「「今のままだとオリジナルのファンが納得しません」との台詞が皮肉にも感じて…」キャメラを止めるな! KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「今のままだとオリジナルのファンが納得しません」との台詞が皮肉にも感じて…
「カメラを止めるな!」の
リメイク作品とのことで、
余り期待もしないで鑑賞してみたが、
監督がアカデミー作品賞・監督賞受賞者
とは全くの認識外だった。
開始早々すぐに、下手な演出と演技に
観ることを止めたくなったが、
ひょっとすると、
この下手さ加減はわざなのか、とか、
まあオリジナルとの比較のためには
お付き合いするしかないとの思いで
最後まで鑑賞を。
この作品は、最初のワンカットの撮影が
どのような想定外の結果、撮られていたのか
との種明かしが魅力なのだが、
リメイク作品としては
そこに新たなプラス要素が必要になる。
しかしながら、
・好評だった日本作品の再映画化である
とした前提のストーリー
・再映画化において登場人物の名前を
日本人名とする条件があったとの設定
・登場人物の台詞が多く、
それが説明調に繋がり、全体の話の運びの
ぎこちなさを生んでいるような
等々の余計に感じる要素が、プラスどころか
オリジナル作品のリズムの良さを
マイナスにしてしまっているような印象
を受けた。
結果、作品の中で竹原芳子の通訳が発する、
「今のままだと
オリジナルのファンが納得しません」
がこの作品の質を言い当ててしまっている
かのような皮肉にも感じてしまう結果に。
「七人の侍」「ダイヤルMを廻せ!」
「いま、会いにゆきます」等々、
リメイク作品は山のようにあるけれども、
オリジナル作品を上廻ったケースを
私はほとんど知らない。
この作品も、監督の力量云々を超えて、
こちらが先だったら
それなりの価値があったかも知れないと
思うばかりで、
いかにオリジナルである価値が大切かを
教えられるばかりの鑑賞にもなった。
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