「デリカシーとリアリズムに欠ける作品」成れの果て kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
デリカシーとリアリズムに欠ける作品
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推し女優・萩原みのり主演とのことで、好みでないとわかっていながら鑑賞。案の定肌に合いませんでした。露悪を楽しむ負のファンタジーエンタメとでも言えそうですが、個人的には苦手です。一応テーマは西川美和の『ゆれる』と同様、きょうだい葛藤がベースになっている話ではあります。
妹に性暴力を振るった男と、姉が事実を把握した上で結婚して、それを知った妹が田舎に戻ってくるというストーリーです。いろいろと無茶な設定とディテールの雑さ、デリカシーの問題が印象に残り、みのりのド迫力ぶり以外はあまり良さを感じられず、どちらかというとドン引きする場面が多かったです。
姉が妹に対して強い羨望と憎しみを感じているのは序盤でわかりましたが、姉と結婚する男の心情が謎すぎる。とりあえず登場人物は皆自分のことしか考えていないのですが、この男は特によくわからなかったです。レイプしといて「俺も辛いんだ」という発言はさすがにどうかと思いました。もう少し実際の被害者への想像力を持った方が良いと感じました。
あと、知人の性暴力被害をネタにして学校で居場所を作れたり、営業トークで上手くいったりしますかねぇ?みんな引くんじゃない?男の知人カップルとかもむちゃくちゃで、こういう過剰演出が好きじゃないんだな〜と実感しました。閉塞した田舎だから、みたいなエクスキューズがあったとしても、さすがにそこまで倫理観ないのはファンタジーが過ぎるなぁとの印象です。
全体としてやたらめったらと悪を感情的に増幅させている印象を受けて、悪趣味エンタメの域を超えていないように感じました。
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