「映像美」エンドロールのつづき myshaさんの映画レビュー(感想・評価)
映像美
常に画面が美しい。
光の中少年が遊ぶ草地、父を助けて働く駅のチャイ売りの屋台(ケトルや耐熱グラスなどの雑器が全て可愛い)、家の台所兼食事室は屋根はあるものの半開放のポーチで、そこで作られる新鮮な野菜とスパイスたっぷりの料理(母は美しく料理上手)、日本では見かけない三日月形のキッチン刃物(足指で支えて、刃を立てた状態のところへ野菜を当ててカットする)、各種香辛料を小分けして納めた木の箱、弁当を包む布の深い色、子らを愛し真っ直ぐに指導する教師のいる小学校は植民地らしい西洋風建築、ペンキの禿げた映画館の壁や内部、暗闇を裂いて物語る映画館の光とその中を踊る埃、子供たちが根城にする隣村の廃屋…見どころがあり過ぎて上げ切れない。
口数少なく夫に従うばかりのように見える母の強さ、プライド高く威張ってばかりのだめパパが見せる頑張りにも泣けるが、愛する居場所を失っても打ちひしがれるどころか、そこから新しく生まれる色と光を喜ぶポジティブさが素晴らしかった。
なるほど後に映画を作る人になる訳だ。(最後の方は辛そうだから見るのやめようかな…と思ったのだけど、ちゃんと見て良かった)
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