劇場公開日 2024年3月1日

コットンテールのレビュー・感想・評価

全62件中、21~40件目を表示

3.5綿の尻尾?と思ってたらピーターラビットの妹の名前でした

2024年3月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

なんとなく良さそうな映画だなと直感を信じ鑑賞。
認知症の妻を亡くし、妻の生前に書いた手紙を住職から受け取り、妻の最後の願いを叶えるため、息子夫婦とイギリスのウィンダミア湖に遺灰をまきにいく物語。
リリー・フランキーさんがらしい役柄で、偏屈な親父役を静かに熱演。息子役の錦戸亮さんも良い。
静かな映画で激しくやり合うシーンはほとんどないが、父と息子のわだかまりというか溝が感じられる演出は上手い。
兼三郎の妻との回想シーンが頻繁に挿入され、妻を亡くしたショック、兼三郎の現実を受け入れられない心の様が伝わる。
息子と衝突しながらも、美しい湖の風景の中、ようやく心を通わせるラストにほのかな希望が感じられた。
コットンテールって何かなと思ってたらピーターラビットの三匹の妹の中の一匹の名前でした。

コメントする 2件)
共感した! 11件)
ノブ

4.0助けてあげる

2024年3月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

幸せ

亡くなった妻の最期の願いは、「遺骨をイギリスのウィンダミア湖に撒いて欲しい」というものでした...。《遺骨を撒く》という作品、自分は「川っぺりムコリッタ」や「アイ・アムまきもと」が思い浮かぶんだけど、このテーマを扱うものは意外にもパッと明るいコメディが多い。だけど本作は、亡くなった妻が認知症だったこともあり、胸がじりじりと痛くなるような、なかなかに重い作品になっている。永遠の課題である《延命治療》についても取り上げながら、助けるとは何かと考えさせられる。

キャラ設定、人物描写がとにかく秀逸。
もうそんな歳じゃないのに、孫に対して“いないいないばあ”をやって喜ばせようとする兼三郎。これだけで、不器用だけど心優しい人だと分かる、分からせるのすごい。それに対し、子どもはおじいちゃんを喜ばせるために愛想笑いをする。息子、息子の嫁だけでなく、孫までも自分に気を使っているという状況。虚しくなるんだけど、演出のあまりの上手さに笑っちゃった。そんな不器用で身勝手な父に、息子のトシが何も言わずギュッと抱きしめるシーンもまた、すごくホッコリした。

リリーフランキー、錦戸亮、木村多江。本物の家族に思えるし、3人とも言葉に出来ないほどの演技力。リリーフランキーは自由奔放に動き回っている様子がめちゃくちゃハマっていて、ポスターにもある、大自然の中を自転車で放浪するシーンはこの一瞬のためにキャスティングされたんじゃないかレベルで最高だった。錦戸亮も雰囲気にピッタリで、怒り、寂しさ、苦しさを繊細な顔の演技で見せてくれた。いいなぁ、錦戸くん。木村多江は、背筋が凍るほどリアル。上手い、上手すぎる。呻き声がグサグサ刺さる。葬式のシーン後に惨いシーンがあるため、2度目の方が感情揺さぶられそう。

自然の美しさを映し、生きることの苦しさを描く。地味でどっと悲しくなる作品ではあるけど、あの終わり方には希望が持てたし、エンドロールは余韻に浸りっぱなしだった。イギリス・ウィンダミア湖。本当に美しい場所だ。日本人キャストがそんな中でも浮き彫りになっていなかった。この調子で、海外の監督さん×日本人俳優で沢山映画を撮って欲しいな。

コメントする 1件)
共感した! 9件)
サプライズ

4.0リリーさんの真骨頂

2024年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

あまり期待せずに観に行ったが、期待に反して良作であった。「ぐるりのこと」で共演の木村多江も良かったが、やはりリリーさんの演技に脱帽。映画の尺も丁度良い。そうそう、錦戸さんも素晴らしかった。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
hanataro2

3.0ピーター“ラヴィット”

2024年3月7日
Androidアプリから投稿

悲しい

幸せ

亡くなった妻の遺灰を妻の遺言でイギリスのウィンダミア湖に撒きに行く夫と息子家族の話。

明け方市場でタコを買い、思い出の寿司屋を訪れる様子から始まる現在の話しに、妻との出会いから現在までを回想するシーンを沢山織り込みながら進行して行く。

妻の葬儀の日、住職から数年前に妻から預かったという手紙を渡され、そして少々息子とのやり取りがあったと思ったら、もうイングランド!?

