コットンテールのレビュー・感想・評価
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父と息子のもどかしい関係
若年性認知症の妻『明子(木村多江)』を亡くした『兼三郎(リリー・フランキー)』は
その法要の席で菩提寺の住職から『明子』の遺言を渡される。
そこには、幼い頃に両親とひと夏を過ごした
イギリスの湖水地方の湖に自身の遺骨を撒いて欲しいと書かれていた。
故人の願いを叶えるべく
『兼三郎』は息子の『慧(錦戸亮)』とその妻の『さつき(高梨臨)』
孫の『エミ』と共にイギリスに旅立つ。
ここからが{ロードムービー}のお約束、
幾つかの試練が主人公を待ち受ける。
仕事の忙しさにかまけ、
父親と息子の関係はそもそも良好なものではなかった。
それに追い打ちを掛けるように
『明子』の介護の仕方でも対立。
病魔に侵された妻の姿を子供に見せまいとする『兼三郎』。
もっと自分を頼って欲しいと思う『慧』。
抱え込みの問題がここでも起き、二人は更に疎遠に。
自分くらいの年齢になれば
身につまされるエピソードの連続に
観ていても気分は暗くなるばかり。
旅中でも親子の関係はぎくしゃくし、
『兼三郎』は独り湖を目指すが
案の定、道に迷ってしまう。
我々が経験するような目的地にたどり着くことができない悪夢は、
しかし物語りでは、彼を助ける父娘が現れ、
その家で過ごすうちに
主人公の頑な心は次第に解される。
もっとも彼は更に大きな秘密を抱えており
それを吐露することが親子の寛解に繋がりはするのだが。
過去と現在を往復しながら、
ストーリーは静かに綴られる。
作家を目指すも挫折し、
望まぬ英語教師で糊口をしのぐ『兼三郎』の複雑な心境と共に
彼を信じ続けた妻の遺志に何としても報いたいとの思い。
その一方で、目的の為なら小さい盗みを平然と犯す
ややエキセントリックな性格付けは
人間の二面性を見せ付ける。
時として現れる他者への尊大な態度と併せ、
果たして彼にシンパシーを感じて良いものやら
良くないものやら、と。
散骨をする場所の特定に使われる一枚の写真には
幼い『明子』とその両親が仲良さそうに寄り添っている。
とは言えそれは表層的であり、
仕事で多忙な父親は、加えて厳しい人間だったことが『明子』の口を通じて語られる。
それだけ、その夏の思い出が素晴らしかった証左なのだろう。
父親は『光石研』、母親は『真矢ミキ』なのは
エンドロールで確認できること。
誰とも判然としない茫とした一葉の為に
随分と贅沢なキャスティングをするものと感心してしまう。
うさぎが好きだった
兼三郎は妻・明子の葬式で疎遠となっていた息子のトシと息子の嫁のさつき、孫のエミと久しぶりに会った。酒に酔い、だらしない態度の喪主・兼三郎に、トシは苛立ちっていた。坊主から渡された明子の遺言状には、明子が好きだったピーターラビットの発祥地・イギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいという内容だった。兼三郎とトシ一家は、明子の願いをかなえるため、イギリス北部の湖水地方へ行くことにした。そんな話。
うーん、響かなかった。
愛する妻を亡くした夫の喪失感なのかなぁ。父と息子の距離が離れてたのが近づいていく過程を描きたかったのかなぁ。
明子は痛いって言ってたからガンだったのか?認知症と併発したの?明子の最期に兼三郎は何か関与したようだが、それはなんだったんだ?
