恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフターのレビュー・感想・評価
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強迫性障害の男。朝起きて、スミからスミまで掃除、除菌をして1日が終...
強迫性障害の男。朝起きて、スミからスミまで掃除、除菌をして1日が終わる。月に1度生活のために外出。病院に行き、支払いと買い物を済ませるのみ。外のバイ菌に触れてる間は行き先までの歩数をひたすら数えて気を紛らす。
いつもどおりのルーティン。いつもどおりの外出をした時、自分と同じ想いをしている女性と出会い…。
強迫性障害、潔癖症同士、自分は異常で誰からも理解されないと思っていた者同士が出会い恋をする。しかしそんな出会いでも普通の恋愛のようにすれ違い別れが訪れるものだと…。
切なく、哀しく、怖い映画でした。
すごく面白かったです。
#98 テーマはズバリ恋愛
一見『恋する寄生虫』と似てるかと思ったが、どちらかと言うと『花束みたいな恋をした』に近い。
潔癖症じゃなくても、自分と価値観が同じ相手を見つけるのは至難の業。
さらに付き合った当初は好きという感情でお互いの細かな違いを埋められるが、一旦立場が変わり心が離れるともう元に戻らない。
潔癖症が治ったほうの生活はどんどん変わって行き、もう同じ物を同じ気持ちで見れなくなる。
ラストまで見ても正解が分からず、観客が自分で考えろということか。
『親愛なる君へ』と二本立てで観たが、こっちが後で正解でした。
ポップな主役2人が実に魅力的
価値観の変化を知る
ラストの台詞に全ての答えがある。
強迫性障害という特徴を持つ超個性的な男女の恋物語。全編iPhoneで撮影しているということを知らなかったので始まった途端何だこの画角は?と思ってしまいました。もうそんな時代なんですね。
ボーチンとジンは極度の潔癖症によって外出時はレインコートをフードまで被りマスクに手袋も手放せない。家にいても毎日隅々まで掃除しないと気が済まない。同じ世界で生きる2人は出会い恋に落ちる。そしてマイナスをプラスに変えながら同棲生活を送るようになる。途中まではそんな2人を応援しながら観ていたのに、ある朝突然ボーチンの潔癖症が消え去ったことで物語はあらぬ方向へ転がりだす。
不穏な空気に包まれだす後半。さっきまで弾んでいた胸が違う意味でドキドキしてしまうような展開。もうラストはえー?!ですよ。びっくり。これはタイムリープでもパラレルワールドでもなく潔癖症であるということすら1つの要素に過ぎない。そこに何が当てはまっても成立するという訳です。あれだけ理解し合っていたはずなのに歯車が1つ噛み合わなくなるとなんて脆いのか。なるほどな~。
ジンがお洒落で献身的でめっちゃ可愛かった。ボーチンはムキムキでした。
恋が永遠に続けばいいのに
ビビッドな色彩は誰も寄せ付けない
潔癖症という病いを持った2人が出会い、理解できる相棒ができて毎日が心地よく満たされた生活を送るのだが、ある日突然!一方の潔癖症が治ってしまう。本人にとっては喜ばしい事だが、2人の関係はすれ違いを見せていく…ラストはあーそうなる?えっ?どうするの?って感じです。
圧倒的に視覚インパクトがある2人の服装、今までの潔癖症を扱う映画はほとんど主人公が白を着るのだが、この映画の主人公シエ(めちゃくちゃ可愛い)はビビッドトーン、純色の黄色や赤を着ている。その強烈なキャラクターは、ビビッドな色彩を身に纏わせる事で周囲にバリアをはっているように見える。そんな彼女が気弱になったり、気を緩めるシーンでは、色合いが弱まり寂しげ、不安な心を表していた。この映画は全編iPhoneで撮影されているそうです。物語のラストも撮影秘話も新規性がある映画でした。
ポップな展開からのエモ作品!
全てiPhoneで撮影したのが話題の今作。
上映開始から少しの間、如何にもスマホで撮影したっぽい縦長映像で「これで全編いくの?」と不安になったんだけど、直ぐにいつも通りのワイドサイズに戻って、何の違和感もなく鑑賞出来ました。
今まで観てきた台湾作品と同じく、作風も登場人物もキュートで、特にヒロインのジンを演じた〝ニッキー・シエ〟が最高に可愛らしい!
