「ドキュメンタリーを超えた歴史批評」サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時) hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーを超えた歴史批評
フェスの映像を編集した音楽ドキュメンタリーに留まらず、50年間の歴史の批評になっていて驚き。
1969年、ウッドストックや月面着陸が「歴史」とされる中、忘れ去られたハーレム・カルチュラル・フェスティバル。
マヘリアジャクソン、ニーナシモンが特に素晴らしい。いや、全部良いんだけど。スティービーワンダーのドラム!デイヴィッドラフィンのマイガール!
月面着陸の「裏」ではスティービーワンダーがドラムを叩いていた。どちらが重要?どちらが歴史?だれにとって?
「決定権のある人たちが、歴史の一部にするほどではないと判断したんだ。まさに歴史の一部だったからね」
黒人といってもゴスペルやブルースだけでなく、カリブやラテン、アフリカンなどへの目配せがあるのもさすが。リンマニュエルミランダもインタビューで出ていた。
NY市長ジョン・リンゼイが市民目線でなかなかよくて、バイデンも見習えよ…と思った。
カルチャーと政治のグルーヴとムーブメント。日本ではなぜ断絶してしまったんだろう?カルチャーは「サブ」に?
歴史と音楽と政治をこんな風にナラティブに語れるのかと刺激的だった。
NewYorkTimesで働いていたCharlayne Hunter-Gaultが「ニグロ」ではなく「ブラック」を記事に使ったら直されてしまったんだけど、11ページのレポートを書いて反論したら認めてくれる人がいてそれ以降NYTでは「ブラック」を使うようになったという。
彼女はジョージア大学に入学した初めての黒人で、寮の1階にひとりで住んでいて、2階の白人たちは毎日床を叩いていやがらせしていた。そのとき彼女が聞いていたのが「to be young gifted &black」
私が10代のころソウルを聴き励まされていた。日本の音楽にはないエンパワメントする力を求めていたんだな。