劇場公開日 2022年7月8日

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「大沢一菜の演技力がすさまじい映画・・・」こちらあみ子 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5大沢一菜の演技力がすさまじい映画・・・

2025年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

あみ子役の大沢一菜がとても演技に見えなくて、彼女こそ当時のアカデミー主演女優賞を取るべきでは?と思いながら観た。

おそらくはASD、ADHD、あとLDもあるだろう発達障害コンプのあみ子によって、誰も悪気は無いのに家庭が崩壊していく様がまさに地獄だった。携帯が出てきていないことから作品の時代背景的には90年代なのだろうか。「発達障害」なんて言葉がまだ知られてなかった頃だ。いまならもっと早い段階であみ子を療育に繋げられただろうか。
母親も父親も兄も限界の状態で最終的にあみ子が切り捨てられていく様が痛々しくしんどい。あみ子に対して愛情が最初からなかったわけでは無いのが余計に苦しい。

いじめられても怪我しても血を出しても状況を理解できていないのか、泣くこともしないあみ子。でも何も感じていないわけでは無い。ヘルプのだし方もよくわかっていないのだ。このままだと何か事件に巻き込まれても状況を説明することすら出来ないだろうト余計な心配をしてしまう。(実際に身体障害、知的障害のある女性が性的加害のターゲットにされることなどはよくあることで、あみ子のような発達障害のある女子もその例外では無いだろうと思う)どうかなんとか療育に繋げてくれないかと祈るようなしんどい気持ちで観た。

映画はフィクションながら、現実で療育に繋げられることも無いまま家族にも切り離され孤立したまま大人になった発達障害のある人が数多く居ただろうことを思うと胸が痛い。

世の人たちは自分の子が健常者として生まれてくることを疑いもせず軽々しく子供をほしがるが、この映画をみて自分の子があみ子のようでも愛せるか真剣に問うた上で子供を作って欲しいと思う。

Jax
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