「新生ブラックパンサーの今後に期待」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
新生ブラックパンサーの今後に期待
前作主演のチャドウィック・ボーズマンの死から、どうなることかと心配しましたが、妹シュリ役のレティーシャ・ライトを主演に見事に復活したブラックパンサー。期待以上とは言いませんが、それなりにおもしろい作品でした。
ストーリーは、ティ・チャラ亡き後、その母ラモンダが王位に就き、新体制となったワカンダが、ヴィブラニウムを巡る他国との軋轢の中で、海底王国タロカンと戦うことになり、それに対抗するためティ・チャラの妹シュリがブラックパンサーを継承していくというもの。MCUにしてはかなりわかりやすいストーリーで、世界観にどっぷりと浸ることができました。あいかわらず超ハイテク設備と古き伝統が同居するワカンダの雰囲気がおもしろく、これだけでブラックパンサーの世界に引き込まれます。
本作は、チャドウィック・ボーズマンへの追悼の意味も多分にあり、いつもの開幕MARVELロゴまでの映像が、彼の姿で埋め尽くされているのには胸が熱くなりました。そんな彼の死と重なるように、序盤でティ・チャラの死を悼むシーンがあり、前作未鑑賞でも、なんとなく作品背景は理解できるのではないかと思いますが、中盤以降は前作からの人物相関を理解していないとわからない展開になっていきます。前作鑑賞済みの自分でも、かなり忘れていて戸惑ってしまいました。それでもメインストーリーは極めてシンプルなので置いていかれることはありません。ただ、ワカンダとタロカンの戦争はイマイチすんなり飲み込めなくて、ちょっと強引な気がしないでもないです。
見せ場のアクションシーンもなかなかよかったです。中でも、シュリとオコエとリリとの脱出シーンや終盤の戦艦側面でのドーラ・ミラージュのバトルが熱かったです。クライマックスシーンのド派手なVFXも見応えはありましたが、全体的にやや大味な感じがしてしまったのは少々残念でした。それよりなにより、ブラックパンサーの登場が遅すぎたのが、最も残念なところです。もちろんシュリの置かれた状況や内面を丁寧に描くことは大切だったと思うのですが、もう少しコンパクトに納め、ブラックパンサーとしての活躍をもっと見たかったかなという印象です。まだまだ次回作もあると思うので、そのあたりは今後に期待しますが、ラストで出てきたあの子の存在が気になります。
主演はレティーシャ・ライトで、名実ともに思いがけずブラックパンサーを引き継ぐことになったわけですが、しっかりとその責任を果たしています。脇を固める、ルピタ・ニョンゴ、ダナイ・グリラは前作に引き続き好演、新規加入のドミニク・ソーンも今後の活躍が楽しみです。