行間を感じ取れ、という作品は苦手です。
コットンテールがうさぎの事だということがわかって知識が増えたくらい。
イギリスの湖水地方は何度か行った事があるが、イングランドの中では景色が良い方だなぁ、と思い出した。
もう少し北のスコットランドの方が山もあって自然は美しいと思うが、本作とは関係ないね。
リリーフランキーと木村多江の若き日を演じた工藤孝生と恒松祐里はそっくりで違和感なく、完璧なキャスティングだと感心した。
切ないけど、、、
とても切ないストーリーですが、予告通りというか、予想通りというか、ひねりはないけど。それでもやっぱり切ない話でした。
リリーフランキーの自然な演技と、綺麗な映像とが組み合わされて、日本映画とはちょっと違う雰囲気。監督が海外の方とのこと。納得です。
リリーさんは凄い役者ですね。
ちなみに錦戸亮はイケメンすぎる。
ただ、日本人では言わないようなセリフがあったり、ちょっと違和感もあります。
いい映画でした。
何となくいい話
コットンテール(あるいはカトンテール)は、ピーターの3匹の妹たちの名前の一つでもありますが、主人公の美しかった妻の面影を、捕まえられないウサギのふわふわの尻尾になぞらえているのかなと思いました。
本作は題材は良いのですが、兼三郎のキャラクターや行動の理由があいまいで、何だか靄がかかっているように感じました(湖沼地帯だけに)
辛く悲しい出来事があったわけですが、その事が彼の超身勝手な言動や、手癖の悪さ(万引き)や、息子とギクシャクしている事に関係しているのかどうかが分かりませんでした(もともとそんな感じだったみたいなセリフがあります)
美しい風景を期待していたのにそれ程でもなかったのは残念でした。
セリフや展開にん?と思う所もあって、何だかぼんやりした話でしたが、出演者の演技で良い感じにはなっています。特に木村多江さんの表情には惹かれました。
兼三郎にとってのコットンテール
予告の切ない雰囲気に惹かれて鑑賞してきました。リリー・フランキーさんの持ち味が際立つ、素敵な作品でした。
ストーリーは、最愛の妻・明子を亡くした兼三郎が、「夫婦で訪れたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨してほしい」という明子の遺言を受け、息子・慧とその妻と娘を伴ってウィンダミア湖を目指すというもの。言葉にするとたったこれだけの話なのですが、慧との衝突と兼三郎のさまざまな回想が、観る者の心を揺さぶります。
不器用で自分勝手だが、妻・明子への一途な愛だけは十分すぎるほどに伝わってくる兼三郎。その一方で、最愛の妻が自身以上に大切にしていた息子・慧とはぎくしゃくしています。おそらくこれまで二人の間を取り持っていたであろう明子が亡くなったことで、二人はこの旅で初めて向き合うことになります。
自分を邪魔な存在だと感じ、息子に迷惑をかけたくないと考えている父。父は自分の世界に足を踏み込まれることを拒んでいると考えている息子。互いに相手を気遣って遠慮していたのかもしれませんが、その思いはすれ違い、いつしか疎遠になってしまった親子。そんな二人が、この旅で初めて互いの思いをはっきりと口に出し、互いの胸の内を知ります。
幼き日に明子が追いかけたコットンテール。この旅で兼三郎が追いかけたコットンテールは、明子との数えきれない思い出とそこから見えるこれまでの自分の姿だったのかもしれません。妻との美しい思い出をずっと胸に抱き、変わりゆく妻の姿を目の当たりにしても変わらぬ愛情で支え続け、それでも最期に救うことのできなかった自分を責め続けてきた兼三郎ですが、このイギリスで世話になった父娘の在り方に触れ、息子家族と本音で向き合うことで、その絆をやっと本物にすることができたのではないかと思います。ラストで、ウサギを追う息子家族と兼三郎の姿に、明子の亡くなった後の新たな家族の形が見えてくるようで、胸に熱く沁みてきます。
主演はリリー・フランキーさんで、多くは語らず、表情と佇まいで魅せる演技が秀逸です。本作は、彼の存在なくして成立し得なかったと感じます。脇を固めるのは、錦戸亮さん、木村多江さん、高梨臨さん、工藤孝生さん、恒松祐里さんら。みなさんすばらしかったのですが、中でも若き日の二人を演じた工藤孝生さんと恒松祐里さんのキャスティングが完璧だと感じました。
これはもっと歳を重ね、子を持つことで感覚が変わるんだろうなぁと思っ...
