「混乱は悪いことばかりではない」ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー Fさんの映画レビュー(感想・評価)
混乱は悪いことばかりではない
メタでもミクロでも、人の死によって混乱が起きたあとを丁寧に描いた作品でした。非常に完成度の高い一作です。早くも円盤が欲しい。
死による混乱は時として深く遺恨を残し、自分の人生の道標を歪ませる。ただ今何をすべきか、この先自分がどう生きたいか、誰を大切にすべきか、それを見誤らなければ大丈夫、あなたはどう?という優しくも厳しい視点が心地よく。
守護者と指導者が同一でなくともよい、という解釈は良いのではないでしょうか。魅力的な女性が非常にたくさん出てくるし、クスッと笑う場面も楽しかった。
ラブ&サンダーの物語の行き止まり感に、マーベルもそろそろ厳しいかなと思ってしまいましたが、アメリカを起点とするグローバルな作品として、ようやく適切な自省の精神と当事者性を意識したものが生まれたように思います。
とはいえ、不必要なまでにVFXだらけの画面は、その背景にある搾取のことを考えると、手放しで賞賛できないのも事実。映画業界が今大事にすべきなのは誰なのか、見誤らないで欲しいものです。
次はIMAXで観たいので、来週以降のスクリーンの振り分けに期待しています。
コメントする