劇場公開日 2021年12月24日

「原作未読・テレビアニメ未視聴でも問題なし!」劇場版 呪術廻戦 0 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5原作未読・テレビアニメ未視聴でも問題なし!

2021年12月30日
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鑑賞方法:映画館

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原作未読で、テレビアニメ版を流し見していた程度ですが、甥っ子にせがまれて鑑賞してきました。行きつけの映画館では、最大6スクリーンを使い、IMAXも含めて1日25回の上映スケジュールという力の入れようで、人気の高さをうかがわせます。そして、その人気に違わず、すばらしい作品に仕上がっていました。

本作は、テレビアニメの前日譚となるストーリーで、呪霊化した幼なじみの祈本里香に憑かれ、悩み苦しみ塞ぎこんでいた乙骨憂太が、呪術高専に入学して信頼できる教師や仲間との出会い、陰謀を企てる夏油傑とのバトルを通して、呪術師として前へ一歩踏み出すまでの成長物語です。

テレビアニメの前日譚ということもあり、アニメ未視聴でも十分に楽しめます。序盤で登場人物の会話を巧みに利用して、舞台設定やキャラ紹介もしてくれますので、予備知識なしでもOKです。そして、舞台が整ったところでいよいよ夏油傑が登場し、里香をめぐるバトルが繰り広げられるという丁寧でわかりやすい展開なので、初見でも十分に楽しめます。それでいて、終盤できっちり伏線回収する脚本は、実にお見事です。まあ、七海や京都校メンバーなどもしれっと登場しますが、メインストーリーには直接関わらないので問題ないです。

肝心のバトルシーンも、要所要所に散りばめられ、飽きさせません。高専の同級生、禪院、狗巻、パンダにもしっかり見せ場が用意されており、五条先生にいたっては目にもとまらぬハイスピードバトルが本当にかっこいいです。もちろんクライマックスでの乙骨のバトルは言うまでもありません。

ストーリー、バトルともにおもしろさを盛り立てているのは、間違いなく敵役・夏油傑の存在です。五条の親友でもあり、己の信念を持った存在として描かれ、その人物像が垣間見えるとともに、櫻井孝宏さんが声をあてていることでさらに魅力的な人物となっています。

他にも、緒方恵美さん、花澤香菜さん、小松未可子さん、内山昂輝さん、関智一さん、中村悠一さんら一流声優をずらりと並べているので、キャスティングには文句のつけようがありません。劇場アニメにありがちな人気タレント起用をしないだけで、作品のハイクオリティが保たれます。

ただ、ほとんどの観客が感じたと思いますが、どう見ても「乙骨シンジ」でした。思い悩んで人との関係を断ち切り、一人で塞ぎ込んで、やがて仲間との交流から自分の存在意義を見つけて立ち直っていくという人物設定まで、まんま碇シンジくん!さらに緒方恵美さんが声をあて、「死んじゃダメだ、死んじゃダメだ、死んじゃダメだ!」ってセリフも明らかに狙ってて、そこはちょっとだけヤリスギ感を覚えたので、0.5点だけ減点しました。

おじゃる