その後も結構肝心なところを観せないところがいくつかあったり、多分自分の不甲斐なさに対する苛立ちみたいな何かを抱え込んではいるのだろうなとは想像させるけれど、それにしてもこういう自己中ジジイなんだろうなと思わせるところが続いたり…。

折角良い話しだし、何から何までみせてくれとも言うつもりもないけれど、もう一歩しっかりみせて欲しかった。

コメントする 1件)
共感した! 25件)
Bacchus

2.0疲れてしまった。

2024年3月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

賞も頂いている映画で、映画レビューもそこそこ高評価のため鑑賞したが……。
アクビばかりが出て、疲れてしまった。
主人公の馴れ初めとか、親子関係とか、全てがモワモワとしていて……。
ある意味、PERFECT DAYSみたいな世界観。
(まだPERFECT DAYSのほうがよかったけど(TдT))
何らかの感想を持って映画館を後にしたい私には、残念な作品でした。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
シャンタル

5.0静かに込み上げる思い出

2024年3月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

淡々と物語は進んでいくのですが、リアルな映像で、役者の演技が素晴らしく、最後は小さな感動を感じる名作のような映画でした。
イギリスの大自然が開放的で、兼三郎(リリー・フランキー)が途中でお世話になるイギリス人のもてなしも温かいですね。
リリー・フランキーの優しい眼差しが印象的でした。映画好きなら何か感じるものがあると思います。
パトリック・ディキンソン監督の才能を感じる作品です。

コメントする (0件)
共感した! 11件)
ゆきとう

2.0若かりし頃の兼三郎と明子

2024年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作品、「怪しいな」と感じつつも上映時間が都合よかったために劇場鑑賞に踏み切りましたが、観た感想は完全無欠の「おなら映画」でした。
スッカスカな脚本を、回想を繰り返し入れ込むことで経緯を小出しにして映画っぽく仕立てていますが、全般ファンタジーな設定と都合のいい展開。回想きっかけに馬鹿の一つ覚えでリリーさんを想いに耽させ、展開によってキャラクターの人格すら変わるのにはもう苦笑を超えて失笑です。
一点、そこに力を入れたのかと思えるほど印象的なのは、若かりし頃の兼三郎と明子を演じる工藤孝生さんと恒松祐里さんが、その後を演じるリリー・フランキーさんと木村多江さんの特徴をよくつかんだ演技なところ。そもそも役そのものではなく、その役者に似せているところは、何なら若手の方が頑張ってるな、とひねくれた感想ですみません。
まぁ私の好みではありませんでした。個人の感想ということでお許しを。

コメントする (0件)
共感した! 12件)
TWDera

4.5泣けた〜!

2024年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

リリーフランキーさん
お見事です

コメントする (0件)
共感した! 5件)
H1DE!

3.0良作だけど

2024年3月5日
PCから投稿

名作「ぐるりのこと」で夫婦を
演じたリリーさんと木村多江さんが
再び。
94分という上映時間、二人の演技の
見事さに地味なストーリーにも
かかわらず、一度も飽きることなく鑑賞。
年齢的にも近いので、共感もあり、何度か
涙も滲んだ。

けれど、脚本に少し難ありかな。
「うーん、それはどうかな」と思う
シーン、エピソードがいくつかあり、
違和感がざらりと残った。
丁寧に作られたいい映画だけに
ちょっと残念。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
高坂圭

3.0介護や

2024年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

延命処置のシーンを見る度に、人間ってままならないなぁと思う。ケアを止めても自然界のようにすぐに死なないし、PLAN75や楢山節考は現時点犯罪。自分の中でも答えはないんですがね・・
リリーさんって本当に特異な役者。演技してるとも見えないのに、似たような役ばかりなのに。やはり佇まいと声ですかねぇ、なんか後引く。
エピソードはこの位の数で丁度良い、せめて地図見てからパクんなさいよ。

