ミラクルシティコザのレビュー・感想・評価
全5件を表示
70'sコザロック
監督さんからTwitterのフォローがきてこの作品のことを知り、そういう新鮮な縁を感じ鑑賞。
序盤は割と寒いシーンが続き、これ大丈夫かな?と思いつつ観ていましたが、祖父が事故って天に召された後に孫と体を入れ替わるといういきなりなんでもありのファンタジーになったあたりから面白くなっていきました。
桐谷さんのナヨナヨした感じと堂々とした感じの演じ分けがお見事でした。ご本人とても声量の出る方なので、今作は最大限にその魅力が活かされていたなと思いました。ディープなまでに沖縄の歴史についても描いており、戦争だったり、日本返還前のコザだったり、人種や国籍の問題だったり、作り手側の沖縄への思いがひしひしと伝わってくる作品でした。
ライブシーンはやや少なめで物足りなかったのですが、ORANGE RANGEの手がけた楽曲はとてもカッコ良かったです。コザロックとはまた違う魅力が発揮されていました。あと爺ちゃん達が演奏するのはカッコいい…
人物描写がそこまで描かれていなかったり、演奏シーンの少なさは残念といった感じですが、トータルでは中々の良作じゃないでしょうか。今後沖縄に行くことがあればコザの街並みもたどってみたいなと思います。
鑑賞日 2/16
鑑賞時間 12:05〜14:10
座席 C-1
Past Meets Present
コザ市
かつて1956年から1974年まで
沖縄県の沖縄本島中部にあった
沖縄なのに海に面していない市
(このままのカタカナ表記)
戦中には米軍の野戦病院が建ち
戦後にはすぐ北西に嘉手納基地が
建つなどし米軍基地近隣の繁華街
として急激に発展
ベトナム戦争勃発とともに
人流も増加し酒・女・ドラッグに
まみれた混沌とした街となった
その後那覇市と合併し今では地名に
名を遺すのみだが
コザ市のステージで米兵を前に
活躍した日本人バンド達は
今も存在し今でも活動を続けている
事前情報は全然知らず
公開映画一覧でどうにも魅かれる
ところがあった映画で公開規模を
心配していましたが近所でも
やることがわかり観に行きました
「未完成映画予告編大賞」で
グランプリに選ばれおよそ3000万
の予算で作られたそうです
でどうだったかというと
一言でいえば「超良かった」
序盤はコメディタッチながら
終盤にはしっかり泣かせて来るし
米軍と沖縄県民の関係の中にある
葛藤や苦悩もおおいに描き
それでいて監督は30代の若者!
心を打つ作品でした
こういう映画と出会えるから
映画館通うのやめられない
2022年の沖縄県那覇市「コザ」
かつての勢いを失い寂れゆく一途の
街にある「喫茶店オーシャン」には
昔はロックバンドでブイブイやってた
とか昔話で盛り上がる老人ばかり
店主のたつるは昼間から飲んでばかりの
父ハルに自分を置いていなくなった母
そして得意の作詞とラップで
天下を取ると口だけで何もしない
28歳ニートの一人息子翔太に
うんざりした結果元ハルのバンド
「IMPACT」でドラムをやっていた
比嘉の不動産会社から湧いてきた
コザの再開発計画に乗って店を閉め
翔太には家を出ろと突き放します
するとある日夜にフラフラしていた
ハルは交通事故であっけなく
死んでしまいます
その後翔太が悲しんでいると
幽霊となったハルが現れ
「まだやり残したことがあるから
身体を貸してくれ」と言い出し
理解できてない翔太に体当たりすると
あっさり乗り移ってしまいます
現世で翔太はハルになりますが
では翔太の霊魂はどこに行ったのか?
