「【”ずっと一緒だ”と彼は言った。人はいつか必ず、地に戻り星になる。けれども、その時に愛した人が傍に居てくれたら、これ以上の幸せは無いと思った作品。観る側に深い余韻を残す、哀しくも美しき作品でもある。】」スーパーノヴァ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ずっと一緒だ”と彼は言った。人はいつか必ず、地に戻り星になる。けれども、その時に愛した人が傍に居てくれたら、これ以上の幸せは無いと思った作品。観る側に深い余韻を残す、哀しくも美しき作品でもある。】
ー ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)は、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。
だが、タスカーが抱えた病が、かけがえのない2人の思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。
大切な愛のため、それぞれが決めた覚悟とは…。(フライヤーより)ー
◆感想
・フライヤーを読むと、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチは、20年来の友だそうである。
ピアニストのサムと作家のタスカーが、キャンピングカーで旅に出た際の社内でのユニークで楽しそうな遣り取りからは実際に友人である事が、何となく伺える。
- 名優二人の最初は楽し気な、そして終盤に向けて哀しみ溢れる様に変化する二人の演技が、素晴らしい。-
・タスカーが抱えた病(認知症)が徐々に進行していく様が、ワンショットで描かれる。
それに気づくサムだが、彼は敢えてそれに触れない。
- サムが社内で見つけた“ペントバルビタール経口液”の瓶。鎮静睡眠剤だが、過剰摂取すると死に至るクスリである。あの量は、充分に致死量を越えている。驚きと悲しみの表情を浮かべるサム。
更に、別のシーンでは、サムは作家のタスカーの草稿を盗み読む。最初は整然と書かれていた文章が徐々に乱れて行き、最後は単語になっている草稿を読んだ時のサムの哀し気な表情。そして、サム、サム、サムと綴られた紙を見つめるサムの表情。ー
・サムの姉の家に寄ったサムとタスカー。サムの姉の家族から歓待され、翌日はサプライズパーティが行われるシーン。
タスカーが書いたスピーチ。彼が病ゆえに読めなくなり、サムが変わって原稿を読む。そこに掛かれていたタスカ―が皆への感謝を伝える言葉。そして、サムへの深い感謝の言葉。
- 外に出て、美しい星空を見上げながらタスカ―がサムの姉の娘に語り掛ける言葉。
”星は死ぬ前に、最も光るんだよ・・”-
<イギリスの湖水地方の美しき風景も趣を与える作品。
ラスト、新居のベッドで寝ているタスカー。階下から聞こえて来るピアノ曲。
階段の手すりを掴みながら降りていくタスカーが見たピアノを奏でる、サムの姿。
木製の机の上にある木箱がクローズアップされる・・。
そして、画は暗転し、盛装したサムがピアノを独り弾くシーンが描かれ、終幕する。
観る側に余韻を残す、哀しくも美しき作品である。>