キャメラを止めるな!のレビュー・感想・評価
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ほんのりナチュラル志向になったフランス版。
もともと『カメラを止めるな!』を全肯定していないのだが、フランスでリメイクされることで相対化されて、双方の良いところとダメなところが見えてくるという貴重な体験をした。フランス版では役者は上手いし、映像のクオリティも高い。しかしそのことで余計に、オリジナルは演技や技術的な拙さをさまざまな工夫で上手く活用していたのだなと改めて感心する。
一方で作品の骨子は同じながら、「ポン」のネタなどはさすがにベタ過ぎてこれはできないと判断したのか、あちこちに角を取ろうとした意図が感じられる。その辺の作家性の違いを比べるのがリメイク版が生まれた一番の功績な気がするのだが、そこまで映画を構造的に考えるのでなければ、日本人には日本版があれば充分だと言われてしまうんじゃないか。
素晴らしいと思ったのが、オリジナルにはいなかった通訳の女性を演じた成田結美で、フランスで活動されている方だという。彼女の演技が醸しだすナチュラルな「感じの悪さ」は、力技に頼りすぎないフランス版によく合っていたい、竹原芳子のアクの強さともいい相乗効果が生まれていたと思う。今後のご活躍に注目したい。
ストーリーは本家に忠実だから面白い、だけど何かが物足りない
ストーリーは本家に忠実だから面白い。だけど何かが物足りない。原作では笑えたシーンもこっちだと笑えなかった。全体的に元から役者の演技力が高い(とくにゾンビの動きや護身術のキレの良さなど)ので、原作にあった段々と役者たちが役に入り込んで熱が入ってく様が薄れてる。
物足りない最大の要因は、役者に魅力を感じなかったことかもしれない。今作の役者はインパクトが弱くて地味。原作のハゲとアル中みたいな見た目だけで「あ、こいつやべー奴だ」ってなる人が居ないので印象に残らない。髭とノッポとかは居たの覚えてるけど本名は忘れた。唯一黒人の音響だけは音楽のセンスが良かったので覚えてる。
役者はみんなオリジナルの方が好きだなぁ。中でも監督役はぜったいに濱津隆之がいい。この人からにじみ出てる優しさが、今作の監督役には感じられなかった。濱津のふだん優しい口調と性格があるからこそ、本番スタートでブチ切れモードになるのがギャップで面白いんだよなぁ。
ストーリーは同じで原作に及ばないとなると、単なるオリジナルの劣化版になってしまったのが残念。竹原芳子が「オリジナルに忠実に」と言わなければ、監督のアレンジが加わって面白くなったのかな。せっかくリメイクするなら、少し新しい要素や改変が加わったカメ止めを見たかったかも。いや、そもそも「脚本が全く同じでも、べつの人がやって面白くなるとは限らない」という皮肉めいたメッセージが込められてたのか…
カメ止めの続編!?
前作『カメラを止めるな!』は視聴済みです。
まず、続編に驚きました。てっきり、リメイクだと思ってましたが。その手法も日本が海外に輸入しようとするという問題を予感させる続き方でした。案の定、役名も日本名のままという、いかにも世間知らずな日本人のやることだなと思わず納得しました。
演技や展開もほぼ同じで見比べることができました。海外版も違和感なく見れたことに驚きましたが、意外にどの国でもありそうな映画撮影風景だったせいかと思います。
いろいろな国柄の撮影風景がシリーズ化されると面白いと思います。
キャメラが止まりまくる異常事態
オリジナルの面白さ。それは、「カメラを止めない」からこそのスピード感と緊張感だと思う。
ワンカット撮影を続けなくてはならないという極限状況で発生する、手に負えない失敗やエラーが笑いを誘ったのに、本作はテンポが異常に遅く、種明かしシーンのあの畳み掛けるようなスリルも笑いもない。意味のないつぶやきや会話がリズムを壊し、そのせいでワンカット撮影にも感じられないので、面白さがまったく表現できていない。
ほとんど同じキャスティングや演出を踏襲しながら、オリジナルの良さをすべて消し去った編集に逆に感心するぐらい。濱津隆之監督の編集力が、いかに見事だったかを証明しているので、映画の勉強をしている人は、この新旧2作の比較が良い教材になるのではないだろうか。
2回目は……
笑いきれなかったのが残念です。
ストーリーは、日本版オリジナルと、ほぼ同じでしたので。
役者さんたちのわざとらしい痛い演技も踏襲。
オリジナルは後半が爆笑の連続で腹筋が痙攣しましたが、残念ながらサプライズ効果がないと2回目では笑えないので厳しかったです。
というか、コメディであること自体が秘密だったのですが、日本人ならたいてい、その点は予備知識になってしまっているでしょうね。
救いは、ラストの一ひねりでほっくりと心温まること。
その分、☆0.5加点します。
作品と言うより事象として
「アカデミー賞監督が! まさかのリメイク」のキャッチに惹かれて観賞。しかし観終わった直後の不思議な感覚。
とみに記憶力の落ちた昨今、念のために2017年の「カメラを止めるな!」のあらすじを調べてみると、細部までは分からないけれど、起承転結がほぼほぼ同じ。
◉リメイクとオリジナル
