「母の料理と愛」エンドロールのつづき TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
母の料理と愛
片田舎に住む少年サマイは基本、楽しいことに貪欲です。物語の序盤の様子だと「一匹狼タイプ」なのかな?と思いきや、実は他人を楽しませることが好きで、またサマイの刺激的な提案に触発されて一緒に楽しむ親友達との「廃品と想像力(と、時折の拝借?)」で切り開く遊びに、観ていて自分の子供時代を思い出し懐かしさを感じます。
そんなサマイ、好きなことへの強い情熱と執着から、巧くいかないとき物に当たったり、ややチートが過ぎたりとちょっと心配な点も見せますが、それでも彼を見つめる大人たちはサマイの本気を理解しています。
特にサマイの初めての「師匠」となるファザルとの関係、映写室シーンが印象強く、この映画の紹介にちょいちょい「インド版ニュー・シネマ・パラダイス」というのを見かけますが、それより何より言わずにいられない魅力は、ファザルも夢中になるサマイの母が作る料理、そしてその母親役リチャー・ミーナーが素晴らしい。息子の隠していることに何となく気づいていても、信じてサポートしてあげる優しさで、終盤の展開はすっかり彼女に感情移入してしまいます。
シーンによってはリアルよりも、サマイが見て感じているような幻想的な世界観で表す見せ方も効果的で、サマイの将来に期待しつつ心が洗われるような気持ちで劇場を後にする日曜の午前中でした。
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