サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のレビュー・感想・評価
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歴史的にも、映像価値的にも見応えがある
歴史的にも、映像価値的にも見応えのある作品だ。埋もれていた映像がいまこうやって映画となって多くの人々の関心を集めている状況を見ると、69年当時の(商業的な)無関心が嘘のようだ。ウッドストックと同年に開催され、同時間帯には史上初めて人類が月面に着陸。しかし「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」に参加した30万人を超える観客にしてみれば、こちらの方こそが明かな「表舞台」と言えよう。本作はスティーヴィー・ワンダーをはじめとするミュージシャンたちのソウルフルな演奏を伝えつつ、このイベントの仕掛人たちや、開催した意図、警備を担うブラックパンサー党の存在、さらには観客側のファッション、階層、ステージ側から見た多様性、文化的な意味などについても考察。決して頭で理解するドキュメンタリーではなく、体と心で感じながら、伝説となった69年、そしてあるべき未来に思いを馳せる。そんな力強い一作に仕上がっている。
フィフス・ディメンションの"輝く星座"でヒートアップ
ドキュメンタリー映画にもなった伝説のロック・フェス"ウッドストック"と同じ1969年の夏に、ニューヨーク、ハーレムでは黒人だけのライブ・イベント、"ハーレム・カルチュラル・フェスティバル"、人呼んで"黒いウッドストック"が開催されていた!?なんて、知らなかった人は多いはず。そして、その中身にはさらにビックリ。何しろ、ここに映し出される記録映像には、スティービー・ワンダーを始め、時代のアイコンたちが次々に登場して渾身のパフォーマンスを披露する様子はもちろん、彼らの演奏に興奮し、拍手喝采を送る人々のリアルな表情が映し出されるのだ。その画像の鮮明さに、まずは驚く。
世代によって興奮ポイントは異なるかも知れない。筆者のように、洋楽が日本のヒットチャートを席巻していた時代を知っている人は、フィフス・ディメンションが抜群のハーモニーを奏でる当時のNO.1ヒット"輝く星座"でヒートアップするに違いない。同曲は、同じ頃、ハーレムをAトレインで南に下ったブロードウェーで上演されていたロック・ミュージカル"ヘアー"の主題歌だったことが紹介されると、時代の空気感が一気に体全体を駆け巡るのだ。
そんな風に、観客各々の音楽体験を即行で呼び覚ます本作は、同時に、今のBLMムーブメントに繋がるブラック・カルチャーのルーツを探訪する機会でもある。しかし、1969年のハーレムで貧困と差別に怒る人々が、まさか、50年後の今、更なる分断に直面することになるなんて、想像していなかったと思う。知られざるブラック・フェスの存在は、アメリカ社会の現実を再認識させるという意味で、こうして半世紀後に発掘された意味があるのかも知れない。
A Refreshing Visit to the 60's
The turbulent and groovy 60's get another visit in this musical documentary. The concert footage is pretty enjoyable even with its low budget and reliance on sunlight. This New York park concert really does seem like it's the turning point for Black identity in the US. Interestingly shot on the day of the lunar landing, it's another happy day in America against a backdrop of historical change.
黒い稲妻に撃たれよ!
ケネディ兄弟、マルコムX、キング牧師達が立て続けに暗殺され揺れ動く公民権運動の真只中でNYのハーレム近くの公園で開催された黒人ミュージシャン大集結の黒人による初めての巨大野外フェスの400時間に及ぶ映像記録を50年以上の封印から解き放ち、その革命の瞬間をソウルを込めて映画に編集し、輝く生命を吹き込んだ傑作ドキュメンタリーでした♪
昨年の公開時には大評判の作品、音の良い映画館で観たくて機会を探していたが我慢出来ず遂に諦めて今夜VODで鑑賞
素晴らしさをとても書ききれない💩自分が高校生の頃から今まで聴いてきたブラックミュージックのリアルタイムがてんこ盛りで興奮😽スティービー・ワンダーも交通事故前の姿だ!
