「重要なテーマが表現できていない」劇場版「オーバーロード」聖王国編 ぷ。さんの映画レビュー(感想・評価)
重要なテーマが表現できていない
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聖王国編は魔導国と聖王国の対比がとても面白いのにそこを示す部分が全くカットされてしまっている。
本来の原作では、アインズ様は普段から「盲目的に命令に従わず、何がナザリックにとって最も利益をもたらすか、自ら考えて行動せよ」と何度も言っている。そして、自分にもしものことが起きた時に、ナザリックが機能するのか心配になったアインズ様は、アルベドとデミウルゴスに相談すると、二人は考え方の違いから一触即発の雰囲気に。そこでアインズ様は今回自分の死を演出して、実際に自分が機能しないことを想定した言わば防災訓練的なことを計画し実行に移した。自分がいなくても、何がナザリックにとって一番重要なのか考えて行動するための訓練を。
それに対して聖王国は脳筋聖騎士団長のレメディオスを筆頭に、みんな聖王女のカルカの考えや言葉を盲目的に信じている点はナザリックに近いが、カルカ自身もそのことの危険性を認識できていなかった。その結果、カルカがいなくなった後、いつまでもカルカの理想に縛られたレメディオスを中心とした聖騎士団の面々の迷走っぷりは見るに耐えないものがあった。
映画ではナザリックのパートがごっそり抜けているため、個人的には最重要なテーマと言える魔導国と聖王国の対比がなく、薄っぺらなストーリーになってしまい、すごく残念な感じでした。
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