翔太が起き上がるとなんと
「コザ市」の米兵達を前にした
ライブハウス「GATE」の壇上の
ハルと入れ替わってしまい翔太
は思わず逃げ出してしまいます
そしてメインストリートに出ると
そこにはネオンが煌々とする
自分の知っているコザとは全く違う
酒と女とドラッグと欲望にまみれた
1970年のコザ市が広がっている
のでした
周りには
一晩で家が建つほどのカネを稼ぐ
「IMPACT」のメンバー
現世では出会い系アプリばっか
やってるエロじじいだった
ギターの平良
現世では認知症のじいさんだった
ベースの辺土名(へどな)
現世では不動産屋でコザを更地に
しようとしているドラムの比嘉
らが様子を見ながらGATEの
マスターのマサがハルを
介抱しますが「俺は翔太だ」と
言い張るハルを「ドラッグのせいか」
としか思っていません
そこへヤクザの火元がやって来て
自分の女マーミーを寝取ったハルを
ぶっ頃しに来ますが
IMPACTの稼ぎを知り上前を
ハネることにされてしまいます
マーミーはハルを愛しており
翔太はそこでマーミーのお腹に
自分との子供がいる事や
自分の金で喫茶店「オーシャン」
を作っている最中であることも知り
現世とのつながりを知ります
現世で(中身ハルの)翔太は
爺さんになった平良らの現状を
嘆きつつもう一度バンドをやろうと
呼びかけます
その中で翔太は死の縁で「ビリー」
を見たと言うと一同の目の色が
変わります
ビリーとは?
50年前のハルは中身が翔太なので
全く歌えませんが組んだライブは
やってもらないといけないので
ステージに上げますが出来ないので
客からはビール瓶が飛んできたり
めちゃくちゃです
そこで翔太はじいちゃん助けてと
叫ぶとその瞬間だけ中身ハルが
降臨し熱く一曲を歌い上げて
しまいます(紫の書下ろしだそうです)
現世の翔太はその間固まっていましたが
その後ハードオフのギターを
かき鳴らす姿やビリーの話から
爺さんたちは中身がハルだと言う事を
信じ始めます
さて1970年コザ市のハルはいまいち
メンバーはドラッグが抜けてないと
思われがちなままでしたがある日
米兵にリンチされている男を見つけ
ハルが助けるとその男は脱走兵で
「ビリー」と名乗りIMPACTの大ファン
だとメンバーについてくるように
なります
メンバーは気にせずにいましたが
どうも比嘉だけは疎ましがっています
そんな仲間も増えながら過ごしていると
上前を持ってこないハルを例の火元が
襲撃に来て払わないなら頃すと
脅してきます
するとビリーが火元らがドラッグを
基地近くのライブハウスで
売りさばいているから警察を呼んで
一網打尽にすればいいと提案
メンバーはそれを実行し
警察が現場を押さえます
火元はマーミーを連れ去りながら
逃げようとし追いかけるハルは
銃を突きつけられてしまいますが
そこでマーミーが火元の頭を
ブロックで殴打し殺害
ハルはマーミーと回転間近の
オーシャンに逃げ込み
そこでマーミーはこれでもう
街にいられないとハルに
別れを告げます
ハルは自分に愛想をつかして
いなくなったことにしておく
事にすると言います
翔太はここでなぜ婆ちゃんが
爺ちゃんの元を去ったのか
真相を知ることになったのです
そしてそんな事の後にコザ市では
飲酒運転の米兵による沖縄民の
ひき逃げ事件に端を発して
地位協定による不公平な処罰に
沖縄民の不満が爆発し
暴動に発展した「コザ騒動」
が発生(1970年12月20日)
そこらで火の手が上がり
米国人は見つけ次第暴行される
中でビリーも巻き込まれ
(この時暴力をふるう現地人の
迫力がすごい)
ビリーをふと見つけたハルは
間に入って止めようとすると
比嘉は妹を米兵に
暴行され殺された過去を
明かしなぜそんな奴らを
助けるとハルを問い詰めます
するとハルは「それをやった
のはビリーじゃない」
とだけ・・・
