「長野県の地方交響楽団・弥生交響楽団。 18年続けてきたが、経営難は...」太陽とボレロ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
長野県の地方交響楽団・弥生交響楽団。 18年続けてきたが、経営難は...
長野県の地方交響楽団・弥生交響楽団。
18年続けてきたが、経営難は楽団の存続を脅かしていた。
父親から引き継いだオーナー花村理子(檀れい)は奔走するが、解散せざるを得なくなってしまう・・・
という物語で、これ以上でもこれ以下でもない。
というのは誉め言葉。
シンプルな物語は、映画をよくする要素の一つである。
で、この映画も、そのシンプルさはよく出ている。
まぁ、地方の小さな交響楽団を維持するのは大変なことで、文化活動を援助しようとする経営者は少ないだろう。
また、演奏家そのものの数も少ない。
なので、物語的にはわかりきった物語であることは承知の上で観るべき映画である。
わかりきった物語を描く水谷豊監督の演出はオーソドックスで、劇中1日の終わりと始まりは、フェードアウト・フェードインで描かれます。
このリズムがいい。
凡庸な物語であるがゆえに、このオーソドックス演出がいいのである。
楽団の最期のひと花にむけていろいろと物語が繰り広げられるが、既視感ある物語で、そこいらあたりはそれほど気にならない。
途中、繰り広げられるコミックリリーフエピソード(仲間内の対立が実は・・・といったあたり)がずんだらなのが惜しい。
最終的手にはあだ花なクライマックスを迎えるのだけれど、そこへ至るのはやや唐突だが、無駄に練習シーンなどをみせないあたりは潔い。
だが、クライマックスの演奏シーンが、有名楽団とのコラボ、それも演奏者選抜というのは納得がいかない。
たぶん、役者自身の演奏にこだわった故に、演奏の質が低下、ということになりそうで、結果、演者選抜(演奏シーンはカメラで抜くという手法)を採らざるを得なかったのではありますまいか。
下手は下手なりに、楽団員全員での演奏がよかったと思うのですがね。
つまらなくはばいが、ちょっと長いよね、って感じの出来でした。