「愛なのか、贖罪なのか?進むほどに入り込めない」親愛なる君へ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
愛なのか、贖罪なのか?進むほどに入り込めない
本作の舞台は同性婚が認められる前だそうなので、この時の台湾の同性愛者に対する意識ってどうなんでしょうね?まだ混沌としている時代なのかな?中国は同性愛は病気って認識を持つ親が多いし、国としても存在すら認めていないから(ドキュメンタリー映画で描いてました)台湾も偏見は強かったのかなぁ?その辺りを踏まえるとジェンニーの世間に相対する強さは「愛情」の具現化だと思います。
ただ、その愛情は誰に向かっているのか?というのが物語が進んでいくほどにわからなくなってくるんですね。深読みしすぎているのか、僕がひねくれているからなのか?この演出の仕方だと「贖罪」としての行動として見えてしまったのです。愛するが故の嫉妬発言が悲しい事故の原因と考え、ヨンユーから母を奪った罪滅ぼしとして、母がわり父がわりをしていたようにしか見えなくなってしまったのです。ヨンユーや義母への愛じゃないんじゃない?贖罪きっかけなんじゃ?って。
ですから親愛なる君の「君」はヨンユーではなく、亡きパートナーなのでは?と。そうするとヨンユーとのエピソードがどんどんと薄っぺらに感じていってしまうんですよね。さらに結末としてもかなりあっさりですし、警察への自供に関してもやっぱり「贖罪」としか見えないんですよね。
勝手な思い込みですが、この映画はジェンニーとヨンユーの間の愛情であり、時代に抗ってそれを全うしようとする物語なんじゃぁないかなぁ?と思うのですが、そうは見えなかったのです。その要因はやっぱり、演出の仕方ですし、話の持って生き方を失敗している気がします。肝心な二人のエピソードも弱いですしね。
あくまで、僕個人の感想ですが、ちょいと期待はずれだったなー。