起こる気が失せた比嘉は
その場を立ち去り
ビリーは追いかけて
自分の母親は日本人で
ありアメリカ人でも日本人でも
ない自分の立場を比嘉に
打ち明けます
比嘉はコザの四方どこへ
行こうと金網で出られない
囲われた世界であることを
心底呪っているのでした
ほどなくビリーは
屋上で撮ったIMPACTの
メンバーとの写真を皆に
渡してくれとバーのママに
渡しベトナムの戦地へ向かう
決意をします
メンバーはその数日後
ビリーが戦死したという
報告を聞くのでした
翌日ハル(中身は翔太)は
メンバーにコザはもう終わり
50年後にはみんな老いぼれて
うだつのあがらない街に
なってしまうとぶちまけ
平良たちは「おまえは誰だ」
ととうとうハルではない
何かを確実に感じ取りながら
喧嘩別れしてしまいます
誰もいなくなったGATEで
翔太はノートを見つけると
そこには自分の才能のなさを
嘆きながらも必死に歌詞を
絞りだそうとするハルの
苦悩を知るのでした
沖縄はすでに1969年に
佐藤栄作首相とニクソン大統領
の間で沖縄が日本に返還される
合意を果たしていました
ただ米国領期の米兵の犯罪や
処遇について不満が強かった事と
米軍関連の雇用で生活してきた
現実で板挟みにあった沖縄の
人々の気持ちは計り知れません
ここで場面は現世に戻り
それまでの70年代のエピソード
をビリーとの思い出のように
じいさん達がふけっていると
そこへビリーの孫を名乗る
男がやってきて一同を驚かせます
ビリーは実は戦死しておらず
重傷を負いながらも生きており
現地で療養していたが
本人の希望で思い出の地の
沖縄に移っていたそうで
今では記憶ももうなくなって
いるけど思い出の何かを
祖父に見せたいと言います
つまりいよいよIMPACT復活の
時が来たわけです
じいさん達は復活ライブの準備を
進めますがそんな折翔太の父
たつるはハルの遺品の整理を
していると古いフィルムを
見つけるとそれはオーシャンが
オープンした頃の若いマーミー
が映った映像で一緒に入っていた
手紙には遠くからハルへの思いを
つづった手紙がたくさん出てきます
たつるは母は見捨てたのではなかった
事を知り泣き崩れます
着々とライブの準備を進める
ハル(体は翔太)とじいさん達
そこへもうガラの悪い事はやめろと
再開発推進派の連中がやって来ます
するとたつるが開発計画書に小さく
支払いは5年でと無茶な記載が
あった事をバラし
業者を問い詰めます
比嘉も虫の予感がしたのかやって来て
コザは変わるんだとハルたちを
やめさせに来ます
するとハルは「大丈夫だから」
と比嘉をたしなめます
比嘉はIMPACTを組む前
泥棒をしながら明日が見えない
毎日を過ごしていたところを
音楽をやろうと声をかけて
くれたのがハルだったのです
その時も「大丈夫だから」
と声をかけられたのです
比嘉は憑き物が取れたように
スティックを握り
IMPACTは復活します
その曲にとうに記憶を失った
ビリーも反応するのでした
そして50年前のライブハウス
ハル(中身は翔太)はGATEの
2階から聞こえてくるギターの
音のあまりのひどさに
辺土名と平良が入ると
ハル(翔太)は先日のことを
謝って自分が作詞をするから
50年残る曲を皆で作りたいと
頼み込みます
ハルの体を使って知った
コザの歴史を見た今の自分が
やりたいことを
何をやっても続かなかった
翔太がやっとつかんだのです
メンバーはよくわからないまま
熱意に押されて曲を作ります
そして現世
その瞬間翔太の魂も元の体に
戻ってきます
一曲歌ってハルは成仏できました
(客側にいますけど)
そこで翔太はメンバーに
「あの曲をお願いします」
と言うと皆が頷いて
翔太が作詞した曲が始まります
コザの過去と未来がつながります
ここは泣けます
思いはつながってく 怖くない
生きてる限り 僕は死なない
