「最高のバカ映画です。おススメ」ウィリーズ・ワンダーランド urotannさんの映画レビュー(感想・評価)
最高のバカ映画です。おススメ
廃棄された子供向けの遊戯施設に残されたアニマトロニクスに、殺人鬼の魂が宿っており猟奇殺人を繰り返している・・・というあらすじは完全にファイブナイトアットフレディズです。
インスピレーションを受けているのは間違いないでしょう。
しかしてこの映画がホラーかというと、さにあらず。
バカ映画としか分類できない映画なのです。
主人公は遊戯施設のある町でタイヤがバーストしてしまい立往生、いろいろあって、一晩こもりきりでその遊戯施設を清掃することとなります。
しかし、この間主人公は一言もしゃべりません。というか映画中最後までうめき声と気合以外の声を出すことはありません。この設定と、ニコラスケイジの演技、迫力が良い味を与えています。
広間に並ぶ人形たちはさながらロックマンのボス選択画面で、ボスを倒すと入り口にゴミ袋が増えていき、だんだんと遊戯施設がきれいになっていくのもなんだかゲーム的。
ともすれば陳腐になってしまいそうですが、そこで無口でハードボイルドを通り越してもはや変人の主人公が良いんです。
ただただ淡々と掃除をし人形を破壊して粗大ゴミにして捨てるだけという、何を考えているか全くわかりません。人形が動き出して襲ってこようが人間が死んでいようが一切お構いなし。この主人公には掃除をしてエナジードリンクを飲む以外の目的は無いのです。
清掃に関してもなにか異常なほどに腕が良く、人形たちを粉砕しながらボロボロだった施設はどんどんときれいになっていきます。そして、その描写が丁寧です。
主人公のもはや理不尽な強さに対してなんの説明もなく、たまたま通りすがっただけのなんかめちゃくちゃ強いオッサンという、もはやコイツが超常現象です。
しかし、なぜだか最後にはそんな超常現象な主人公に感情移入しており、ラスボスが現れて犠牲者の腸をまき散らしたときに感じるのは恐怖ではなく怒りです。
せっかくキレイにした広間をぐちゃぐちゃにしやがってマジでふざけんなよ!〇す!という怒りが自然と湧き上がってきて、主人公と一体となれます。
こんなにめちゃくちゃな映画で内面描写のほぼない主人公に感情移入できるという非常に稀有な体験をしました。
ニコラスケイジの演技と存在感に引き込まれて笑いながらポップコーンのおいしく食べられる非常におすすめな映画ですよ。