特にニーナ・シモン、スライ&ザ・ファミリー・ストーンが命懸けて放つ強烈なメッセージはまるで闇夜を引き裂く閃光弾だ!😳
ブラックミュージックパワーに圧倒
ウッドストック、そしてアポロの月面着陸の裏で、このような巨大フェスが開かれていたことは全く知らなかった。
モータウン、ソウル、ブルース、ゴスペル、ジャズ、アフロ、ラテンと、ブラックミュージックのあらゆるジャンルの超一流ミュージシャンによる圧巻のパフォーマンスと観衆の反応のパワーに圧倒される。
フィフスディメンションやグラディスナイトが「あのステージに立ったことで、黒人であることに自信や勇気を持てた」といったことを語っていたが、そうした感覚は他の出演者や観衆も共有していたのだろう。
洋楽ファンとして名前は知っているものの、ちゃんと聴いたことのなかったアーチストのパフォーマンスが観られたのも良かった。特に、スライ&ファミリーストーン!人種・性別混合のバンドとは知らなかった。その後のプリンスへの影響もわかるし、今だからこそ彼らの先進性がよく理解できる。
当時ハーレムでは麻薬汚染が深刻化していて、黒人の若者たちを慰撫する場を設けることが、このフェスの一つの目的だったようだが、お蔵入りになっていたこれだけの映像記録が発掘され、50年経って観られたことで、現在の視点からの歴史の読み直しと、意義の再発見が可能になったと思う。
ビートルズのルーフトップコンサートもそうだが、まだまだ貴重なお宝がどこかに眠っているのではと期待してしまう。
それにしても、当時の観客の黒人はみんなオシャレでカッコいいね。
ドキュメンタリーを超えた歴史批評
フェスの映像を編集した音楽ドキュメンタリーに留まらず、50年間の歴史の批評になっていて驚き。
1969年、ウッドストックや月面着陸が「歴史」とされる中、忘れ去られたハーレム・カルチュラル・フェスティバル。
マヘリアジャクソン、ニーナシモンが特に素晴らしい。いや、全部良いんだけど。スティービーワンダーのドラム!デイヴィッドラフィンのマイガール!
月面着陸の「裏」ではスティービーワンダーがドラムを叩いていた。どちらが重要?どちらが歴史?だれにとって?
「決定権のある人たちが、歴史の一部にするほどではないと判断したんだ。まさに歴史の一部だったからね」
黒人といってもゴスペルやブルースだけでなく、カリブやラテン、アフリカンなどへの目配せがあるのもさすが。リンマニュエルミランダもインタビューで出ていた。
NY市長ジョン・リンゼイが市民目線でなかなかよくて、バイデンも見習えよ…と思った。
カルチャーと政治のグルーヴとムーブメント。日本ではなぜ断絶してしまったんだろう?カルチャーは「サブ」に?
歴史と音楽と政治をこんな風にナラティブに語れるのかと刺激的だった。
NewYorkTimesで働いていたCharlayne Hunter-Gaultが「ニグロ」ではなく「ブラック」を記事に使ったら直されてしまったんだけど、11ページのレポートを書いて反論したら認めてくれる人がいてそれ以降NYTでは「ブラック」を使うようになったという。
彼女はジョージア大学に入学した初めての黒人で、寮の1階にひとりで住んでいて、2階の白人たちは毎日床を叩いていやがらせしていた。そのとき彼女が聞いていたのが「to be young gifted &black」
私が10代のころソウルを聴き励まされていた。日本の音楽にはないエンパワメントする力を求めていたんだな。
どうして今までこの映像が世に出なかったの!?
第94回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞および第64回グラミー賞最優秀ミュージック・フィルム賞受賞作。
昨年見逃していたので、凱旋上映によって遅ればせながら劇場鑑賞ができました。
約50年間も埋もれていた記録映像を基に当時のニュース映像や出演者、観客らのインタビューなどを交えて構成されたドキュメンタリーです。
いやぁ、1969年にハーレムでこんな大規模な音楽フェスが開催されていたなんて全然知りませんでした。もちろん伝説のウッドストックは知っていましたけどね。
スティービーワンダーやBBキングなど豪華な出演者たちのパフォーマンスとともに社会情勢もしっかりと描かれているので、黒人の歴史、怒り、パワーなどもヒシヒシと伝わってきて圧倒されました。
ドキュメンタリーってあまり馴染めない方なのですが、この作品は全く中だるみせず、音楽にはゆらゆらと身体を揺らしながら堪能できました。
ハーレムの暑くて熱い夏、もっともっと観ていたかったです!
