「シン・シリーズでは逆に異例なド直球アクション映画に満足❗️」シン・仮面ライダー kickass9582さんの映画レビュー(感想・評価)
シン・シリーズでは逆に異例なド直球アクション映画に満足❗️
『シン・ゴジラ』では未曾有の災害や大戦に見舞われた日本と言う国が持つ史実を活かした風刺劇に特撮愛、『シン・ウルトラマン』では完璧に庵野さんと樋口さんご自身のウルトラマン愛を現役のまま提供したような決して悪い意味でない『空想特撮ウルトラマン同人映画』を見せてくれた庵野秀明監督。僕自身は両方楽しく鑑賞致しましたが、それは『映像体験』を楽しんだと言うよりも庵野さん作品の持つ独特のセリフ回しやストーリーテリング、元となる作品への最早偏執的なまでの拘りや愛を感じられての事であり、逆を返せば単体の『アクションエンターテイメント映画』としての魅力は両作とも二の次と言った印象でした。
今回の『シン・仮面ライダー』も監督ご自身の仮面ライダー愛や様式美へのリスペクト、それから独自の視点での風刺描写に重きを置くんだろうな…と鑑賞前にあれこれ予想して観に行かせて頂いたのですが。
開始直後、予告でも流れていた殺伐としたBGMと大型トラック、それからシン・サイクロン号が轟かせる爆音に始まり、クモオーグとショッカー戦闘員に猛追される本郷とルリ子のバイクチェイス、次いで雪崩れ込む様に手振れによるスピード感溢れる格闘と仮面ライダー第1号の人外の破壊力で魅せる血飛沫飛び散るアクションシーンが始まり思わず頭が思考停止してしまいました笑笑 いやいや、ここからはまた情報量の多い庵野さん節といつもの旧作への目配せで魅せるシン・シリーズでしょ?と思いきや、緑川親子と本郷が身を寄せたセーフハウスにドローンを操るクモオーグが急襲。cvの大森南朋さんが醸し出す怪しげな魅力とその正しく人外の能力であっと言う間に緑川弘を亡き者にすると再び本郷猛、仮面ライダー第1号との怒涛の攻防戦に突入します。そして再び大量に襲いかかって来てはド派手に血飛沫を上げていく戦闘員達。
クモオーグとの戦闘ではお互いの『人外合成型オーグメント』の能力を活かしたスピード&パワー格闘、そして終いには空中戦まで飛び出してライダーキックで結びとなります。
開始数分から予想を超える展開を見せられて、放心してしまいましたがその後もスピード感そのままに続く本編を観ていて思いました。
監督に失礼かも知れませんが、庵野秀明さんの作品とは思えない程…この『シン・仮面ライダー』、ド直球にアクション邦画として楽しめる様に作られているんだ、と。
そう、今作『シン・仮面ライダー』。他の庵野作品と比較してもダントツで視覚的に先ずアクションシーンが面白い且つ物量も増し増しなんです笑笑(個人的な感想ですが)
これがいい意味で予想外過ぎて他の事を考えられなくなるぐらいには笑笑
だってそうですよ?一年ほど前の『シン・ウルトラマン』ではややもっさりした動きのウルトラマンが昭和のディテールそのままにソフビ人形みたいにクルクル大回転していたり、人間態のウルトラマンとメフィラスが居酒屋でクスっとなる様な庵野節の舌戦を繰り広げている所を『…あー…らしい映画だな』と思いながら観ていたんですから、ここまで良い意味で毛色変えて来るとは思わないですよ。
増してや公開前の予告映像でもアクションシーンなんて殆ど宣伝していませんでしたし、今回も他の『シン』の例に漏れず『そう言う映画』なのかなって思うじゃないですか笑笑
兎にも角にも今回は『本当に庵野さんの作品なの?』と言うぐらいに次から次へと襲い来るオーグメント達とのアクションに重きが置かれており、そのオーグメントの登場数も予告に出て来た者が全てではありません!笑笑 これだけでもかなり満足なんですが、クライマックスとラスボス戦にはダブルライダー対量産型仮面ライダー、果てには映画オリジナルのラスボス…緑川イチローが変身する仮面ライダー第0号(蝶オーグ)VSダブルライダーと言うライダー同士の激闘まで用意されています。
