クローブヒッチ・キラーのレビュー・感想・評価
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疑惑の父へ向ける息子の目
狭いところでぐるぐる。じわじわ怖い
面白かった。最初から最後まで緊迫感がハンパない。
ストーリー展開は、ありきたりな展開になりそうで、少しずつずれていて、不思議な感じ。いい意味で予想外。
それを支えるのが主人公タイラーの、いつも怯えているような投げやりなような、感情のない顔。
彼は、巻き毛の友人のように、心底宗教を信じてるのではなさそうだし、信心深い町での異端児キャシーを嘲るでもなく、ただ家族に隷属している。
連続殺人の真相は、伯父と父なのか、父のみなのか、伯父の事故は自殺未遂なのか父によって仕組まれたものなのか。
暴けば暴くほど、その血を引くタイラー自身も、そのヘンタイの素質があるのでは?と見てる側に思わせる。
そして、始末の様子が最後の最後に回想として示されるが、正当防衛ではなかったこと。その時のタイラーがテキパキ生き生きしていることにぞっとする。
タイラーとキャシーの推理くらいで真相にたどり着くのに、迷宮入りしてた地元警察の無能さからすると、おそらくこちらもこのままになるんだろう。そして疑われずに健気な人として生きていくんだろう。
なかなか後味悪い映画でした(ほめてる)
変態って褒め言葉だと思ってた。
少し前だがボンテージファッションとかソフトSMなんて言葉が軽々しく飛び交っていた時代があった。大概は本格的なフェチとは違い、表面的で詳しい事をひけらかす様な感覚だった。
自身ファッションアイコン的にベティペイジの写真やら自伝やら魅了された。
そんな流れから、男性は変態なんて言われたら褒め言葉みたいな風潮もあったと思う。
当時は喜んじゃうからあえて言わない様にしていた。
そんな時代を経験したからなのか、それっぽい写真だけで学校中大騒ぎなんてちょっとビックリしたったが、保守的な地域って設定なのかと納得もした。
閉鎖的な地域での事件ってよくある設定ではあるが、ザセルとかブルーベルベット並みのオーバー気味な狂気に満ちた表現は見応えがあったし、行き過ぎちゃった人の頭の中は興味深い。
心の闇を描くのと対照的に、真っ直ぐで強さを持った息子が清々しかった。
秘密は触れない方が…
公開してる劇場ほとんど無い映画(笑)
しかも、公開期間一週間
予告編から、見たかったので😁
タイラーと父親は、ボーイスカウトで、家族で熱心に教会に通い、友達も宗教の教えが絶対という感じ
この辺りの考えがまず、アメリカっぽいなぁと思いつつ
良い父親のイメージが、強く描かれるほど、犯罪とのギャップが出てくるものの、秘密は沢山ある感じ
その秘密に気付きだしてからは、家族を信じたい思いで、否定するものの、
やっぱりかって、感じ😅
登場人物少ないから、犯人は疑い無いんだけど、もしかしてって…見れたので面白かったし、
別視点で、同じシーン見るので、整理しやすかった
ラストは、2人の秘密的な感じでもあり、犯罪が続くんじゃないかと思わせる感じ😅
変態哀歌
何とも言えない不完全燃焼感…
アメリカの小さな片田舎で起きた、〝未解決〟の猟奇連続殺人事件の犯人が、家族や周囲からの信頼も厚い父親なのでは?…というストーリー。
あらすじや予告編を観て、かなり期待が高い作品だったのだけど、蓋を開けてみれば始まるや否や父親が犯人なのは誰が観ても一目瞭然で、サスペンス要素はまるでなし…
『自家用車のダッシュボードに卑猥なSMポルノ写真の切抜き』『庭の父親専用納屋に監禁され縛られた女性のポラロイド写真』『自宅地下の隠し部屋に被害女性たちの免許証の束』と言う具合に、息子にいとも簡単に決定的な証拠を見つけられるというマヌケっぷり…笑
息子からの疑いの目を薄々勘づいている親父殿の逆襲も何か中途半端…
まぁそうでしょうね!という、予想通りの展開と不完全燃焼なモヤモヤした終わり方…
逆に、10年間未解決だったことの方がミステリーだわ!笑
タイトルなし(ネタバレ)
モヤモヤが残り
重たさを引きずる映画
犯人にとっては宝物(?)の
証拠品を燃やしてしまったから
新たな宝物を収集したくなったのか?
