「キーワードは虹。普遍的かつ絶望的なテーゼを叩きつけてくる小ネタ満載のバカ映画のフリをしたムジョルニアのようにずっしり重い作品」ソー ラブ&サンダー よねさんの映画レビュー(感想・評価)
キーワードは虹。普遍的かつ絶望的なテーゼを叩きつけてくる小ネタ満載のバカ映画のフリをしたムジョルニアのようにずっしり重い作品
『イベント・ホライゾン』、『インターステラー』、ガーディアンズの面々、マット・デイモン、ルーク・ヘムズワース、サム・ニール、メリッサ・マッカーシー、小籠包の神、そしてガンズ&ローゼズ。無数の小ネタで爆笑を取りに来る楽しいにも程がある娯楽作品ですが、実は封切日に例の事件が起こってしまったという意味で奇跡的なタイミングで上映されている今まさに観るべき作品。要するに信仰を巡る物語。神々を皆殺しにしようとするゴアは自らの信仰を踏み躙られたことで神々への怒りを激らせるし、ソー達は神々の世界にも優劣があることに絶望し、ニュー・アスガルドの危機に際して共助を薦めるゼウスに激怒する。神はいるが我々が期待しているような存在ではない、そんな身も蓋もないネタを何度も何度も叩きつけた後に“永遠”に対峙した者が最後に望むものは何か、そこに広がる普遍の美しさに胸を打たれます。
前作では『移民の歌』の歌詞がクライマックスと並走していましたが、本作ではとにかくガンズの名曲達が物語を彩ります。しかし実はそこは肝ではないです。エンドロールで次々に浮かび上がるロゴデザインに共通するイメージが物語と余りにかけ離れていることに首を傾げているところに流れるイントロで序盤からあちこちに仕込まれていた台詞は全部これの伏線であることに気づいてドッと涙が溢れました。タイカ・ワイティティ恐るべし。
ということでこのオチ、40年前に歌詞カードを見ながらアナログ盤でロックを聴いていた世代にだけ解るやつ。要するにアラフィフホイホイです。
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