クローブヒッチ・キラーのレビュー・感想・評価
全47件中、41~47件目を表示
(上映されている映画館は少なめですが)わかりやすいし良い内容。
今年64本目(合計130本目)。 ※まだ書いていないのが大量にあるので実質的には70本目くらい。ぼちぼち書いていきます。
この作品、どうも「映画館を探す」で調べると、そもそも論で現在、2館でしか放映されていないんですよね…(理由は謎。そんなに変な映画でもない)。
閉鎖的というほどでもないですが、かなりの田舎が舞台のサスペンスもの。登場人物がそれほど多くはないので、物語の前半から最初に誰が犯人であろうという点は95%推測はつきます。
それだけだと普通のサスペンスものですが、かなりの閉鎖的環境の田舎が舞台なので、ここにさらにキリスト教の教会やボーイスカウト活動(この2つって何らか関係性あるんでしょうか?)が絡むと事情が複雑になり…というひねりが入っています。
日本では、ああいうもの(ネタバレ防止、物語内で、ひそかに保管しているもの)を「正当な方法で所持している「だけ」」であるなら、まぁ白い目で見られてもどうこう言われることは普通ありません(まぁ、道徳的にはかなりまずいですが…)。ただ、そこにキリスト教の教えや閉鎖的環境という問題が絡んでくるとそうもいかなくなります。また、そういうものを「持っているだけ」で、勝手に嫌疑がかけられるわけでもなく(せいぜい、怪しいなぁ、程度でしかない)、この辺は難しいですね…(日本とアメリカの宗教観の違いなど)。
一応、不穏当な表現・描写はありますが、一方で、単なるサスペンスものでもない、という点は結構ひねりが入っていますし、最初にもう犯人はこの人、っていうことがわかるので、そこをどう主人公たちが確固たる証拠をつかんで追い詰めていくか、そういう部分に後半は移っていきます。ここは色々な考え方があると思います。また、他の方のレビュー通り、このような事情のため、TENETのように「時間ずらし描写」が入りますが(後半、ネタバラシをするところ)、それも最低限ですし、それもないと意味不明になってしまうので、それは許容範囲内だと思います(逆にこれがないと、何が何なのか、推測して視聴しろになり、かなり難易度はあがってしまう)。
評価は下記を考慮してフルスコア(七捨八入)でフルスコアに切り上げています。
--------------------------------------------------------------------------------------------
(減点0.1) 単なるサスペンスものという考え方も可能ですが、この映画は上記のように、キリスト教文化やボーイスカウト活動などの文化を知っていないと理解できない点が多少なりともあり、その説明は少なめなのでわかりにくい人もいるかな…という印象はあります。とはいえ、日本ではこういう活動は決して盛んではないですし(コロナ事情で、教会さえ開いていなくてオンライン(youtube)ミサだったりするし…)、それほど深く知識が求められるわけでもないですし、知らないと理解不能に陥るわけでもないので、大きくは考慮しませんでした。
※ ただし、キリスト教独自の結構難しい語彙レベル高めの単語は、他の映画に比べると容赦なく出ます(字幕が丁寧なので、あまり気にはなりません)。
(減点なし/他事考慮)シネ○ート心斎橋さん、「携帯電話の電源はオフにお願いします」とのことですが、全興連の「新しい映画観賞のマナー」の放映の中では「ココアを導入している場合はマナーモードにしてバッグに閉めてご鑑賞を」であり(電源を切ると、ココアは動きようがない)、どちらが正しいのか謎です…(多分後者)。
また、この映画自体はG指定ですが、上映前の「予告編」でR18の映画の紹介(かなりグロテスク。アダルトなのではなく、表現がどきつい)をするのはどうなのか…と思いました(女性の妊婦の方を襲うという趣旨のホラー映画。見に行ったときは男性女性半々程度だったので、予告編といえどもあのグロテスクさだと、結構気持ち悪くする人はいかねない/ほかに他に放映予告作品もあるのに、なぜにR18映画の予告編を入れるのかがかなり謎)。
--------------------------------------------------------------------------------------------
思春期ホラーの傑作!
ポラは濡れていないし振っちゃダメ
信仰心の強い田舎町で発生した「グローブヒッチ」と呼ばれる犯人による連続緊縛殺人が止まって10年、16歳の少年が父親を疑う話。
ボーイスカウトの指導者である父親を持つ主人公が、車の中でみつけた雑誌の切り抜きが基で四面楚歌となり、その出所に疑問を持ち巻き起こるストーリー。
信仰心皆無な自分からしたら、洗脳かとも感じる程の信仰心を持つ背景の中で、疑念の目が犯人の本性を呼び起こし、沈黙を破らせて行く様には期待値が高まる。
そんなワクワクとドキドキなお話しがテンポ良く展開していき…実は、と巻き戻されたのは、そんなの判りきっているのに何で?テンポ乱すだけじゃん!一回目のヤツいらないじゃん!わざわざ説明いりますか?と少し醒めてしまった。
とはいいつつも愉しみながら少し冷静になったところで山場をみせられて、再びストーリーに乗っかって持ち直し!!