【1969年の夏、米ウッドストック・フェスティバルが行われたNYで、黒人アーティストが集ったハーレム・カルチャラル・フェスティバルの映像が、50年の時を経て、日の目を見た事実は重くて大きい。】
■副題の(あるいは、革命がテレビ放映されなかったとき)という言葉が発するメッセージは重い。
ベトナム戦争の混乱。ドラッグの蔓延。
そして、度重なる黒人活動家、マルコムX、キング牧師の暗殺の中、ウッドストック・フェスティバルが行われた事は、ロック好きであればどこかで聞いたことがあるであろうが、ハーレムのど真ん中で行われていたハーレム・カルチャラル・フェスティバルの事は、私は知らなかった・・。
◆感想
・冒頭の、スティービー・ワンダーのドラムソロから始まり、B.B.キング。
大御所が続いた後、The 5Th Dimension のアクエリアス(流石にこれは聞いたことがある。)
- 観客は9割黒人。それにしても、凄い人数である。30万人と流れる。ー
・個人的に響いたのは、スライ&ザ・ファミリーストーンと、ニーナ・シモンの演奏シーンである。
- 特にニーナ・シモンの怒りを鍵盤に叩きつけるような、演奏と歌には痺れた。
・当時のNY市長ジョン・リンゼイが白人ながらも、リベラルな思想を持ち、ハーレムの貧困を改善しようとする姿勢に共鳴し、コンサートの壇上に上げられ歓迎を受けるシーンも良かった。
- 黒人たちが肌の色だけで、人を判断していなかった事が分かる。
因みに、今作でも描かれているが、この頃から新聞、雑誌に記載されるワードは、二グロから黒人へと変化している。-
・同時期のアポロ11号、月面着陸を”黒人はハーレム。白人は月へ。金があるなら、ハーレムの現状を改善しろ!””ベトナム戦争は白人が勝手に起こした戦争だ!”と多数の黒人が怒りを込めて揶揄する姿。
<黒人シンガーたちが、歌を通して多様性や共生、平等を訴えかけるステージに熱狂する、ほぼ黒人の観客たち。
今作が、昨年夏に、公開された意義は大きいのである。
<2022年4月15日 Movix三好にて鑑賞。
本当は別の映画が公開予定だったが、監督がヤラカシタノデ(最近多い。全くもう。アメリカだけじゃないのかい!)急遽、”再上映”として公開された。多謝である。>
主催者のおじさんのインタビューが邪魔くさい
ほんとにこれに尽きる。
あんな同じ発言の繰り返しいらん。
ライブ映像をもっとくれ。
B.B.Kingとかくそ最高なのに一瞬じゃねえかよ。
この映画絶賛されていますが、それは演者への賞賛であって作品自体の評価ではないように思うのは私だけだろうか。
最近こういうの多いんですよ。
作品の評価よりもその思想を評価しちゃったり。
ウッドストックが名作なのはあのめちゃくちゃなぐちゃぐちゃなオーディエンスのヒッピー達の裏側をちゃんと素材で残してドキュメンタリーにできたからなんですよね。
サマーオブソウルはそういう素材があったのかなかったのか知らないけど当時の時事ニュースをいちいち挿入するのテンポ悪すぎよ。知ってることばっかだしな。
なんか期待した分損した気分になる映画だった。ある意味今季最悪かもしれない。そんなこというの私だけだろうけれども(笑)
時代背景その時のリアル
その差別の時代背景がリアルに伝わる
黒人音楽のドキュメント映画
ソウル、ブルース、ゴスペル、
ジャズにラテンまでステージはフェスティバル
NYハーレムは最先端の黒人たちが能力を発揮できる場所だったのじゃないか?と思うくらい
歌う筋肉含め身体能力も音楽センスもファッションも、演者も観客もみんなカッコいい!
