劇場公開日 2021年7月16日 PROMOTION

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SEOBOK ソボク : 特集

2021年7月12日更新

映画好きこそ要チェック 人気俳優のブロマンスかと
思ったら…全然違う!「AKIRA」的な超能力SFだった

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映画ファンの皆様に、ぜひとも鑑賞リストにいれていただきたい作品がある。7月16日に公開される韓国映画「SEOBOK ソボク」だ。

主演は「新感染 ファイナル・エクスプレス」のコン・ユと、ドラマ「青春の記録」などで人気を博すパク・ボゴム。ポスターなどをみたとき「おや、イケメン2人のブロマンスか何か?」などと思ったならば、それは大間違いだ。

いや、大間違いは言い過ぎた。半分は正しい。たしかにブロマンス要素はある。しかもかなりエモーショナルなやつが。しかしこの特集で強調したいのは、本当のよさは“SF映画”としての側面だということだ。

驚くべきは、まるで「AKIRA」のような超能力バトルが繰り広げられる点。筋金入りの映画好きであればあるほど、観れば「なるほど、俺/私が好きなやつだ!」と膝を打つに違いない。

この特集では、本作の魅力を①ストーリー ②VFX ③テーマ ④脇役 にわけてご紹介する。


【予告編】永遠の命をめぐる壮絶な戦いを描いた、SFエンタテインメント

注目①:ストーリーが良い! 主役は“死なないクローン”と“死の寸前の男”

作品選びに際して「どんな物語か」は最重要項目だ。なにはともあれ、本作のあらすじを少々ぶ厚めに紹介しよう。

「余命わずか」と宣告を受けた元情報局員ギホン(コン・ユ)は、一件の護衛任務を命じられる。舞台はとある研究所。対象は国家の極秘プロジェクトによって誕生した人類初のクローン、ソボク(パク・ボゴム)だった。

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ソボクの骨髄ではiPS細胞が常につくられており、ゆえに彼が疾病で死ぬことはない。致命傷を負えば死ぬため“条件付きの不死”ではあるが、平たく言うと、ソボクは人類に永遠の命をもたらす可能性がある“至宝”にして、同時に人類のバランスを崩壊させる“災厄”でもあった。

ゆえに、謎の勢力がソボクを奪おうと狙っている。しかし研究所は、ソボクをシェルターに移して研究を続けたい。護衛がいる――そこでギホンはうってつけの人選だった。腕の立つ優秀なエージェントであり、生への執着が人一倍強いのに、死を目前にしているのだから。

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「ソボクの細胞を移植する臨床実験への参加」が特典のこの任務に、ギホンは飛びついた。ところが(やはりと言うべきか)任務開始早々、何者かの襲撃を受け、2人はからくも生き延びるが、その後もさまざまな勢力が襲いかかってくる。

危機に陥ると、ソボクは目を疑うような“超能力”を使い追手を蹴散らしていく。2人は追いつ追われつの旅のなかで、衝突を繰り返しながらも生と死やお互いの境遇を真正面から見つめ、徐々に心を通わせていく……。

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注目②:実はVFXがすごい! 人気作「AKIRA」彷彿させる超能力に興奮

コアな映画ファンであればあるほど、深く楽しむことができる作品。映画.comがそう結論づける最大の理由は、VFXにある。

上述の通り、また予告編でも映し出されている通り、ソボクは超能力を使うことができる。彼が念じれば、足元の砂が重力を無視したようにふわふわと舞い上がり、周囲の草花が竜巻に吹かれたみたいに巻き上がる。

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それだけにとどまらず、鉄のパイプをひん曲げたり、人を吹き飛ばしたり、壁や床に打ちつけたりもできる。戦闘時の超能力エフェクト(見えない衝撃の視覚化)が、大友克洋による傑作漫画「童夢」「AKIRA」を絶妙に彷彿させるのだ。この好感触、観ればおそらくピンとくると思う。

