訳ではない少女であるならば、なおさらのことである。
その点、今作では、合成に成功したハーブを抜けがけ的に飲むことによってブラックパンサーになったものの、王位を争う伝統的な儀式には参加しないというシュリには、新しいブラックパンサーとしても、あるいは新国王としても、その正統性に疑義を抱かざるを得なかった。
王女としても、海底王国が地上に戦争を仕掛けようとしていることを知った時点で、単に同盟を拒むだけでなく、戦争をやめるように強く説得するべきではなかったのではないか?そうすれば、強力な軍事力を持ちながらも世界の覇権を狙おうとはしないワカンダの立ち位置も、より明確になったに違いない。(もっともワカンダは、タロカンのように、白人に「恨み」を持ってはいないようであるが・・・)
もしかしたら、今後、国王とブラックパンサーは、別々の人間がその役割を担うことになるのかもしれないが、それにしても、やはり、細身できゃしゃなブラックパンサーは、どうしても強そうには見えないし、どこか頼りなくも感じてしまう。(実際、敵に串刺しにされてしまったりする。)
とは言え、今回、シュリは、復讐心を抑えて仇を許し、戦争の拡大を回避することにより、リーダーとしての資質があることを示すことができたので、国民や観客から支持される真のヒーローになっていくのはこれからということなのだろう。
ティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマンを失った影響は余りにも大きかったということを改めて確認することができた一方で、これからもブラックパンサーの活躍を見守り続けていきたいとも思わせてくれた一作だった。