劇場公開日 2021年10月29日

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「余りにも長く退屈なイントロ」そして、バトンは渡された keithKHさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0余りにも長く退屈なイントロ

2022年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

巻頭4人の登場人物を紹介し、各々のキャラクターとその環境に個性的な魅力を漂わせ、作品への期待感が膨らませますが、これが本作の大いなる伏線であり、観客を巧妙に騙します。伏線が実に巧妙に仕組まれた作品です。

しかし、そのためのイントロが余りに長過ぎ、主要人物であるミータンと優子の、まるで日記でも綴られていくように、事件も波瀾も起きないまま、物語は極めて淡々と単調で平凡な日常が、約3分の2が経過するまで執拗なほど繰り返されます。少なくとも私は、倦怠感に襲われて完全に辟易し、離席しようかとも思いました。
しかし、この非常に退屈で間怠い長い長いイントロにこそ、残り3分の1の尺の罠が、実に巧妙に仕組まれています。
視聴後の多くの人の講評が滂沱に包まれた感動を論じている、そのエピソードが綴られます。

本作は、永野芽郁がヒロインとしてタイトルロールの筆頭に流れますが、本作は、間違いなく石原さとみ扮する梨花が真の主役であり、物語の核となります。自由奔放で、天真爛漫で、陽気で、大らかで、気儘なマイペースの、典型的ジコチュー女。映像では斯様に描かれて、いつの間にかイントロの中でフェイドアウトしていきますが、その真相とのギャップが、多くの観衆の涙を誘うことになるのでしょう。

総じて高評価で、感動したという声が多いのには納得はいきます。ただストーリー展開には、やや強引で辻褄が合わず首を傾げる箇所が散見され、またとにかく前半の退屈な尺のあまりの長さがあって、後半の裏事情の披露には、少なくとも私は感情移入することは出来ず、多くの人のようには感涙に耽ることは出来ませんでした。
従い役者自身が号泣しているのを、非常に冷静に客観視してしまっていました。

keithKH