それらはVFXで表現されており、大げさに聞こえるかもしれないが、その品質は「マーベル・シネマティック・ユニバースとも勝負できるんじゃないか」と感じるほど。かなり気合いの入った映画であり、韓国における興行成績では初登場No.1と大きな成功を収めた。

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当然のごとく、アクションの質も高い。最初の任務、移送中に銃撃戦が突如として始まる。車が横転、爆発炎上し、乾いた発砲音が響き渡る――この混乱に放り込まれた唐突感がどこまでもヒリヒリする。画面は全体的に色調を抑え、ルックはソリッド。何気ない日常の一場面に緊張感が忍び寄る、ただならぬ画作りを堪能してほしい。


注目③:テーマが深い! 人間はなぜ死ぬのか? 死は必要なのか?

死なないクローンと、死を目前にした男によるロードムービーを通じて――つまり観客の鼻先に死を突きつけることで――本作は「生きるとは何なのか」「我々が死ぬ理由とは」を描き出していく。

ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの思想に、“死の先駆的決意性”というものがある。複雑な概念だが、噛み砕いて説明するならば「人間は避けがたい死を意識し、受け止めたとき、初めて己にふさわしい行動とは何かを考えることができる」ということだ。

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病により余命僅かなギホンは、すべての病を治す可能性があるソボクと行動をともにし、“人間の究極の目的”にたどり着く。死が無意味な敗北ではなく“必要悪”なのだとしたら、それは一体なぜなのか――。

すべての答えは、韓国で初めてクローンを題材にした本作のなかにある。

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注目④:この“脇役”を見ろ! アン部長という強烈キャラに痺れる、グッとくる

最後に、主演2人に負けじと強烈な存在感を放つ“漢”に言及し、特集を締めくくろう。その名はアン部長。ギホンの元上司であり、本作における悪役の1人だ。演じるのは韓国映画・ドラマには欠かせない名脇役チョ・ウジン(「国家が破産する日」「トッケビ 君がくれた愛しい日々」など)。

感情の読めないジトッとした目つき、唇をほとんど動かさないしゃべり方、低くすごみのある声。爬虫類のような狡猾さと、猛禽類のような獰猛さを併せ持つこの男のオーラたるや、半端ではない。筆者はファーストルックから彼に視線が釘付けだった。

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物語では国家安保を理由にソボクを抹殺しようとしており、往々にして他人の命など屁とも思わぬ冷酷な悪人と映る。が、その人格を形成する“韓国特有の社会背景”を読み解けば、「アン部長こそ本物の“漢”だ」と心で感じることができるはず。いや、クズ野郎であることには変わりないけど、全編通じて本当に味わい深い活躍をするんだこの人は……。

この項目の冒頭で「最後に」と言ったが、申し訳ない、もうひとつだけ印象深いことを語らせて欲しい。ギホンとソボクが追手から逃げる最中、隠れ家でビリヤード台を机がわりにカップ麺を食べるシーンがある。

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具は皆無だし、麺はボソボソしていそうなのに、これがなぜかめちゃくちゃ美味そうに見える。しかもこのカップ麺を通じて、2人は絆を深めるきっかけをつかむから面白い。

映画的な絶体絶命のピンチでもなく、決定的な勝利でもなく、ただただカップ麺を食う平凡なことで連帯感が芽生える。友情というのは、特別な出来事がなくても案外、簡単に育めるもので、ありふれているものだからこそ素晴らしいのかもしれないな、と思った。

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物語、VFX、テーマ、キャスト、心くすぐるシーンの数々。これらが高次元で融合した結果、どの場面を切り出しても安っぽさや嘘っぽさがないからすごい。それは潤沢な製作費やたっぷり確保された製作期間を背景に、ハイレベルのプロフェッショナルたちがこだわりにこだわりを重ねた結果、実現できたのだろう。

韓国映画はここまでできる。人気俳優のビジュアルももちろん素敵だが、それだけでなく、映画の粋を堪能できる一作だ。

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