配信開始日 2021年4月9日

「【続けること】」隔たる世界の2人 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【続けること】

2021年4月26日
iPhoneアプリから投稿

2021アカデミー賞短編映画部門の最有力候補。

Netflix作品。

4月21日、ジョージ・フロイドさんを殺害した罪で、陪審員は速やかに、白人警察官に対し第二級殺人罪の適用を認めた。
量刑は後日改めて言い渡される。

白人警官が黒人を殺害した咎で有罪となるケースは珍しく、訴追もされないことが多いが、第二級殺人罪の適用は、更に画期的なことと、今後の警察官の対応に一石を投じるのではないかと期待されている。

このタイムリープを繰り返す物語の果てにあるのは、一見、絶望だ。

さまざまな試みを繰り返しても、白人警官の黒人に対する殺害の衝動を抑えることは出来ない。

なだめても、逃げても、手を差し伸べても、説明してもだ。

同じ世界に生きても、共有できる価値観がないのだ。

人に命はひとつだけだ。

しかし、この作品で主人公が示したように、いつか来るかもしれない隔たるものがなくなることを期待して、世界は繰り返し、何度も続けるしかないのだ。

それは、何も黒人や、今アメリカやヨーロッパで起きているヘイトクライムの対象のアジア系の人々だけではなく、国籍や人種や宗教や階層を超えて、より多くの人々が、いかなる差別も許されるものではないという思想を社会全体に訴え「続ける」ことなのだ。

絶望的な殺人があるからとかいうだけではなく、差別自体がおかしなことだいう考えを、社会はもっと強い意志で伝え続けなくてはならないのだ。

日本にも、差別は根強くあるではないか。

ワンコ