「罪悪感で溺れそうな自分自身へ。」親愛なる君へ はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
罪悪感で溺れそうな自分自身へ。
冒頭、そこには殺人罪で裁判にかけられるジエンイーの姿。一見誠実そうな彼は誰をどのように殺したと問われているのか。遡ってその年の正月。ひとつ屋根の下に集う家主で糖尿病を患う老女シウユー。その息子リーガン。リーガンの甥っ子で9才のヨウユー。そしてジエンイー。なぜ他人のジエンイーがここに居るのか。なぜ家事をし、シウユーの介護を引き受け、金銭的にも支えているのか。
散りばめられた謎。そして嘘。はびこる偏見と差別。消化不良な箇所もありますが、最後まで丁寧に描いている印象でした。
結局これはジエンイーの贖罪の物語。シウユーに対して。ヨウユーに対して。そしてパートナーであったリーウェイに対して。その妻に対して。深い罪悪感で溺れそうになりながら尽くし続ける。体の抑圧は解放できても心はそうはいかない。こんなに自分自身を許せない人生が続くのか。こんな状態ではきっとヨウユーの本物のパパ2号にはなれない。
ジエンイーとヨウユーによる告白によってひとつの家族に終わりが訪れる。きっと無理矢理引き離された訳ではない。こうすることが最善だろうと私も思った。この方がいい関係性が築けるような気がする。
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