衣装やセットのビビットな色使いや、コミカルな演出は非常にポップかつスタイリッシュ。邦題の軽さもあっててっきりほのぼの・のんびり系作品かと思ってたら終盤はかなり切ない展開に。(原題:怪胎は日常会話で使われる分には〝変わり者〟とか〝オタク〟とか程度に気軽に使わるものらしいけど、本来の意味は〝奇形児〟っていう悲しい単語らしい…)
結末も「おいおい、まさかの夢オチなの?」と思わせといてからの「そうきたか!」とくる、余韻タップリのエモ作品でした。
鑑賞特典で、ジンが着ていた黄色の可愛らしいポンチョを貰ったけど、実際に着る勇気はありません 笑
可笑しくってすごく切ない
潔癖症のボーチンとジン。ふたりはその潔癖症故に出会い、お互いを理解し合い、恋に落ちた。
前半はボーチンの視線で、まさに潔癖症あるあるな日常がコメディタッチで描かれるのだけど、ある日突然ボーチンの潔癖症が治ってしまい、ふたりの間にずれが生じていく。ここからジンに視点が変わるのだが、なんともまあ切ない展開に涙させられる。
観終わって考えた。果たして正常ってなんなのだろう。
わたしは潔癖症というほどではないものの、病的に執着が強く、自己診断ではあるものの強迫性障害だったのだろうと思われることがあった。今ではもうすっかり鳴りを潜めており、我ながらあれは何だったのだろうと不思議に思うくらいではあるものの、そんな経験から彼らの潔癖症についてもある程度理解はできる。
けれども、じゃあその頃の自分が異常だったかといわれると、そんなことはないと思うのだ。もちろん、潔癖症のふたりと違い、わたしは診断を受けて病名がついたわけではない。でも病気と判断されたら異常なのだろうか。人と異なるところがあったら異常なの? でも人間誰しも苦手なものがあったりこだわりがあったりするものじゃないのかな? それが強くなって、普通の生活が送れず、病院で診断を受けて病名がついたら「異常」なのだろうか。その「正常」と「異常」の間はグラデーションであって、どこからが正常でどこまで葉異常なのかなんてデジタルに決められるものでもないと思うのだ。
確かに映画のふたりはちゃんとした生活が送れないくらいではあったので、異常と言われてしまっても仕方がないかもしれない。ただ、それでふたりの間に亀裂が生じてしまうのはとても切ない。
コメディを観に来たつもりで気軽に構えていたせいで、余計に考え込んでしまった。これから見る方は要注意ですよ。
前半と後半の雰囲気が全く違って引き込まれた。
気分は落ちるが面白い。
ラブコメかなぁと思っていたら後半はシリアス…
恋愛は共通点が無いと始まらないが、その共通点が強迫神経症というのが面白い。どんな展開になるのかな?笑ったり泣いたりしながらHappy Endに終わるのかなと思っていたが、かなり違った。現実路線で話が展開。
ラストは、ええええーとなりましたが悪くない。いや、良かった。
愛ってなんなんだ!?
他のレビューにあったように台湾版の『花束みたいな恋をした』かな。サブカルを共通点に二人の恋が始まる花束…に対し本作は“強迫性障害”を持つ二人の恋が描かれている。
赤、青、黄など、洋服やインテリアに鮮やかな色を使ったポップな雰囲気や音楽、前半の明るさとは対象的に、後半からシリアスな内容へと移っていく。
趣味が同じとか、価値観が似てるとかで恋がスタートしても結局は破綻する場合が多い。
そもそも人の気持ちは変わるもの。カップルや夫婦にしてもどちらかが変化したり成長したりして釣り合わなくなって別れるパターンも多くみられる。
世の多くのカップルがうまく行かずに別れと出会いを繰り返してるからこそ、ハッピーエンドではなく、現実的な終わり方で個人的には好感が持てる。
結局はみんな自分が好き、恋に恋してるんだよね。
相手の成長と幸せを願えるのが本当の愛なのかも。
にしても、女の子の感情の変化をリアルに描き出していて静かに泣いてしまった。
あと主演の女優さんが菅野美穂と浅野ゆうこに似てる気がする。
描かれたのは潔癖症の恋愛の難しさではなく、恋愛フィルタの効果とはかなさ
恋愛って共通項の探り合いから始まると思う。趣味、出身地、部活、食事の好み、趣向とか…。人によって重視されるポイントが異なるが、重要ポイントの共通項があると一気に親近感が湧く。ラブストーリーはその共通項をどこに置いて、どのように確認しあうかが脚本の妙になる。
本作に出てくる2人は重度の潔癖症という共通項を確認しあうところから恋愛が始まる。普通ではないと自覚していてわかってもらえないと諦めているところに、自分のことを理解してくれる異性が現れる。たしかにこれは恋愛に発展しやすい(現実では共通項があっても恋愛に発展しないことがたくさんあるのだが…)。
しかも、付き合いはじめたら、潔癖症という共通項は結束を強める要素にもなる。ただ、物語としてはこのままでは済まない。その後の2人のすれ違いは普通の男女の恋愛と似ている。さらに、ラストは意外な展開が待っていて結構驚いてしまった。彼女の行動、決断は、優しさなのか、強迫性障害がもたらしたものなのか。
極端な形で見せてはいたが、わかりあえていると思っていたものが突如崩れてしまうという、恋愛のフィルタが演出するもの、そしてそのフィルタ効果のはかなさが表現されていた。考えさせられてしまった。気楽な気持ちで観たはずなのに、なかなか奥が深い映画だった。
【恋愛は残酷だと思うこと、その①】
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