隔たる世界の2人のレビュー・感想・評価
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どうせなら『パーム・ストリングス』とセットで観たい、新たなタイムリープものの傑作
舞台はニューヨーク。グラフィック・デザイナーのカーターは知り合ったばかりの女性ペリーのベッドで目覚める。それなりにムードのある朝を過ごしたものの昨夜放ったらかしにしてしまった愛犬ジーターが気になってしょうがないカーターは帰宅しようとペリーのアパートを出て一服しているところで警官に呼び止められる。そつなくやり過ごそうとするカーターだったがタバコの匂いがおかしいと因縁をつけ始めた警官に所持品検査を求められたところで揉み合いになり、警官に首を押さえつけられて窒息して意識を失ってしまう。しかし次の瞬間目覚めるとそこはペリーのベッドの中。妙な気分で同じような朝を過ごしたカーターはまた警官に出くわし殺されてしまう。そしてまた目覚めると・・・自分が同じ朝に閉じ込められていることを悟ったカーターは何度も帰宅を試みるが・・・。
カーターが清々しい朝にタバコを吸いながら聴いている曲はBruce Hornsby & The Rangeの”The Way It Is”。高らかと響く美しいピアノのイントロがカーターの気持ちをこれでもかと鼓舞するも、その後に続く鋭い社会風刺に貫かれた歌詞がその後のカーターの運命を暗示していることに気づいた瞬間に鳥肌が立ちました。
“That's just the way it is
Some things will never change
That's just the way it is
Ah but don't you believe them?”
物語はこのサビが語りかけていることを延々と繰り返すわけですが、その最中ニューヨークの街並みを俯瞰するカットにチラッと映り込むのが昨年5月に警官に窒息死させられたジョージ・フロイドの名前。あの事件以前から延々と繰り返される悲劇がなぜ起こるのか、その真相に辿り着いたカーターの決意がズッシリ重い29分です。
そして本作のテーマを裏打ちするのがエンドクレジット。物語はこれのイントロに過ぎないと言っても過言ではないくらい重要ですので飛ばさないで最後までしっかり鑑賞して下さい。
得をする人生と損をする人生では済まされない
32分間100本勝負
【続けること】
2021アカデミー賞短編映画部門の最有力候補。
Netflix作品。
4月21日、ジョージ・フロイドさんを殺害した罪で、陪審員は速やかに、白人警察官に対し第二級殺人罪の適用を認めた。
量刑は後日改めて言い渡される。
白人警官が黒人を殺害した咎で有罪となるケースは珍しく、訴追もされないことが多いが、第二級殺人罪の適用は、更に画期的なことと、今後の警察官の対応に一石を投じるのではないかと期待されている。
このタイムリープを繰り返す物語の果てにあるのは、一見、絶望だ。
さまざまな試みを繰り返しても、白人警官の黒人に対する殺害の衝動を抑えることは出来ない。
なだめても、逃げても、手を差し伸べても、説明してもだ。
同じ世界に生きても、共有できる価値観がないのだ。
人に命はひとつだけだ。
しかし、この作品で主人公が示したように、いつか来るかもしれない隔たるものがなくなることを期待して、世界は繰り返し、何度も続けるしかないのだ。
それは、何も黒人や、今アメリカやヨーロッパで起きているヘイトクライムの対象のアジア系の人々だけではなく、国籍や人種や宗教や階層を超えて、より多くの人々が、いかなる差別も許されるものではないという思想を社会全体に訴え「続ける」ことなのだ。
絶望的な殺人があるからとかいうだけではなく、差別自体がおかしなことだいう考えを、社会はもっと強い意志で伝え続けなくてはならないのだ。
日本にも、差別は根強くあるではないか。
レビュー
32分だがつまらなかった!!
社会問題を扱うのにループさせるのはどうなのかと思いましたが、ループの使い方はチープですし、特に必要性を感じませんでした。キャストは良くも悪くもなく、オサレな選曲が鼻に付きました。32分ですが他の多くのネトフリ映画のように特に何も得られなかったので、観ない方が良かったです。長編ですが「フルートベール駅で」や「デトロイト」等を観た方が有意義な時間を過ごせると思います。
シンプルなようで考えさせられる
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