観客の中にごく少数の白人少女が混じってたけど、大丈夫なのかしら?と思うほど
そのパークは熱気に満ち満ちた動員状態
ドキュメントにはインタビューが含まれていて、説明もあるのでいろいろ分かったんだけど、黒人は讃美歌を普通に歌えないんだね、憑依だったんだね…
なんかすごく腑に落ちた、ゴスペル…
神を賛美する歌の黒人スタイルであり
若者ウケや商業的な匂いもある近代の表現だと思ってたけど慟哭とも言える
あれは自然の憑依で必然だったんだ…
そしてニーナ・シモンの弾き語りが圧巻
怖いほどの迫力、それは差別に対する怒りと
革命を煽動する溢れるエネルギー、凄まじい
この直後にニーナ・シモンの映画を観た
彼女の激しさにとても驚いた…
もう一つ驚いたのがスティービー・ワンダーのドラムが上手だったことと
昔から大好きなマックス・ローチがソロで登場したこと⁉︎クールめっちゃクールだわ…
サーチライトだけは独立して欲しかった・・・
たまたまサービスデーだったので鑑賞。
正直、「『スパイラル』に1900円ではなく、こっちに1900円だろ。1200円で鑑賞したの悪かったな・・・」
なぁ〜んて思えた。
当時のフェスの映像を中心に、当時のイベント関係者や出演者、観客などのインタビュー映像で構成。
正直、アーティストの皆様方は、ほぼ知らない方々ばかりでしたが・・・
何だろうかな。
映像を通じて、熱い思いってのが伝わってくるってのかな。
とても興味深く鑑賞出来ました。
まぁ、このフェスの映像が長い期間封印されてしまったの理由については、ある意味納得。
今の時代だったら、スゴイ事になるとは思える。
個人的には、かなり貴重な体験をさせてくれた作品でした。
しかし、サーチライトまで買収されていたとは・・・
個人的に、独特の作品多かった印象があり、独立して欲しかったかな。
今後、この手の作品出てこないような気がする・・・
60年代のブラックミュージックに浸る
映像がきれい。長い間お蔵入りだったとは思えない。同じ時代の映画、ウッドストックより、ずっと鮮明で音もクリア。いまの技術って、すごいんだな、と思いました。
アレサ・フランクリンのアメイジンググレイスが最初から、最後まで、ライブ映像だったのに対して、少し時代は後かもしれませんが、こちらは、ニュース映像や、インタビューが所々に挿入されていて、ドキュメンタリーとして、飽きずに楽しめました。
マニエル・ミランダのルーツはハーレムなんですね。
フィフス・ディメンションの懐かしいヒット曲、アクエリアスにウルウル。
スライ&ザ・ファミリーストーンはウッドストックにも出てましたね。
BBキング、スティービー・ワンダーもニナ・シモンも力強くて、迫力がありました。
60年代に思いを馳せながら感動し、さらに、ノスタルジーだけではなく、こうした時代があったことを考えさせられる、優れた音楽ドキュメンタリー映画です。
タイトルなし
ウッドストックが開催された1969年夏
同時期に
"ブラック•ウッドストック"と呼ばれた
アフリカ系アメリカ人の音楽と文化を記念し
NY ハーレムのど真ん中で行われた
"ハーレム•カルチュラル•フェスティバル"
〚6/29〜8/24 6回開催〛
保管されたままだった映像を
当時を知る出演者や
参加者のインタビューと共に収め
50年の時を経て公開されたドキュメンタリー
Stivie Wonder
B.B.King
The Fifth Dimension
(NulbarichのTour名だ‼︎と思って観ていたら
"Aquarius…“この曲知ってる♬)
The Edwin Hawkins Singers “OH HAPPY DAY"
Mahalia Jackson の歌声に
ゴスペルは私たちのDNAの一部と語る
Nina Simons"哀しみ""希望"魂の叫びを聴きました
ブラックパンサーによる警備の中
計30万人以上を動員
音楽にこめられたメッセージは深い
厳しい時代に音楽は力となり
人々の心に寄り添ってきたことがわかる
解放や浄化を求め教会に通いゴスペルを歌う
JAZZ,ブルース…様々なスタイルの音楽
カリブ,アフリカ,ラテン,キューバ…
様々なジャンル,人種も異なるアーティスト
音楽を通して文化•歴史を知ることができ
ライブ映像としても楽しめる
歌声は心に響く
ハーレムのウッドストック
ウッドストックと同じ1969年に、ニューヨークのハーレムで開かれたライブを、お蔵入りになっていた映像で見せてくれる。
出演アーティストはすごいので、ある意味不思議。
スティーヴィー・ワンダー、ニーナ・シモン、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、B.B.キング、ザ・フィフス・ディメンション、マヘリア・ジャクソンほか。
圧倒されるライブ
何度も耳にしたことがある曲でも、ライブ映像をもって聴くと響き方が全く変わってくる。
なんてかっこいい音楽、なんてパワフルなパフォーマンス!!
純粋にライブ映像として楽しめる、その上で1969年当時、その前後のBLACKをめぐる背景を生々しく知ることができた。
その両方のバランス、見せ方がとてもかっこよかった。
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