「神は人を救いません、愛が人を救います。 何はともあれ、チャンベイルとナタポーの演技力に拍手👏」ソー ラブ&サンダー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
神は人を救いません、愛が人を救います。 何はともあれ、チャンベイルとナタポーの演技力に拍手👏
スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の第29作にして、雷神“ソー“の活躍を描く『マイティ・ソー』シリーズの第4作。
サノスとの戦いの後、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々と宇宙を旅していたソー。そんなソーの下に、かつての友人シフから救難信号が届く…。
監督/脚本/原案はタイカ・ワイティティ。
○キャスト
ソー…クリス・ヘムズワース(兼製作総指揮)。
ジェーン・フォスター…ナタリー・ポートマン。
ヴァルキリー…テッサ・トンプソン。
コーグ…タイカ・ワイティティ。
ピーター・クイル/スター・ロード…クリス・プラット。
ネビュラ…カレン・ギラン。
グルート(声)…ヴィン・ディーゼル。
ロケット(声)…ブラッドリー・クーパー。
ヘイムダル…イドリス・エルバ。
ロキを演じる役者…マット・デイモン。
エリック・セルヴィグ…ステラン・スカルスガルド。
○新キャスト
「神殺し」の異名を持つ男、ゴアを演じるのは『ダークナイト』トリロジーや『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の、オスカー俳優クリスチャン・ベイル。
「オムニポテンス・シティ」に君臨する神々の長、ゼウスを演じるのは『ビューティフル・マインド』『レ・ミゼラブル』の、オスカー俳優ラッセル・クロウ。
製作はケヴィン・ファイギ。
鑑賞後の率直な感想。
陽キャな映画だなオイッ!💦
難しい事は置いといてさ、とりあえず楽しければいいじゃ〜ん☀️…みたいな映画。
ノリの良さが最優先事項。そして家族と仲間がなによりも大事。
作中ではガンズの楽曲がガンガンかかっていたけど、それよりもむしろウルフルズとか湘南乃風とかナオト・インティライミとかがマッチしそうな雰囲気…。
前作『バトルロイヤル』(2017)ではちょうど良い塩梅だったワイティティ監督のギャグ演出だが、今回はちょっと過剰。
これはワイティティ監督が脚本も手掛けるようになったからだろう。明るい映画は好きだが、「神殺し」というシリアスなストーリーなんだから、もう少しギャグ少なめでも良かったんじゃないかと。
ストーリーはかなり薄味。そして大雑把。
たどり着いた者の願いを叶える場所、「永久」。このトンデモ設定をぶち込んでしまった結果、これまでのサノスとの戦いは一体なんだったの…?みたいなモヤモヤする感じになってしまったが、そこを気にしてはいけない。そんな細かい事よりノリが大事っしょ〜ウェ〜イ✌︎('ω'✌︎ )☀️
そんな物語面の弱さに対し、キャラクター造形は概ね良かったのではないでしょうか。
特に今回のヴィランである、顔が怖すぎる男ゴアはなかなかに素晴らしいキャラクターだったと思います!
演じるのは安心と信頼の男、クリスチャン・ベイル🦇
バットマンを演じていたチャンベイが、ジョーカーを想起させる狂気に満ちた白塗り男を演じるというのはなかなか感慨深いものがある。
ブレスの仕方とか喋り方とか、どことなくヒース・レジャーを意識しているんじゃないかと思わせる感じがして、それだけでなんだか感動してしまいました…😢
「神殺し」という、あまりにもタイムリーな題材。
神は全て紛い物であり、信仰では人は救われない。
ゴアの信念には正直共感するところも多く、もっと彼の活躍を見たかった。
神の真の姿を知り絶望し、彼らを根絶やしにすることを誓ったゴアと、堕落した神々に失望し、その長であるゼウスを殺害(未遂)する雷神ソー。
実はこの2人、人と神という真逆の立場にいながらも、考え方や行いには似たところがある。
この2人の対立構造をもっと深掘りしていけば、ソーの正義とゴアの正義、それぞれがぶつかり合うという激アツの展開にもなったかもしれないのに…。
なんだか勿体無い気もするが、この映画はノリが最重要事項だからそんな事はどうでも良いんだぜウェ〜イ(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎☀️
チャンベイも良かったし、ムキムキに鍛え上げたクリヘムもセクシーだったが、今回一番印象に残った役者はやはりナタリー・ポートマン!久しぶりにMCU復帰♪過去二作で登場した時はなんだかあんまり印象に残らない感じだったのだが、本作では非常に素晴らしかった🤩✨
二代目マイティ・ソーとして十分に説得力のある筋肉、そしてアクション!その一方で、末期癌に冒され死の淵にあるジェーン・フォスターも見事に演じきっている。
今回のジェーンは全く異なる2つの顔を持ったキャラクター。それをこうも見事に演じてみせるのだから、やはりナタリー・ポートマンの演技力は恐ろしい…!
ジェーンの死は悲劇的。
とはいえ、ハンマーの奇跡で癌が寛解したとか、そんな安易な展開にしてしまうと、本作で描かれている「神は人を救わない」というメッセージが台無しになってしまう。
彼女の運命は残酷なものではあるが、物語に一貫性を持たせるという意味では意義あるものだったと思います。
ジェーンの死という衝撃展開もさることながら、それ以上に賛否両論が巻き起こりそうなのは、雷神パワーを手にしたちびっ子たちが大活躍するという能天気なラストバトル。
シリアスな対決を描けよっ💢という怒りの声があったとしても驚かないが、個人的にはこの展開は嫌いではない。
幅広い年代が楽しんでいるMCUだが、やはりメイン・ターゲットは少年少女なちびっ子たち。
アメコミヒーローは基本的に彼らのものな訳です。
『E.T.』(1982)しかり『グーニーズ』(1985)しかり、子供たちが大活躍するという展開はファミリー・ムービーの王道であり、それをMCUがドンッと臆面もなく描くのは立派な姿勢だと思うのです。
総評としては、手放しで褒められはしないが決して悪い映画ではない、という感じかな。
普通に楽しかったですし、カラフルな神々の世界での一悶着もあればモノクロ世界でのバトルもあるという、視覚的な満足度も高い一作でした。
「神」は人を救わないが、「愛」は人を救う。
宗教問題が巷を騒がせていますが、これこそが宗教の本質であるということを、忘れてはいけません。
…そういえば、エターナルズの皆さんも一応神様のカテゴリーになるわけですよね?
それならキンゴとかドルイグとかセナとかも、本作に登場させれば良かったのでは?壮大な設定過ぎて扱いづらいエターナルズの面々をせっかく他のMCU作品に召喚出来るチャンスだったのに。勿体無い…🌀