コメントする 11件)
共感した! 17件)
トミー

3.0いいストーリーなのに残念

2024年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

リリーフランキーと木村多江の演技は良かったし、色々考えさせられた。
しかし、残念な箇所も多い。
まず、母明子の死の原因は結局何だったのか
はっきりしなかった事とこの作品は結局何を
伝えたかったのかはっきりしなかった事。
親子の修復にも見えるし、病気を抱えた家族との接し方なのかいろんな解釈ができる。
むしろ、はっきりさせた方が良かった。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
ナベウーロンティー

4.5急がば回れ

2024年3月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

自分もそうだったけど、父親と息子というのは関係が難しい。
決して嫌いではないのだけど、どう接していいものか。
2人のやりとりが、観ていて共感だらけだった。

息子にとって母親のあんな姿はかなりショック。夫として見せたくないのもあるし、自分で出来るという兼三郎さんの意地っ張りな性格もあって、どうにも行き違いがもどかしい。
病院行く前に腕を組もうとするシーンは、ちょっとぶっきらぼうな愛情が可愛らしかった。

イギリス行ってからの兼三郎さんは、もはや偏屈じいさん。
はやる気持ちはわかるけど、それで結局遠回りになったり、トシと険悪になったり。
いろいろイラッとくるけれど、なにしろロケーションが美しい。

明子さん役は2人とも似てる。
木村多江さんはホント凄い女優さんだなぁ、観ていて辛くなるほどの熱演。

コメントする 2件)
共感した! 8件)
コビトカバ

4.0小さな旅

2024年3月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

主人公が亡き妻の願いを叶えるべく、イギリスのウィンダミア湖まで遺灰をまきに行く話。
登場人物の少ない家族間の物語で、上映時間94分も良かったです。

妻亡き後、魂の抜けたような主人公。
頑固さもあるのでしょうか、息子の声に耳を貸しません。息子はとても両親思いに見えるし、ものすごい確執がある感じではないようですが、喪失感の大きさからか通じあえません。

父には父の思いがあり、息子にも家族がいて、互いに気持ちを組むのが難しいところがありますが、でも、本当はそれぞれを尊重しているんだなと思いました。
妻との日々を振り返りながらの、家族とわかりあう短い旅ですが、演技っぽくないリリーさんが自然に見え、終盤息子に思いを語るところが泣けました。

コットンテールって何だっけ…と思いましたが、ピーターのきょうだいね。
若き日の兼三郎役の工藤さん、雰囲気リリーさんに似てますね、目がかわいらしい。

*****
・錦戸君久しぶりじゃん…って思ったのが見ようと思った決め手。ドラマ「不適切にもほどがある」も出てたし、今後も楽しみ。
・昔旅行した時、何となくイギリスは緑が濃いなと思っていた。海外はなかなか行けなくなったので、映画で雄大な景色が見られるのが楽しい。

コメントする 3件)
共感した! 18件)
ふわり

3.5愛も秘密も記憶も閉じ込めた、フタリノセカイ

2024年3月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年劇場鑑賞17本目 秀作 65点

コメントする (0件)
共感した! 1件)
サスペンス西島

4.0そういうパターンもあるのか

2024年3月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年劇場鑑賞52本目。
リリー・フランキー演じる主人公が亡き妻の遺言にそってイギリスの湖に向かう話。
リリー・フランキーが冷たい感じがする時の役はあまり好きではないので、最初やだなぁと思って観ていたのですが、最後自分が思っている反対の理由(息子のセリフからも意図的にそう観客に思わせていた)で傷ついていたので少し泣いてしまいました。

リリー・フランキーが自分のこと年だというのはまぁ還暦迎えているので分かるのですが、木村多江ってそんな年でもないだろうと調べたら52で、一緒にするにはやっぱりちょっと無理があったのでは・・・。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
ガゾーサ