これはもっと歳を重ね、子を持つことで感覚が変わるんだろうなぁと思った。
自分は息子目線で観ていて、父親の勝手さに同様にイライラしたりもしたが、父は父で迷惑をかけまいとして取っていた態度だったんなぁと(頑固だけど)気づかせてくれる。
父親ももっと頼っても良かったんだろうね、今回の旅で互いに歩み寄り向き合うことができてしみじみ。
出演者のアップがかなり多いのですが、その表情で感情がしっかりと伝わ...
出演者のアップがかなり多いのですが、その表情で感情がしっかりと伝わりました。
リリーフランキー、錦戸亮さん、木村多江さんの演技がすばらしいです。
親子の愛、夫婦の愛、たまたま助けてくれた人との交流、
などがイギリスの美しい風景とともに堪能できます。
泣かせようとしているわけではないのに自然に涙しました。
「親子」「夫婦」の関係性を改めて考えた
リリー・フランキーの「ダメっぷり」がいい感じに表現されているシーンから始まり、エンドロールを迎える頃には、「正面を向いているオジサン」に変わったリリー・フランキーだった。
息子とのギクシャクした関係って、どこの家庭でもあるだろうし、妻が先に逝ってしまう夫婦って稀なことではないし、普段の起こり得ることを取り上げた作品だった。
地味な映画に恒松祐里が花を添える
イギリス映画だったんだ。
地味な映画だけど、地味子ちゃんの登場シーンだけ華やか。恒松祐里と工藤孝生が演じた若き日の明子と兼三郎をもう少し観たかった。(木村多江とリリー・フランキーにそっくり、違和感なし)
子どもには迷惑をかけないと思ってる人ほど迷惑かけてるってことがよくわかった。気をつけよう。
果たして私は大切な人を失くした時に立ち直ることができるだろうか。いろいろとみにつまされる内容だった。
間違いなくリリー・フランキーの代表作!
こんなにヘビーな内容の映画とは全然思っておらず、面食らいました。
リリー・フランキーによる、ちょっとやさぐれた中年オヤジが、
徐々に家族と向き合い、最後には新たな一歩を踏み出していくという、実に前向きな物語なのですが、
そこに行き着くまでの、物語の紡ぎ方が素晴らしいと思いました。
イギリスに渡ってからは、さながらロードムービー的な描き方がされますが、
そこで主人公を助けてくれるイギリス人父娘との出会いが
主人公の心を少しずつ氷解させ、亡き妻がどのような変遷を経て死に至ったのかを
主人公が思いだすという描き方で具体化されていきます。
その内容が実に切なく、しかしながら実にリアルで、誰にでも起こり得ることだということが
観客の心を掴むと思いますし、であるがゆえに、主人公に感情移入もできて、猛烈に感動することができました。
それもこれもリリー・フランキーの演技がリアルだから・・に他ならないと思います。
父の悩みを全部わかっている息子。その息子になかなか心を開かない父である主人公の
心の機微・変遷の描き方が素晴らしいんですね。
父の再生、父子の再生、家族の再生なんですよね。
脇をかためる錦戸亮、木村多江、高梨臨もすごく良かったです。
英日合作ということで、邦画!とは言いづらい作品ですが、
非常にクオリティの高い映画ですので、是非、多くの方に観ていただきたいです。
う~ん…
協調性がなく、
自分勝手で常識がない人間を
見るとイライラするので
自分には合わなかった。
全体的に引きの画が少なく、
顔のアップが多めで、
共感できる部分があれば
話にも入り込めるし、
表情から読み取ろう!と
前向きになれるけど、そうはなれなかった。
あらすじ
愛する妻が亡くなった。
遺言は
「私の遺灰はイギリスのウィンダミア湖へ撒いて」
とにかく、共感できる部分が本当になくて…。
義理の父がこんなんだったらめちゃくちゃ嫌だな
とかはあるけど。
父や息子に共感できたら視え方が変わったのかな。
でもキャスティングは良かった!
