劇場公開日 2022年1月7日

  • 予告編を見る

「もう一押し欲しかったかな」決戦は日曜日 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もう一押し欲しかったかな

2022年1月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

鑑賞予定はなかったのですが、イオンシネマの無料鑑賞クーポンが期限切れになりそうだったので、なんとなくよさげな本作をチョイスして鑑賞してきました。政治に疎い自分には難しいかなとも思いましたが、政治や選挙の裏側をわかりやすく描いてくれていて、なかなか楽しい作品でした。政治家にとっての講演会の意味や大切さ、SNS 頼りの炎上手法や支持率上げのための拡散など、なんでもかんでも政治に結びつけているところも笑えました。

ストーリーは、病気で倒れて一線を退くことになった代議士である父の地盤を引き継ぐことになった、娘・川島有美が、やる気はあるものの政界の知識や常識に乏しく、数々のトラブルを引き起こし、それに事務所の秘書たちが振り回される中で、政治にとって本当に大切なものに気づいていくというもの。全編コメディタッチで描きつつ、現代の政治の在り方をチクリと刺すような展開がなかなかおもしろかったです。

主演は窪田正孝くんで、忠実で有能な働きぶりを見せる一方で今の政治の在り方や自分の生き方に疑問をもつようになる、議員秘書役を好演しています。そんな彼を振り回す川島有美役の宮沢りえさんも、世間知らずのお嬢さまゆえの歯に衣着せぬ物言いで反感を買いつつも、政治に正面からぶつかっていく姿がしだいに共感を得ていくという役どころを、いいさじ加減で演じています。脇を固めるのは、小市慢太郎さん、音尾琢磨さん、内田慈さんら安定の布陣。

それにしても、よくテレビで見る「代議士は何も知らず、すべて秘書がやりました」の裏側で、どのようなやりとりが行われているのかを見ることができたのは勉強になりました。そして、政治や選挙の裏側に正義など存在しないというのもよくわかりました。もちろんこれが全てだとは思いませんが、政界に限らず、どの業界にも表沙汰にできないことや組織のしがらみや慣例があります。正しくても貫けない、間違っていると知りつつやめられない、そんな中で折り合いをつけながら清濁あわせ飲むしかないのもわかります。しかし、そんな業界の常識は、世間の非常識であることもしばしば。自分を含め、本作が自身の働きぶりを振り返る機会になった人も少なくないのではないでしょうか。

と、こんな感じで、父の疑惑に触れた川島有美が秘書の対応に疑問を投げかけるシーン、市民目線の川島有美の支援を通して谷村が本来の政治の在り方を取り戻そうとするシーンなど、物語がさらにおもしろくなりそうな雰囲気が何度か漂いました。しかし、そこからイマイチ加速しなかったのがもったいなかったです。車に例えるなら、シフトアップしながらアクセルを踏み込まなかったような感じです。ラストもそんな感じで、ややもどかしくはありましたが、全体としては悪くはなかったかなという印象です。

おじゃる
満塁本塁打さんのコメント
2022年1月10日

返信ありがとうございます。私もオッサンですが、ジジイの横暴・・堪えどころですねぇ。かといって完全実力主義の年功序列完全無視も、それはそれで職場が殺伐とするのは明白ですからねぇ。人間ロボットでは無いですから、誰しも歳を取り程度の差こそあれ、横柄になりますから。むずかしいですねぇ。長文すみません。

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2022年1月9日

イイねありがとうございました😊😭。激しく同意します。どの世界でも「汚い裏側」はあるでしょうから。
ただ「政官財」の中で「官僚」だけは清濁ではもはや済まなくて、完全に「真水」でしょうけども・・・政財は基本自由でしょうから・・・

満塁本塁打