テーラー 人生の仕立て屋のレビュー・感想・評価
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☆☆☆★★★(ちょい甘💦) 簡単な感想。 予告編を観た限りでは人間...
☆☆☆★★★(ちょい甘💦)
簡単な感想。
予告編を観た限りでは人間讃歌の映画だろう…と思っていた。
実際には、映画の前半から中盤にかけてはその様な展開が続いていたと思う。
…でも、、、
映画の後半で実直な主人公と、その仕事を手伝っていた彼女との恋愛模様が描かれて行くに従い、フッとある人物が車に乗って画面に現れた瞬間に「あれ?これどうなるのだろう?」…と。
以降の展開は、スクリーンを見つめている観客の気持ちを遠ざける様に進んで行っている感じに見えた。
観客側が望む「こうなって欲しい!こうあるべきだ!」と言った展開からは少しずつズレて行ってしまう。
おそらくその空気感を察知したのでしょう。突如豹変してしまう(映像での表現は無かったものの)子供の描き方も含めて。
まるで、監督及び関係者側の「そちらが思い望んでいる様な安易な作品にはしないよ!」…と言っているかの様に。
その辺りの要素であり、考え方をどう捉えるかでしょうね。途中までは好ましく観ていたのに、終盤で突然梯子を外されてしまうとゆう違和感。
独特のカメラポジションを多用し、目線による感情表現であったり。足元を巧みに使ったりする編集でリズム感を出す演出等は割と好みでしたが…
ところで、あのオートバイはどうやって調達したん?
2021年10月10日 キネマ旬報シアター/スクリーン2
父権と自由
てっきり人生逆転、ハートフルコメディーかと思うも、違った。
テイラーが仕立てる紳士服はおそらく、父権の象徴なのだろう。
元で従順に、まったくもって従順に人生を送って来た主人公が、
自分自身を取り戻すまでの物語だった。
だからといって派手な反抗期が遅れてやってくるわけでもなく、
自身に絶望する苦悩を乗り越えるでもなく、
淡々と、それが品よく、しかしながら着実に人生の風向きを変えてゆく。
気付けばオーダーをひたすら待つガチガチのテイラーから、
さすらいの移動ウエディングドレス仕立師へと。
そこに絡む隣のご婦人も、さもありなん。
最後の最後、父親が型を取ったスーツを仕立て上げるのか、と思いきやのラストには、何とも言えない痛快、爽快感が過った。
かくして息子は一人前となった。
人生はこれからだ。
そうそう、お隣のお嬢ちゃん、めちゃくちゃかわいかった!
服と共に心も…仕立ます
紳士服の仕立屋さん
経営は厳しく紳士服だけでは…
どんな人にでも
紳士的な振る舞いが
心地よい。
仕立てたスーツはその人を
格好よく見せてくれる
自然と背筋が伸びる
…気分もいい
ず~と気持ちよく観られます
ニコスの佇まいが素敵。
音を見る映画
洗練された道具の奏でる機械音や、
職人の業が織りなすリズミカルな音は、
しばしば音楽のようにも感じる。
冒頭からほぼ台詞(声)は無く静かに時が流れる。
その描写に、妙に引き込まれてしまう。
そしてそれこそが、この映画の魅力。
私は日本語しか話せないので、
海外の映画を見ると字幕を追って
映像の細かな描写や、
俳優の表情の演技を見逃してしまいがちだが、
そこを見逃さずに堪能できるのも評価が高くなるポイント。
寡黙なニコスだけに、音楽は特に重要で
登場人物の心情をよく表している。
自然の音に合わせた楽器の音、
そこからつながるBGMは実によくできている。
音のトーンやピッチの合わせ方が見事で
サウンドコーディネーターは苦労しただろう。
「仕立屋」と言えば、オールドファンは、
ルコントを思い出すだろうが
”どうかそっち方面(ロマンス)へは行かないでほしい”
と思いながら見てしまっている。
そしてそれは”お隣のお嬢さん”のおかげで
コミカルに回避されるのだが、
奇妙な三角関係によってやはりそっち方面へ
行ってしまった。
あの”お嬢さん”のイライラはどっちに対しての
イライラだったのだろうか。
「ニコスを取らないでお母さん!」なのか、
「お母さんを取らないでニコス!」なのか。
そういう心の不協和音を、音による不協和音で
巧みに表現しているところも見どころ。
希望が垣間見えた、お隣さんとの新規事業は
銀行の差し抑えという現実で長続きせず。
それでも「お母さん何考えてるの?」
「あなたのことよ」という
それぞれが着地すべきところに帰り、
”それでも人生の仕立ては続いていく”という
爽やかなラストには好感がもてた。
一言「邦題勝ちかなあ」。
時代は変わった
ビシッと決まったオーダーメイドのスーツそれだけで背筋が伸びてかっこよく見える。確かに今時はなかなかに厳しい世界、スーツが売れないからねぇ。その中で露店を思い付き車も作っちゃう。物作りが好きな私はそれだけでワクワク。見ているだけで楽しくなる。
値切られると辛い、経験アリ。結構材料費だけでかかるり、手間もかなりかかるのだけれど買う方はちょっとでも安い方がいいからと言ってくる。この主人公は売る方はからっきし駄目そうだったので隣人の子が来てホッとした。
隣人の奥様と楽しそうに仕事するのはいいのだけれど、あんなに奥手に見えたのにと思いつつそれは駄目です。
ウェディングドレスって需要があるのねーと思ったけど、最初のやつはちょっといけてないなぁ、新婦の規模とかいうのがあったから敢えて?
寡黙なニコス
時代の流れについていくのは…
とても穏やかな時間を過ごせます
ギリシャといえば、『マイビッグファットウエディング』の印象が強くて、頑固そうなお父さんが、どの言語も起源はギリシャ語にある、なんて言い出さないかちょっと期待して見てました。
全然違うテイストの映画で、仕立て屋としての着こなしや職人としての道具へのこだわり(植木用?と思うほど大きな裁ちバサミで鼻毛を切るところはヒヤヒヤものでした)などが伝わってくる映像が、出来の良い専門のカタログをみてるようで、素人なのに大いに楽しめました。
コロナ禍前には、債務不履行になるのでは、とかEUから離脱?などとよくニュースになっていましたが、実際のところ現状はどうなっているのでしょう。
比較的新しそうなSUZUKIのバイクも使っていたし、大きな混乱がなければ幸いです。
お隣のヴィクトリアちゃんとの微笑ましい交流、仕事を通じての小さな充実感など、背景のギリシャの海と相俟ってとても穏やかな気分で過ごすことができます。
外国の文脈
もっとドラマチックな映画にできたような
踏み出すチャンス
好きです!
終わり方
親子2代で切り盛りしてきたテーラーが借金のため立ち行かなくなり、加えて父親が病に倒れたため、息子ニコスは事態打開のため移動式テーラーを始める。ところが、舞い込んだ注文はウェディングドレス。ニコスは期待に応えようと奮闘する。
ニコスの寡黙でちょっと気弱そうなというか、奥手そうというか、やや頼りない感じは、なんとなく母性本能をくすぐるものがあり、見ていると応援したくなる。また、仕立ての音をBGMに絡めたり、凝ったカメラワークを使ったりする辺りが映画として好ましい。ただ、ストーリーの着地点がよく分からず、なんとなく尻切れトンボのような、え、結局最後どうなったの? みたいな終わり方がスッキリせず、ちょっともったいない。
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