「強権的なリーダーよりもマエストロ‼️」クレッシェンド 音楽の架け橋 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
強権的なリーダーよりもマエストロ‼️
この映画では決して楽観的な相互理解は示されない。
マエストロがいくら努力しても、みんなが揃ってのYESには至らない。必ずNOと答える人がいる。
そんなのは当たり前だ、人間だもの…みつを先生でなくてもそう思います。
合同コンサートだって結局は中止。
今の日本の社会の構造的に危ういところは、政治のリーダーも、多くの企業のリーダーも、(たぶん)私を含む多くの一般人も、『起こったら困ることは(どこかでは起こるにしても、自分の身近なところでは)起こらないはず』という根拠のない楽観主義が行き渡ってることだと思います。もしかしたら、楽観的でいられるのは、何か起きたとしても、敗戦だってバブル崩壊だってなんとか立ち直って来れたじゃないか、という妙に開き直った自信があるからかも知れません。コロナに関しても、デルタ株の〝ほぼ収束〟的な経験をしてしまったことで、今拡大中のオミクロン株についても、なんとかなりそう、とか、感染したとしてもまぁ仕方ないか、みたいな雰囲気が一部にあるのは否定できません。
問題はそれがいいか悪いか、という議論ではなく(そもそも社会的心理傾向については、そう簡単にコントロールなどできない)、もしそうだとしたなら、どうしたらブースター接種やその他の今やるべきことについて、その必要性や体制をどう構築するか、いつできるのかがもっと明確に示されることだと思います。
世代を超えて殺し合い憎みあってきたもの同士は、さまざまなわだかまりを忘れることは絶対にできない、という前提に立ったうえで、現実世界において個人が抱える事情とは別に集団同士が折り合いをつけることを学び、実践するしかないのだということが、よく分かる映画です。
折り合いをつける……口で言うのは簡単ですが、実際にはマエストロのような説得力のある仲介役が必要なわけで、今の世界情勢におけるマエストロの役はいったいどこの国が果たせるのでしょうか。
確かに確かに。グレシャムさんがおっしゃっているのは「危機感」のことですね。ドイツ人の不安症はとても有名で色々と書かれているのでそれに引っ張られてしまった、です。