母親はどこまで知っていたのか?
夫が苦しんでるのを知っていながら、
なぜ1人残して里帰りをしたのか?
襲われた女性はどうなったのか?
警察には通報しなかったのか?
気を失っていて
タイラー達には気づかなかったのか?
タイラーは父親を信じているからこそ
真相を知ってスッキリしたかったのだと思うけれど
父親の領域に踏み込まずにいれば
この先もずっと平穏な暮らしが
続いていたのか?
父親の名誉と残された家族を守るため
若くして
ずっしりと重たい十字架を
自ら背負ってしまったタイラー
果たして、一生背負い続けていけるのだろうか?
父の意外な一面は少年を大人にする
中学生の頃、父親が隠していた洋モノのポルノビデオを見つけたことがある。しかも無修正。父のことは真面目なカタブツと思っていたからひどくショックを受けたことを覚えている。でも、父も一人の男なんだなと認識したし、同じ男として共感してしまったことも事実。それを自分が見つけてしまったことは内緒にしたまま父は亡くなった。それでよかったと思う。
そんな思春期時代の記憶を思い出した本作。それくらいの年齢の子どもは父親の存在ってまだまだ大きいし、逆らえなかったりする。そんな絶対な存在の父が連続殺人犯なんじゃないかという不安やドキドキが伝わってきた。父親の秘密がわかった後もキチンとドキドキする展開が残ってて、ラストもなかなか秀逸。緊張感が最後まで持続する素晴らしい脚本だった。
サスペンスとしてだけでなく、少年の成長物語としても面白い。父親の意外な一面を知るって、少年を大人にするんだな。洋モノポルノを見つけた話と一緒にはできないけど!
【ヒントを読み解く/伝統的なアメリカの白人社会】
サスペンス・スリラー作品という位置付けだが、サスペンス感もスリラー感も抑え気味で、実は、そこが重要な点ではないのだと気付かされる。
これは、アメリカの田舎の白人カトリック信者が大半を占める伝統的なコミュニティの話しだ。
作品に有色人種は出てこない。
伝統的なカトリック信仰が優位で、意にそぐわないものは異端扱い。
ボーイ・スカウトをコアにした男性が集うことの多い男性中心コミュニティ。
家庭は典型的な父権主義。
そして、仲間内の恥は隠ぺいするが、これは臭いものにはフタをするというのとは異なり、当事者はずっと社会の重要な一員であり続けるのだ。
多くの種類があるロープの結び方は、コミュニティを縛りつける掟のメタファでもある。
明らかになる性癖・幼児性。
暴かれる真実。
対象が、ある一定以上の年齢の女性とだったり、太った独身女性であることも、この歪んだ男尊女卑の社会を表しているのだろう。
しかし、真実は、また隠され、表沙汰になることはない。
こうして、アメリカの田舎の伝統的白人コミュニティはやってきたのだ。
そして、これからも変わることはない。
過剰なサスペンス感だったり、スリラー感は極力排除され、こうしたことを考える作品なのだと思う。
保身とはホラー紛いの人間の業の行き着く先・・・なのか?
サイコ殺人ホラーかな?と思いきや違いました。これはそれよりも怖い「人間の業」のお話でした。「保身」、「保守」のために受け継がれる「業」です。やはり人間って怖い。
期待を裏切る展開では有りますが、僕は想像もできない「保守の世界」「敬虔な信者の世界」ではこのような展開は考えられるのかもしれません。守るべきものが明確にある場合、何をしてもいいや!って感覚になるんでしょうね。命より何よりも「あるべき今を守る」・・・あれ?どこぞの国の某運動会の開催是非の話と似てるなぁ。平気で「虚意発言してました」って言った某国の元首相みたいだなぁ。
そう、人間の「保身」が一番恐ろしい。自分が大事。自分の生活が、家族が一番大事。それ以外はどーでもいい。行き着く先がこの世界なんでしょうね、本作で描かれる世界。嘘をつき、丸めこめ、見て見ぬ風呂をする世界・・・数人の犠牲の上で保たれる平和・・・意味あるのかな?なんてことを提示する作品です。想定とは違うお話ですが、楽しめました・・・・・・。
が!!!!この作り方はどうなんだろう?