若い頃のキャスティングは
雰囲気も含めて似ていたし。
私には刺さらなかった作品だけど、
木村多江さんの演技が素晴らしかったので
観なくてよかったことはない作品だった。
おまけ映像無し
イングランドの自然が美しかった。
自分の父の不器用さに思いをはせながら観てた。
しかし、2回盗む(タコと自転車)のがモヤモヤした。
盗める人と盗まない人は、根っこの部分で違う。
主人公は盗める人なんだと思って観てた。
うちはいつもタコなんだけどな
決して派手ではないが、しんみり、じっくり染みてくる作品。
不器用で自分の気持ちを表現するのが下手な父親。(けど作家…)
あのもどかしい親子の距離感。妻の認知症、妻への思い、そして妻の願いへの贖罪。
リリーフランキーさんの佇まいから滲み出ていました。
錦戸亮さんも久々でしたがやはり雰囲気がある。トイレのシーン良かった。
ラストシーンのrabbit。少し晴れた思いでした。
14 I-4
今作もリリーフランキー見事です
唯一無比の役者になっちゃったね。 そろそろ日本を代表する俳優と称される日も…。
役者を本業としている人たちも本気で精進しないとリリー氏との差がつくばかり。
父と子の複雑な感情は切なくほろ苦くそしてよくあるものだ。 それでも胸締めつけられる苦しさは亡父を思い出させてくれて悪くない。
観終わってとても清々しい。 感謝です。
感情を言語化しない意味
観る前はタイトルが何を指すかわからなかったのですが、ピーターラビットの妹、カトンテールのことでありました。
『ピーターラビット』のコットンテール(カトンテール)が大好きだった妻が亡くなり、ピーターたちの故郷である「イギリスのウィンダミア湖に遺灰を散骨して欲しい」という妻の遺言に従って、イギリスに向かう元英語教師の男・兼三郎の姿を追う作品でして。
妻との出会い、馴れ初め、幸せな家庭、子どもの独立と生まれた溝、妻の若年認知症に全身の痛みと、死……
それを葬儀~遺言受け取り~イギリスの旅、それぞれの途中で思い出し、心が過去に飛ぶ。
もっと妻に寄り添えたのではないか?
何故妻を助けてやれなかったのか?
何故自分は妻を楽にして(殺して)やれなかったのか?
常に自分を責め続け、鬱になり。
息子の自分に対する気遣いや優しささえ疎ましく感じ……
いや、むしろ自分より妻をうまく介護できた息子に男として嫉妬し、マウントと理不尽な八つ当たりをした挙句に、無能な自分の愚かさに自爆する老人をリリー・フランキーが見事に演じていました。
心境を読み取ることが重要で、それをセリフに一切せず、無言の顔のアップから読み取れ…という優しくない作りだったので、意味不明に感じる人も多いかもしれません。
ですが、私はこういう手法の方がしっくりします。
人間って、案外感情を言語化できないんですよ。
過去の取り返しがつかない出来事に対し、やり遂げた満足感も、後悔も、どちらも同時に抱くし、またほかの感情も存在したりする。
下手すると、感情が死に絶えて、何も感じられないし、何も言えないことすらある。
それが人間だと思うんですよね。
面白かった❗️
夢中で観た2時間。父リリーフランキーが妻の骨を撒く為の旅映画。妻の認知症、父の心情、それに向き合う息子夫婦のドラマ。特に認知症にはスポット当てた映画ではないが、その場面は中々リアルで、50代以上の方は自分ごととして観ていたのではないかと思う。考えさせられた場面でした。
最後父の気持ちを知ると理解してあげられたが、それまでは度々苛々して観てしまった。
誰もが思う事だが、やっぱり最期は老衰で静かに逝きたいな。都合の良い話しだが、場所は病院か老人ホームを望んでいる自分です。
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