4.0父と息子のもどかしい関係

2024年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

幸せ

若年性認知症の妻『明子(木村多江)』を亡くした『兼三郎(リリー・フランキー)』は
その法要の席で菩提寺の住職から『明子』の遺言を渡される。

そこには、幼い頃に両親とひと夏を過ごした
イギリスの湖水地方の湖に自身の遺骨を撒いて欲しいと書かれていた。

故人の願いを叶えるべく
『兼三郎』は息子の『慧(錦戸亮)』とその妻の『さつき(高梨臨)』
孫の『エミ』と共にイギリスに旅立つ。

ここからが{ロードムービー}のお約束、
幾つかの試練が主人公を待ち受ける。

仕事の忙しさにかまけ、
父親と息子の関係はそもそも良好なものではなかった。

それに追い打ちを掛けるように
『明子』の介護の仕方でも対立。

病魔に侵された妻の姿を子供に見せまいとする『兼三郎』。
もっと自分を頼って欲しいと思う『慧』。
抱え込みの問題がここでも起き、二人は更に疎遠に。

自分くらいの年齢になれば
身につまされるエピソードの連続に
観ていても気分は暗くなるばかり。

旅中でも親子の関係はぎくしゃくし、
『兼三郎』は独り湖を目指すが
案の定、道に迷ってしまう。

我々が経験するような目的地にたどり着くことができない悪夢は、
しかし物語りでは、彼を助ける父娘が現れ、
その家で過ごすうちに
主人公の頑な心は次第に解される。

もっとも彼は更に大きな秘密を抱えており
それを吐露することが親子の寛解に繋がりはするのだが。

過去と現在を往復しながら、
ストーリーは静かに綴られる。

作家を目指すも挫折し、
望まぬ英語教師で糊口をしのぐ『兼三郎』の複雑な心境と共に
彼を信じ続けた妻の遺志に何としても報いたいとの思い。

その一方で、目的の為なら小さい盗みを平然と犯す
ややエキセントリックな性格付けは
人間の二面性を見せ付ける。

時として現れる他者への尊大な態度と併せ、
果たして彼にシンパシーを感じて良いものやら
良くないものやら、と。

散骨をする場所の特定に使われる一枚の写真には
幼い『明子』とその両親が仲良さそうに寄り添っている。

とは言えそれは表層的であり、
仕事で多忙な父親は、加えて厳しい人間だったことが『明子』の口を通じて語られる。
それだけ、その夏の思い出が素晴らしかった証左なのだろう。

父親は『光石研』、母親は『真矢ミキ』なのは
エンドロールで確認できること。

誰とも判然としない茫とした一葉の為に
随分と贅沢なキャスティングをするものと感心してしまう。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
ジュン一

3.0うさぎが好きだった

2024年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

兼三郎は妻・明子の葬式で疎遠となっていた息子のトシと息子の嫁のさつき、孫のエミと久しぶりに会った。酒に酔い、だらしない態度の喪主・兼三郎に、トシは苛立ちっていた。坊主から渡された明子の遺言状には、明子が好きだったピーターラビットの発祥地・イギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいという内容だった。兼三郎とトシ一家は、明子の願いをかなえるため、イギリス北部の湖水地方へ行くことにした。そんな話。

うーん、響かなかった。
愛する妻を亡くした夫の喪失感なのかなぁ。父と息子の距離が離れてたのが近づいていく過程を描きたかったのかなぁ。
明子は痛いって言ってたからガンだったのか?認知症と併発したの?明子の最期に兼三郎は何か関与したようだが、それはなんだったんだ?
行間を感じ取れ、という作品は苦手です。
コットンテールがうさぎの事だということがわかって知識が増えたくらい。
イギリスの湖水地方は何度か行った事があるが、イングランドの中では景色が良い方だなぁ、と思い出した。
もう少し北のスコットランドの方が山もあって自然は美しいと思うが、本作とは関係ないね。
リリーフランキーと木村多江の若き日を演じた工藤孝生と恒松祐里はそっくりで違和感なく、完璧なキャスティングだと感心した。

