「ファンは歓喜だが原作知識は必須」劇場版「オーバーロード」聖王国編 アクオンスさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンは歓喜だが原作知識は必須
まず、ファンとしては待望の聖王国編の映像化という事で非常に嬉しい。
特に面白い12•13巻なので、要所で思わず声が漏れる。
モブも含めて一人一人の人間がしっかりと描かれており(アニメ3期のCG人間)作画に手抜きを感じる所は全く無かった。
ファンとして残念な点は、原作をなぞっている物の、かなり駆け足で進む印象で所々で端折りが目立つ所。
回想やセリフで補完はしているもの丸々カット(そもそも無い設定)されてるのが残念な所が多い。
印象的だった端折りとして、
「序盤の聖王国内部での王子と姉妹の会話」
「聖騎士団と青薔薇の会議」
「アインズ様と聖騎士団の謁見時の交渉」
「解放都市が一つに凝縮」
「バザーとの剣戟(というか闘い全て)」
「憤怒の魔将との闘いにおけるアインズ様視点」
「聖剣の奥義を魔将に使うシーン」
「ネイアの心境の変化」
「アインズの信者が増えていく過程」
「南部軍との合流」
「最終対決がカリンシャ内に丸々変更」
挙げるとこんな所。
特に最後の魔将を討ち取るのが、平原での決戦から変わってしまったのは時間の関係なのかな、というレベルの大きな改変だった。
また個人的には、ネイアの演説はある物の終戦後になっており、少しずつ信徒が増えていった感が無いから、ネイアの頑張りというか成長というかが半減している印象。
客観的な感想として、
上記のような端折りやカットが多々ある為、原作を知らないと伝わらない部分が非常に多くあると思う。
レメディオスやケラルトを始め、序盤のカンパーノやパベル(ネイア父)がどれくらい強い存在なのかの説明が無いので、モブ感が凄い。
レメディオスは歴代最強とは言っていた物の、ガゼフに匹敵、アダマンタイト級ぐらいは説明が欲しかった。
そして、聖王国にとってのレメディオスと伝説の聖剣が通用しない、英雄級の戦士達がほとんど死んでしまった事がどれくらいマズイ状況なのかがイマイチ伝わらないので、大進行のスケールが分からないのでは...
味方の強さも分からない物だから敵側の強さも同様で、全く説明の無いバザーの強さが分からないから、聖王国民にとっての都市解放の凄さがイマイチ分からない。
レメディオスの強さが分からないからヴィジャー始め族長達の強さが分からない。
また聖王女はどのような人物なのか、ネイアの父と母との関係性、ネイア含め民や騎士達の心境など、キャラの人物像や思考が端折りのため、そこも原作を知らないと、急にキャラの心境が変わったなという印象を受けると思う。
これらを踏まえて、
聖王国の軍事力の低下と首脳部の対応、そしてアインズ様の英雄的活躍およびネイアの狂信化からの国内普及が、聖王国内であれほど魔導国信者を生んだという結果である本巻のお話しが伝わらないんじゃないかなー、と言った感想。
(デミちゃんもしょんぼり)
あくまで聖王国編の各チャプターやシーンの繋ぎ合わせのような感じなので原作の予習は必須。
そこを踏まえて見ると面白さを充分味わえると思う。