小説・コミクス・テレビアニメを映画化するのではなくて、映画と映画の関係。しかも、例えば半世紀以上前の作品を、令和に新たに制作した訳でもない。「リメイク」に対するモヤモヤは消えない。今回の作品をいきなり観たとしたらどう思ったかは、正直、そうなってみなければ分かりません。
この場合は監督によって、どこがどう作り変えられたとか、認識し直されたとか言うよりは、こんな映画が2022年の夏に封切られたと思うのが、良いのかも知れません。
ただ私は「カメラを止めるな!」にはとても感激していました。しかし当時は、まだレビューを投稿していなかった。故に、今ここでオリジナル作品へのレビューを書いてしまおうと思います。
◉「現場合わせ」こそ
カメ止めの魅力と言うか、愛すべきところは、とにかく「現場合わせ」だと私は感じます。映画制作・編集制作・建築工事・土木工事などに必ず付き物の、調整やケツ合わせの可笑しさ、切なさ、愛しさが素晴らしかった。アタフタやアセアセが人間臭くて笑うのだけど、馬鹿にした気持ちなど一かけらもなくて、共感しかない。あの人間ピラミッドからコケるスタッフのおばさんが、今でも目に焼き付いています。
更に廃屋には、裏切りのゾンビストーリーがしっかり仕込まれていた。これも筋書きの一部だよねと思いつつ、彼女が彼氏の首を斧ですっ飛ばしたあたりでは、きれいに騙されていました。彼女の腕や首筋に付いた乾いた血を見て、コメディーに見せかけて実に陰惨な映画を観てしまったと、思っていたのです。
一見駄目父な濱津隆之さんが、娘を想いつつ、一念を貫くのも熱かったです。
オリジナルが凄すぎて、リメイクしようと揉んでいるうちに、呑み込まれてしまったと言う解釈でいいのでしょうか。評価は難しいですが、取りあえず、満点評価のオリジナルの半分としておきます。
そう言えば、この日は2本観賞で2本目が「キングダムII」。濱津さんは信たちを率いる分隊の隊長で、情けない顔つきながら、必死で合戦していました。
出涸らし感あり
いろいろ気になることが続きます。
なので笑えないし作品としても新たなエピソードもない。
気になった中でも理解出来なかったのは名前をどうして日本人の名前にしたのだろう?
見た目とのギャップがありどうしても馴染めなかった。
その理由もスポンサー側の意向という強制的なものなんだけど、もう少しスポンサー側の理由付けを作って欲しかった。
真珠湾
オリジナルの「カメラは止めるな!」が本当に衝撃作で、こんなどんでん返しを巻き起こす映画があるなんて!というのを大量に映画を見まくる前の自分にまだ見ぬ映画を観るきっかけを教えてくれた作品でした。
そんなミニシアターからやってきた傑作のリメイク。正直、やっても大きな変化は無いんじゃないかなとは思いましたが、大きな変化は無いにしろ、ちょっとしたらアクセントが効いていたり、元の面白いどんでん返しの良さがうまく活きていたと思います。
前半の違和感や、謎すぎるカメラワークなどはオリジナル元と殆ど同じなので、オリジナルでは「ん?」と思うシーンの種が分かっているので、そこを分かった上での面白さがありました。後半は種明かしが行われていき、そこからのテンポが元と同じくらいポンポンといくので、特に何も気負わず楽しめました。
ただオリジナルに依存しているなとは思い、リメイクならではの良さはあまり出ていなかったなと思いました。家族の絆や、オリジナル元からの注文がやってきて惑わされるというのは舞台を活かしているなと思いました。竹原芳子さん(どんぐりさん)は何だか嫌味なキャラになってたのが面白かったです。リメイクとして正解だったかはともかく、ちゃんと楽しめる作品でした。もう少し短ければなぁ。
鑑賞日 7/20
鑑賞時間 15:15〜17:20
座席 I-4
普通に楽しめました
あまり評判が良くないようで警戒してたけどおいらは意外に楽しめました。改変は最小限でそのまんまのリメーク故に、オリジナル(とそのオリジナルの戯曲)が如何に優れていたかを再確認した次第。いきなりこれから入った客にはやはりあの、なんかへんな間?とか変なセリフ?といったフックが回収される醍醐味が感じられたのでは。いくつか上手く振れてないネタがあった気もしたけど誤差のうち。てことで、今度はハリウッドスターでのリメーク希望。
名前くらい何とかしろって!
と言うか。フランスで日本軍?ナチスにせんか?欧州なら普通。何もそこまでオリジナルを再現しなくても。ってのはある。
鑑賞前からネタバレてると言う状態からです。流石に笑えるトコロで素直に笑いが出てこないのが辛いけど。パールハーバーの腹いせの下りはウケたのと、音声さんが絡む場面は、結構ツボったw
親子愛と映画愛と言う基本はシッカリと再現されててホッとしました。細部に亘る再現性の高さは吉か凶か?ってのはあると思う。
コレ、ホントにフランスで受けたん?
いずれにしてもですよ。ダサカッコ良いズームビヨーンビヨーンにガハハとなり。「こんなトコロに斧が落ちててついてるわ」で吹き。人間ピラミッドにはジーンと来て。日本版には無かったオマケには「やや受け」。
満足度はまずまずだったんですが。1人で見るのは勿体無いなと。イヤ、日曜午後のTOHOで貸切なんて夢想だにしとりませんでしたから。
日本版は入り過ぎだったけど。こっちは入らなさ過ぎだってw
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