「カウラを忘れまい。そして、私の体は私のもの。」カウラは忘れない kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
カウラを忘れまい。そして、私の体は私のもの。
三食付いて労働なし。軍隊の上下関係も解消された平等なコミュニティ。各自が特技を生かして花札やグラブまで工夫して手作りしてしまう、潤沢なレクリエーションの機会。
そんな恵まれた捕虜たちがある朝突然決行された大脱走。それは脱走ではなく集団自決の変形版であると、オーストラリア当局が理解するのにどれくらい時間がかかったことだろう。 戦後の価値観の人間には、頭ではその思考回路を理解しようとすればできなくもないけれど、誰もが納得できない愚行だ。じゃあ、あなたがその場にいたら反対して「私の体は私のもの!」と叫べたか?、、、歴史にたらればはないと考え直すとして、未来においては絶対にそう言いたい。
当時、らい病のため一人だけ隔離されていたため距離を置いて事態を見守り生き延びた立花誠一郎さんの冷静さが印象的だった。強いは弱い、弱いは強い。
戦争の被害者としての歴史だけでなく加害者としての歴史を、のみならず、このような狂わされてしまった集団意識の歴史もしっかり刻んでいくべきだ。この映画のベースになったワークをした高校生に施された教育こそ「高等教育」だなあと思った。瀬戸内海放送さん、良いお仕事でした。
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