「映画と現実をリンクさせ、新たな道へと進む「ブラックパンサー」。そしてMCUのフェーズ4のラストを飾る作品。」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画と現実をリンクさせ、新たな道へと進む「ブラックパンサー」。そしてMCUのフェーズ4のラストを飾る作品。

2022年11月12日
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本作の上映時間は161分となっていて、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)関連の映画では、「アベンジャーズ エンドゲーム」の181分に次いで2番目の長さに。
ただ、この長さには意味があり、何といっても前作の「ブラックパンサー」の主人公を演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年8月に病死してしまったことがあるでしょう。
普通であれば、かつて「アイアンマン」の脇役のキャストが何事もなかったように代わっていたりした如く代役を立てるものなのかもしれません。しかしチャドウィック・ボーズマンの存在感はあまりに大きく、映画では現実社会とリンクさせる決断をしました。
そして、「スーパーヒーロー映画」として初めてアカデミー賞で「作品賞にノミネート」という快挙を成し遂げた前作に続く作品として、物語を展開する必要もあります。
さらには、「MCUのフェーズ4のラストを飾る作品」としての役割もあるわけです。
この大きな3つの柱を背負い、新たな船出です。
前作のラストでは、高度な科学技術を持つベールに包まれていた文明国家「ワカンダ」を明らかにすることを国連で演説していました。そうなると、希少でパワーの源である鉱石「ヴィブラニウム」の存在も明らかになります。
その結果、世界はどのように動くのか?
また、映画の中でも「ブラックパンサー」が亡くなり、次の「ブラックパンサー」はどうなるのか?
さらには、「本作の後」の話として、ディズニープラスでドラマ化が決まっている「アイアンハート」が登場するなど、フェーズ5への方向性を示す役割もあり、これらの流れをフルで展開していくのです。ちなみに、この「アイアンハート」はコミックでは、次の「アイアンマン」とされていますが、映画の中ではどうなるのかも今後の注目点となります。
前作の知識があれば本作は丁寧に分かりやすく作られていると思います。
強いて言えば、「ワンダヴィジョン」という配信ドラマから始まったMCUのフェーズ4は、世界感がどんどん大きくなり収拾がつくのか分からなくなりつつありますが。
そんな中、「ブラックパンサー」については、地に足のついた物語を構築していて、映画と現実がリンクし、サブタイトルの「ワカンダ・フォーエバー」は名優「チャドウィック・ボーズマン」の存在を意味しているように思えます。

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細野真宏