「病ではなく“ひと”にスポットを当てた映画」MINAMATA ミナマタ 015🎬さんの映画レビュー(感想・評価)
病ではなく“ひと”にスポットを当てた映画
まずはこの作品を作ってくださったことに感謝です。
題材がかなりセンシティブな内容なのでどうなることかと思っていましたが、蓋を開けてみれば『水俣病』自体より、そこに関わる人々との心の交流がメインのお話でした。
ただの被写体としてではなく自分と同じ人間として、ただし現地の人と自分自身の間はきっちり線を引いて“やるべきこと”に徹するジーンの姿が、非常に印象に残りました。
どちらかと言えば、水俣病というよりもユージン・スミスという人物に重きを置いた作品。
それでも、水俣病のことを知らない世代が過去を知る、貴重な動機付けのひとつとしては十二分に作用する作品と思います。
ところで、他のレビュアーさんの中でキャストの選出に違和感を覚えられた方がいらっしゃいましたが、この映画を観そうな海外の層(やや上の世代向け)でも知っていそうな日本人(補足:真田氏、浅野氏、加瀬氏、國村氏はすべて海外の監督の下での撮影経験があります)および英語のイントネーションが聞きやすい日本人俳優と考えると、実際のご本人と異なる背格好や年齢であったとしても、致し方ないかと思います。
若干、脚色してるかな?というところはありましたが、それでも。感謝と、敬意と。
そして日本人としては、もう二度と同じことを起こさないように。