「銀塩写真」MINAMATA ミナマタ ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
銀塩写真
ユージン・スミスの展覧会を見たことある。その時は、全仕事を網羅してたので、水俣だけでなく、若い頃の作品や、日立製作所の写真もあった。水俣の写真はどれくらいあったか、カントリードクターやスペインの村など、名作ぞろいだったと記憶している。
ジョニー・デップは、外見をだいぶ本人に寄せていた。もしかしたら話し方も真似てるかもしれない。ユージンは戦場でけがをして、かなり後遺症に悩まされていたらしいし、チッソの暴行で片目は失明するわ、固形物は食べられなくなるわ、体はぼろぼろだったそうだ。あの滑舌の悪い感じは、そういうのも出していたのかも。
アイリーン役の美波。大人になったねぇ。彼女を最初に認識したのは、10年ほど前のNHKドラマ「下流の宴」だった。大好きな人と別れるシーンは、彼女の演技にもらい泣きしたよ。なんか、ふわっとしてるようで、実はしっかりした包容力のある女性役が、すごく合ってると思う。ユージンとは親子ほど年が離れているが、傷ついて疲れきった彼を母のように包みこんでいた。存在感があって、とても良かった。
チッソ社長の国村準はさすが。「我が社では写真の薬材も作っているから、あなたも使ってるでしょう」と刺してくるあたり、やらしいわ。確かに写真の廃液は、簡単に捨てられませんわな。でも、悪役ではあるが、人間味は感じさせる。賠償を認めた時の涙は、どういう思いだったのだろうか。
暗室作業は写真家にとって重要なので、映画に入っているのはうれしいが、ヒヤッとするところがいくつか。ネガを触る手がぞんざいかな。表面に指紋や汚れを付けないように、端っこを挟むように持たないと。あと、乾燥した、未カットの長いままのフィルムを、くわえタバコで扱うのはやめてくれ。プリントの時に、現像液のバットに直接手を入れるのも、びっくり。トング的なものを使って欲しい。現像、停止まではギリいいとしても、定着液はいかんよ。手が荒れ放題だよ。ユージン・スミスが実際にやっていたのか知らないけど、写真は化学でもあるので、仕上がりに影響ある作業は、検証してもらいたいな。
20世紀末には、印画紙は各種メーカーが販売していたが、コダックが中止した時には、ひとつの時代が終わったと思った。今はどうなっているのか、ネットで検索してみたら、富士フイルムも作らなくなっていた。イルフォードが健在だったが、値段が2〜3割高くなっていた。でも、モノクロフィルム、現像液、印画紙などの暗室用品は、まだ入手可能で、銀塩写真は細々とでも続いていると知り、嬉しく感じた。デジタルしか知らない人も多いかもしれないので、写真の歴史を伝える意味でも、この映画を製作した意義があった。
エンドロールの写真の、世界各地で繰り返される出来事に、胸が痛んだ。
写真、詳しいんですね。そういえば、うちにもミノルタの一眼レフがありました。(今はどうなったか)
ユージン・スミスさんの写真集は持っていましたが、展覧会は見たことがありません。きっと、実物を見ると感動が違うのでしょうね。
水俣病は今も続いている問題なので、映画でみんなの注目を集めた意味は大きいですね。
ぷにゃぷにゃさん
大河、観ていらっしゃるんですね。「麒麟がくる」しか、観ていません。。
政権、変わるかと思っていたのですが、変わりませんでしたね。。
岸田総理に対しては、好ましく思っていますが。
ぷにゃぷにゃさん
コメントへの返信有難うございます。
先ず困窮者救済を、と思いますよね。留学生含む苦学生の救済も。遊興費の出せる世帯に給付金は不要ですよね。税金を有効に遣って貰いたい。
ぷにゃぷにゃさん
コメントへの返信有難うございます。
論点はズレますが、生活に困窮していなさそうな身なりの人が、給付金が欲しいとインタビューに答える映像を目にする度に、日本人の一人としてやるせない気持ちになります。
ぷにゃぷにゃさん
思っていた以上に重い作品でした。
そんなに昔ではない日本で実際に起きた事で、社会的にも忘れ去られようとしている事(自身も含め)、当事者や家族がが受けた苦悩の深さ、被害者が泣き寝入りに近い状況に陥ってしまう怖さを改めて感じています。
映画が世に知らしめる力も感じました。
ジョニー・デップ、日本人の出演者の皆さんの怒りに近い思いが滲む作品でした。
> デジタルしか知らない人も多いかもしれないので、写真の歴史を伝える意味でも、この映画を製作した意義があった
そんな時代になったんですねえ、感無量。とはいえ、銀塩は綺麗だからなんらかの形で存在し続けるのでしょうね。
ぷにゃぷにゃさん、今日は!そうです、トライxはコダックだったと思います。フジ派なんですね!フィルム現像の時は少し高温でやって画像荒らして森山大道!焼くときは柔らかめにして石内都~!と真似した気になって喜んでました。二人が今も第一線で活躍してるの素晴らしいと思います。
うちは叔父が写真館をやっていたので赤くて暗い現像室と、あの酸っぱい匂いは思い出の光景です。
先日、キタムラカメラに行ったら、フイルムが「見本」に3本だけ置いてありました。世の中の様変わりに愕然となりました。
ネガフイルム1本、
ポジフイルム1本、そして
ASAの高いのだったかクローム云々だったかが1本。
それだけ。
ぷにゃぷにゃさん
ユージン・スミスの展覧会に行かれた事がある、だけではなく、「写真を習った事がある」んですね👀極めていらっしゃいますね✨
美術や音楽など芸術系がお好きなんですね。そして映画も。(スバラシイ!)
ぷにゃぷにゃさん
この作品、未だ観ていないのですが、「現像」について(も)かなりお詳しいですね👀
携わっていた事がおありだとか…なんでしょうか??全く知らない世界ですが、勝手に脳内で映像化していました☺️