大体こう言ったアクション増し増し映画のラスボスは尻すぼみになる印象が多かったのですが、今作の仮面ライダー第0号戦はその独特の戦闘スタイルによる唯一無二のアクションシーンが楽しめる様になっていて、ライダーバトルとしてかなり見応えがあります。
と、同時になぜ演者が森山未來さんなのかが納得の行く殺陣になっています。モダンバレエを始めとする各種コンテンポラリーダンスの才に溢れる方ですもんね笑笑
と言った具合にライダーファンの方も、そうでなく『ヒーローアクション映画』を観に来た方も存分に楽しめる映画である『シン・仮面ライダー』ですが、個人的に好きだった若しくは面白かったシーンを以下に纏めます。
・先ず冒頭のクモオーグ戦 スピード感と『人外合成型オーグメント』の容赦ない破壊力を見せつけられます。
・コウモリオーグ戦 サイクロンすげー飛ぶじゃん…伏せながら拍手するヴィールスに操られた女性たちが怖い…
・ハチオーグ戦 まさかの2対1のアクションから瞬間移動の如き日本刀での剣戟へ!
・サソリオーグ戦 今作唯一の仮面ライダーが関与しない、政府の特殊部隊VS人外合成型オーグ&女性戦闘員の物量アクション。サソリオーグはまさかの長澤まさみさん!『真の安らぎはこの世になく』を読まれていてサソリ姉さんが気に入られた方には嬉しいアクションです。
長澤まさみさんが『エクスタシー!』『oh!ひっどーい』と異様なテンションで嬌声を上げながら派手に暴れ回り、爆笑の散り方をしてくれます笑笑『真安』の方では重い過去抱えてそうだったのに…awesome!
・仮面ライダー第1号VS第2号戦
バイクチェイスからど迫力の徒手格闘、陸空を往き来してのドラゴンボール並みのハイスピードライダーバトル… 一文字『いいねぇ…』
・仮面ライダー第2号VSK.Kオーグ戦
まさかの予告で全く告知なし!本郷奏多演じるカマキリカメレオンオーグと遂に仮面ライダーとして覚醒した一文字のめちゃくちゃカッコいいアクションシーン。この本郷奏多さん演じるカマキリカメレオンオーグの猟奇的な攻撃スタイルと、それを上回る圧倒的な戦闘力で完封する第2号と言うスタイルが何とも令和のアクション映画らしいクールさで好きです。
・第1号&第2号vs大量発生変異相型バッタオーグ戦
予告でも見せてよ!笑笑 俗に言うダブルライダー対ショッカーライダーのバイクチェイス&ライダーキックのバーゲンセールの様など迫力バトルです。一糸乱れぬ動きの量産型ライダー達がマシンガンを一斉掃射して来ると言うインパクトの強いアクションシーンは必見。
しかも大量発生変異相型には凶暴性がプラスされているという極悪リーサル・ウェポンっぷり。マスクが損壊した後のクリーチャーのような素顔も迫力あります。
・ダブルライダーvs仮面ライダー第0号戦
只管に第0号が強くて美しい。今作最後に相応しいライダー同士の死闘です。戦いの果てには……。
と言う感じです。
…全部じゃねーか笑笑
兎に角、本当に全てのアクションシーンがド直球に面白いので注目して欲しいです。
公開前に庵野さんがコメントされていた『僕だけが観て面白い物にはしたくない』と言うのがまさかこう言う事だったとは…。
仮面ライダーが好きな人も、そうでない人も楽しめるアクションエンターテイメントとして公開された『シン・仮面ライダー』。少しでも興味がある方は一見の価値ありです。
是非映画館で大いに興奮し、ワクワクし、シアターの灯りがつく頃には自分の『プラーナ』を使い果たしましょう笑笑