コメントする 3件)
共感した! 13件)
りあの

4.0切ないけど、、、

2024年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

幸せ

とても切ないストーリーですが、予告通りというか、予想通りというか、ひねりはないけど。それでもやっぱり切ない話でした。

リリーフランキーの自然な演技と、綺麗な映像とが組み合わされて、日本映画とはちょっと違う雰囲気。監督が海外の方とのこと。納得です。

リリーさんは凄い役者ですね。
ちなみに錦戸亮はイケメンすぎる。

ただ、日本人では言わないようなセリフがあったり、ちょっと違和感もあります。

いい映画でした。

コメントする (0件)
共感した! 16件)
だるまん

3.0何となくいい話

2024年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

コットンテール(あるいはカトンテール)は、ピーターの3匹の妹たちの名前の一つでもありますが、主人公の美しかった妻の面影を、捕まえられないウサギのふわふわの尻尾になぞらえているのかなと思いました。

本作は題材は良いのですが、兼三郎のキャラクターや行動の理由があいまいで、何だか靄がかかっているように感じました(湖沼地帯だけに)
辛く悲しい出来事があったわけですが、その事が彼の超身勝手な言動や、手癖の悪さ(万引き)や、息子とギクシャクしている事に関係しているのかどうかが分かりませんでした(もともとそんな感じだったみたいなセリフがあります)

美しい風景を期待していたのにそれ程でもなかったのは残念でした。
セリフや展開にん?と思う所もあって、何だかぼんやりした話でしたが、出演者の演技で良い感じにはなっています。特に木村多江さんの表情には惹かれました。

コメントする 2件)
共感した! 14件)
ゆり。

4.0兼三郎にとってのコットンテール

2024年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

予告の切ない雰囲気に惹かれて鑑賞してきました。リリー・フランキーさんの持ち味が際立つ、素敵な作品でした。

ストーリーは、最愛の妻・明子を亡くした兼三郎が、「夫婦で訪れたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨してほしい」という明子の遺言を受け、息子・慧とその妻と娘を伴ってウィンダミア湖を目指すというもの。言葉にするとたったこれだけの話なのですが、慧との衝突と兼三郎のさまざまな回想が、観る者の心を揺さぶります。

不器用で自分勝手だが、妻・明子への一途な愛だけは十分すぎるほどに伝わってくる兼三郎。その一方で、最愛の妻が自身以上に大切にしていた息子・慧とはぎくしゃくしています。おそらくこれまで二人の間を取り持っていたであろう明子が亡くなったことで、二人はこの旅で初めて向き合うことになります。

自分を邪魔な存在だと感じ、息子に迷惑をかけたくないと考えている父。父は自分の世界に足を踏み込まれることを拒んでいると考えている息子。互いに相手を気遣って遠慮していたのかもしれませんが、その思いはすれ違い、いつしか疎遠になってしまった親子。そんな二人が、この旅で初めて互いの思いをはっきりと口に出し、互いの胸の内を知ります。

幼き日に明子が追いかけたコットンテール。この旅で兼三郎が追いかけたコットンテールは、明子との数えきれない思い出とそこから見えるこれまでの自分の姿だったのかもしれません。妻との美しい思い出をずっと胸に抱き、変わりゆく妻の姿を目の当たりにしても変わらぬ愛情で支え続け、それでも最期に救うことのできなかった自分を責め続けてきた兼三郎ですが、このイギリスで世話になった父娘の在り方に触れ、息子家族と本音で向き合うことで、その絆をやっと本物にすることができたのではないかと思います。ラストで、ウサギを追う息子家族と兼三郎の姿に、明子の亡くなった後の新たな家族の形が見えてくるようで、胸に熱く沁みてきます。

主演はリリー・フランキーさんで、多くは語らず、表情と佇まいで魅せる演技が秀逸です。本作は、彼の存在なくして成立し得なかったと感じます。脇を固めるのは、錦戸亮さん、木村多江さん、高梨臨さん、工藤孝生さん、恒松祐里さんら。みなさんすばらしかったのですが、中でも若き日の二人を演じた工藤孝生さんと恒松祐里さんのキャスティングが完璧だと感じました。

コメントする 3件)
共感した! 27件)
おじゃる