人間はもう100年生きるのです
50年くらいで変わるものでは
ないのですね
宮古島は言ったことあるけど
沖縄はまだ行ったことありませんが
本州の人は沖縄民謡・ソーキそば
といったイメージが強いですが
実際はどっぷりアメリカ文化な
ところをあまり知らない気がします
コロナが落ち着いたら沖縄も
訪れてみたいものです
そう思わせてくれる
パワーを持った作品だったと
思います
タイムスリップコメディ
と言うので、ライトな感じの作品かと思いきや、意外とシリアスで、沖縄の抱える問題を表した作品です。もちろんクスッと笑える場面も多いですが。今でもその頃のバンドが存在しているなんて驚きです。
【”沖縄、コザのロック魂は、永遠に・・・。”沖縄県民が長年抱える米軍基地問題をベースに、前半コミカルに、後半はコザのロックンロールが染み渡る作品。桐谷健太の魅力全開作でもある。】
ー 沖縄の諸問題は、流石に知識としては知っていたが、コザにあんなに格好良い(しかも、現役!)ロックバンドがある事を初めて知った作品。-
◆感想
・前半は、ショータと、彼の変人お爺さんハルとの50年を超えた、入れ替わりタイムスリップのドタバタ劇を楽しく鑑賞。
・特に、桐谷健太の1970年代のハルを演じたイケてるロックンローラーの演技と、現代からタイムスリップしてきたショータのナヨナヨ演技のギャップが流石である。
・後半は、沖縄県民が長年抱えて来た米軍基地問題と、何時ベトナムに赴任するか分からない日系アメリカ兵の悩む姿に魅入られる。
- 少し、脚本が粗い部分もあるが、気にせずに鑑賞。
1970年代のコザのロックンロールを堪能する。
ショータのラップは、米兵たちには受け入れられなかったけれど・・。-
<フライヤーを見ると、2022年は沖縄日本復帰50周年だそうである。
だが、現実は沖縄には今でも、米軍基地が厳然と存在し、ウチナンチューとの溝が無くなったとは、とても言えない状況が続いている。
今作は、そのような沖縄市、コザの人達の様々な想いを、格好良いロックに乗せて描いた作品である。
劇中、数曲披露される、現役ロックバンド“紫”の曲は、格好良かったなあ・・。
コザのロック魂は、永遠に続くのである。>
今見えているものだけが全てではない
たまにふらっと訪れるコザ
ドーナツのある映画館やソーセージ屋さん、食堂に珈琲屋さん、お洒落なカフェまで色々なお店が閑散とした街の中にもそれぞれの佇まいで花を咲かせています。
私はたまに訪れるだけなのにそこにいる人達はみんな温かくてまるで自分の地元に帰ったかのようなそんな感覚すらも覚えます。
この映画を見てやはり昔も熱くて素敵な街だった、しかしその裏にはここに暮らした人達にしか分からない苦しい過去があったんだと知ることができました。
そんな一昔前のコザにどっぷり浸らせてくれたキャストの皆さんが本当に素晴らしかったです。主演の桐谷健太さんの難しい感情を表す表情や思いっきり泣くシーンが鑑賞から時間が経った今でも記憶に残っていますし、マーミー役の大城優紀さんは仕草の一つ一つから声・セリフまで本当に愛らしいキャラクターに仕上がっていて彼女が出てきた後は映画の中の雰囲気が軽やかだけど心にこびりつく哀しさを含むなんとも言えない空気を纏っていました。どうにもならない苦しさってこんななのかなとちょっと思ったりしました。
県出身の俳優さん達が沢山起用されていて方言がとにかくすごい笑
↑確実に見所の一つになっています。
音楽を担当したORANGE RANGEが私たちが小さかった頃とは全然違うスタイルの曲で登場!
明るい中にも悲しみが伝わる、映画をよく表現した素敵な歌でした。桐谷健太(IMPACT)ver.は鳥肌がたちました。ORANGE RANGEだけでなく劇中の音楽がことごとくカッコ良いです◯
またこんな沖縄満載の映画が見たい!ということで南の島のフリムン観てきます。
全5件を表示