「カチッ」っていう件、どちらの心情を考えても堪りません!!
エピローグの後出しは流れ的には気にならなかったけれど、血を流し気を失う程なのに痕跡は?と最後の最後で又少し勿体なさを感じさせられた。
と、演出に難が多々あったけれど、こういう気分の悪いヤツが好きな自分的にはなかなか面白かった。
なかなか衝撃的な展開で…。
クリスチャンのコミュニティ
アメリカ合衆国の典型的な郊外の話なんだろうな。家庭での食事前のお祈り、あれはプロテスタント特有だと思う。知り合いのプロテスタントのお家(ドイツ)でも温かい食事の前は手をつないできまった言葉をみんなで言ってから食事が始まった。近所の人達は互いに知り合い、日曜の昼食後の散歩で彼らと立ち話をして情報交換。
教会中心のコミュニティーは狭い。洗車を子ども達がするのもボーイスカウトもとってもプロテスタント的でアメリカ的な気がした。家庭を大事にする父親。でも狭い地域で活躍するといっても子ども相手。昔の西部劇の時代ではもはやない。だから妻は夫の性癖をわかってたのではないかと思う。
マッチョな風土と女性をターゲットにする連続殺人は関係あると思う。昆虫採集みたいに写真や動画で記録されて保管されてそれを後から味わう。仕留めた獲物を眺めるように。スウェーデンの「ドラゴンタトゥーの女」も同様だった。必ず銃と縄がある。
そういう話に思春期のかわいい男の子が絡むから面倒なことになる。いろいろと関心を持ち始める時期と父親の「趣味」発見が重なってしまった。
タイラーにはあのコミュニティーから出て行って欲しいと私は思った。
父親の素顔
主人公の16歳の少年タイラーは父親が率いるボーイスカウトで精進している。
ある日彼女が父の車からポルの写真を見つけ周囲からヘンタイ扱いを受け孤立する。
タイラーにとってはもちろん自分には身に覚えのないポルノ写真。その真相を突き止める為父親のガレージなどに忍び込み徐々に父親の隠れたそして行き過ぎたSM絡みのポルノ趣味を知ること。
同時に10年前にこの町で起きた十数人の被疑者を絞殺した事件に父親が絡んでるのではないかと疑う。
同じく学校内で変な噂が立ち孤立している少女カッシと父親の真相を追っていくストーリーである。
登場人物が少ない為早い段階で父親が殺人鬼である事は読める。また少女カッシは母親がおらず、母が父親の被害者であることも早い段階で読める。そういう点においては大きな裏切りある展開ではないがこの作品の面白いところはやはり少年タイラー視点から父親を疑い追い詰めていく心理描写がこの作品はとても見応えあり惹きつけられた。
早い段階で疑い父に問い詰めるもやはり父の口車に乗せられまた父の言う事を信じたい気持ちが先行してしまう。
ただ100%疑念が晴れたかというとそうではない。そのモヤモヤする葛藤と父に母を殺されたカッシの存在が彼の正義心を後押しする展開は見やすい。
カッシのサポートもあったとはいえ最後の最後まで父を信じ、殺人犯ではなく父として葬ったところは本来父親が持つべき家庭への責任感を16歳のタイラーなりに果たそうとしたように見えた。
犯人とはわかっていながらも父親とタイラーの身を案じながらハラハラドキドキしながら見れて楽しむことができた。
保守的価値観が生むシリアルキラー
本作の舞台となるケンタッキー州は、キリスト教保守派が多く住む地域を指す「バイブルベルト」に位置する。
いかがわしい写真を持っていただけでとあっという間に噂になり、信仰が足りないとして蔑まされるという。具体的な説明はないけど、本作の小さな町もおそらくバイブルベルトだと思われる。
そんな統率の取れた、言い換えれば抑圧された環境だからこそ、その反動がシリアルキラーを生むというアメリカの暗部を、見事に描いていると言える。もちろん、「信仰=邪」とするのは早計だけど。
人間誰しも知られたくない過去はある。それは友人間、恋人間、そして家族間にもあるもの。その過去が忌まわしきものだったら…中盤で一気に展開が変わり、終盤での決着のつけ方が哀しくて切ない。
全47件中、41~47件目を表示