「それぞれの死生観を尊重するのは難しい。でも乗り越えると強さに。」ブラックバード 家族が家族であるうちに キッスィさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの死生観を尊重するのは難しい。でも乗り越えると強さに。
不治の病を患い、尊厳死を遂げようとする母、リリー。その最期を見届けようと家族が集結する。ただ、初めから知らされていた訳ではないものの、そのことを知り、それぞれに動揺し、新たな事実が分かると意見も二転三転し、それぞれに葛藤していく姿を描いた作品。
それぞれのキャラクターや立ち位置がはっきりしていて、外国人の顔が同じように思う時があってもストーリーが追えて思いを馳せることができた。ざっと下記のように書き出せるのだし、脚本がいいのだと思う。
リリー:尊厳死を遂げようとする母。自分の決めたこと、自分の好き嫌いがはっきりしていて、時には相手を制止しても突き進むタイプ。
ポール:甲斐甲斐しくリリーの世話をし、周りに合わせつつ空気を壊さないタイプ。
ジェニファー:長女。結婚して家庭を持つ。正義感が強い反面、違うと思ったらヒステリックに相手を追い込もうとする。
アンナ:レズビアンでパートナーの と実家にやってくる。仕事は長続きせず、転々としながら、心の病気を患い自殺未遂で入院歴も。自由奔放なタイプ。
リズ:リリーの長年の親友であり、ポールの愛人でもある。家庭を持っていないことにコンプレックスを持っている。ただ、意見を押し通すようなタイプではなく、リリー家族に寄り添おうとする。
マイケル:ジェニファーの旦那。自己主張はあまりしないものの、空気が読め、周りの意見を尊重しようとするタイプ。
クリス:アンナのパートナーでボーイッシュな風貌。冷静にリリー家族を見つめ、いい方向に持って行こうと然るべき行動をとれるタイプ。
ジョナサン:ジェニファー・マイケルの息子。今どきの若者だが、俳優になりたいことを言えないでいたが、祖母のリリーと話すことでみんなの前で宣言する。
正反対の性格の姉妹も最後には分かり合え、見送る覚悟をする。それは薬物やっていたとか、セックスについても開けっぴろげな一族だけに受け入れるキャパの広さがあったのではないか、と想像する。