「相手の幸せが自分の幸せに」幸せの答え合わせ J24さんの映画レビュー(感想・評価)
相手の幸せが自分の幸せに
妻グレースと夫エドワードが結婚29年目を迎える直前にエドワードから愛人がいる事を告げられ離婚を告げられる。社会人の息子ジェイミーを交えてこの離婚を3人で受け入れ前に進む物語である。
グレースはエドワードの事を愛してるのは伝わるが、その愛情表現を言葉や行動などで形にして表す事を幸せとする性格である。一方エドワードは作中内ではそういった表現を苦手とするタイプの様に静を好む。夫婦で死衝突が起きた場合も話し合い等からは逃げ時が解決する性格に見える。もちろん29年寄り添った夫婦の為どこかで変わった可能性もあるが、少なくともこの作品内ではこの点では2人は異なる性格、価値観である事が冒頭から伝わる。
その為グレースはぶつかると熱くなると言葉で相手を強く非難したり時には罵倒し手を出してしまう。
一方エドワードは攻撃を受けても堪えてその場から逃げてしまう。
この姿だけを見るとグレースが悪く見えてしまうが、作品が進むに連れてエドワードはなにかと問題と正面で向き合わない様にする姿が見受けられる。夫婦の問題でも息子ジェイミーに大切な事を任せたり当たり前の様に仲介役とさせたりエドワードの問題も作品が進むに連れてみえてくる。
そして離婚を告げる際は1年前から愛人がいてもうグレースとこれ以上いるのは無理だと一方的に告げ家を出てしまう。
当初はグレースは息子に協力を願いエドワードとやり直す事を試みるが時が経つに連れて現実を受け入れ最終的には離婚をのむ。
離婚となれば元夫となるエドワードの存在を憎むグレース。一方エドワードはグレースの存在を哀れに思い友達として今後は関係を続ける事を望む。
最後の最後まで2人の価値観が全く違う夫婦像を目にした。
この作品の面白いところは29年一緒にいた関係にもかかわらず真反対の価値観や考え方が作品が進むにつれて感じ取れるところだ。
夫婦といえど元は他人同士。とはいえここまで違っても29年は続く。良くも悪くもこの重みを非常に作品を通して実感する事ができる。
現実生活においてこういった夫婦のトラブルの中に入ってあれこれ言うのはとても難しい。
この作品だけを見てもどっちが良い悪いはない。どっちも良い面もあれば悪い面もある。離婚の選択においても正しい正しくないも分からない。
ただ一つ言える事は相手の幸せが自分の幸せに繋がってない事だ。互いに自分の幸せを追求してるが相手の幸せが自分の幸せになっていない。
夫婦に限らず人と人との関係において相手の幸せが自分の幸せに繋がる時こそその関係は信頼や強い友情愛情に
繋がるのではないかと実感させられるそんな作品であった。
もちろんその根本には相手を信頼し愛する事から始まるのであろう。逆に言うとエドワードの様にその根本が崩れてしまうと取り返しがつかなくなってしまう。
長年連れ添った夫婦といえど人間関係の脆さを改めて実感すると共に脆いからこそ大切に、そして丁寧に優しく接し合いそれが実った時は固い絆や愛が芽生えるのであろう。
人間関係の脆さと大切さを改めて考えさせてくれる作品であった。