「茶番と覚悟」劇場版「オーバーロード」聖王国編 Kusakanさんの映画レビュー(感想・評価)
茶番と覚悟
魔導国とルーン技術のPR活動という茶番を装いながら、アインズの覚悟が揺るぎないものになっているのがよくわかるエピソード。
アインズが兵士達の命と引き換えに勧誘し、それを個人的な矜持で断り味方を無駄死にさせるガゼフに慈悲を持って応じながら、エランテルでモモンが市民の命と引き換えに傘下に入ることで理想とする英雄像を示して以来、原作読んでいて主役の心理の変遷?成長?が感じられなかった。
劇場版となった聖王国のエピソードでは魔導国の体制に何の影響も無いのだから、端折るのも致し方ないとテレビシリーズ見た時は納得していた。
劇場版として切り出した理由はそんなところだろうと、迫力の映像と音響で期待通りに大満足の作品だと思いながら見ていた。何でも出来るはずのアインズ様が手抜き対応をする理由を語るシーンでアインズの覚悟が明言され、小説よりもわかりやすくなった気がする。
王国を滅ぼす際のザナックとの問答でアインズが自身の原動力が何かを認識するまでの狭間のエピソード。アインズの覚悟だけがネイアに影響を与え、意図せず狂信的な勢力が興る。
ゲームプレイヤーが思い描く剣と魔法のファンタジー世界の創造譚で、時系列を無視して劇場版として切り取った意図を汲むと、計算外のそれがナザリックの今後某かの障害となるのかなとも考えてしまう。
配下の幸せを意識してアウラとマーレのためと独り暴走気味な小説最新刊エピソードの後に繋がるのか、繋がらないのか。
小説だけでは気付かなかった新たな視点を与えてくれ、オーバーロードがより楽しくなりました。
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