物語としては面白いのに、この全体的なテンポの悪さは何だろう?
再現ドラマやりすぎなんじゃぁないかなぁ?もっとゾクゾクポイントを絞った方が良かったんじゃないかな?親子関係に。どう考えても父親の頭の中はクレイジー。もっと「守るための狂気」を見せてほしかった。具体的なのは性癖描写だけなんだもんなぁ。そこに気持ち悪さ怖さを求めても、お話の主題がそこじゃないから、チグハグしてて拡散してるんですよね。どうにもそこが好きになれなかったんです。犯人探しやラスト近くの「カチッ」は読めてしまうので、人間の業のお話なんだから、もっともっとヒタヒタと怖がらせてほしかったですね。
で、これはしょうがないのですが・・・この思春期ものって僕は苦手ですね。やっぱ。16歳チェリーボーイの浅はかさとか、安易さとかが邪魔して乗れないのです。残念すぎる感じが。イライラしちゃう。あぁ、おじさんなのです、僕は。
それと、キャシーの気持ちも理解に苦しみますし、「え?それバレるでしょ?」みたいな種明かしが揃っていてちょい気分盛り上がらないんです。
ただ、なかなか無い切り口の映画ですね。
つまり神は、常にドアを開けていて、入るか否かは我々次第です。
かつてあった連続殺人事件。おそらく殺人鬼は、その用心深さゆえに、周囲にその"性癖"は隠し通していただろう。だから事件は未解決だったのだ。そして些細な変化(タイラーの態度、鍵、)にも容易に気づくのだ。その犯人が父ではないかと疑う息子タイラーと、疑われた父ドンの、静かで周到な駆け引き。タイラーは、ドンを疑い、違ってくれとすがる気持ちで惑う。それが確信に変わったあとの行動と結末の意外性。タイラーの行動は衝動的だったのではないか?根底になる父への愛情が、そうさせたのではないか?
幸せそうなキリスト教徒らしい家族の団らん。今は何事もない穏やかな田舎のコミュニティ。・・・それは、終始こわれることない。この事件が結末を迎えても。つまり、いま自分が暮らしている生活にも、これと同じ闇があるかもしれない。人に言えない性癖のやつならいるだろう。家族に隠し持っているものもあるだろう。殺人鬼はいずとも予備軍ならいくらでもいるだろう。そして、"神の開けたドア"に入ることを拒み、罪を十字架のように背負って生きているやつもいるだろう。そいつは自分の人生を捨てた覚悟のはずだ。たぶんそれゆえに、周囲からは、"慎ましいリーダー"のように見られるのだ。
知るべき真実とは。
10年ほど前まで猟奇的な連続殺人が起きていた町で暮らす主人公タイラー。父の車から怪しい写真が見つかったことから、実は父こそが犯人ではないかと疑うようになり・・・といった物語。
父のドンはボーイスカウトの隊長(?)を務めており、家族との関係も良好。息子にガールフレンドが出来たと喜び踊る一家・・・良い家族じゃないか。
それでも、疑心を拭いきれないタイラーはキャシーと協力しながら真実を探求していき、そして・・・。
古風な効果音ともの寂しげな町の空気感で雰囲気はグッド。
まだ10代半ばのタイラーの、真相を知りたい想いと、直視したくない現実の狭間で揺れ動く様子に胸が痛む。
成長物語・・・とは違うけど、揺れる想いの傍ら、小さな決意が垣間見えるシーンはどれもタイラーを大人の表情に近づける。
そう、ノラにだって家族がいたのだ・・・
そして迎えた山場。
哀しく響く乾いた音は決別の合図か?
信頼と裏切り、ささやかな願いと虚しさの詰まった名シーンだった。
考えてしまいますね~。
最初の写真を見つけてなければ・・・知らぬが何とかと言いますが、この結末ならばどっちが良かったのだろう・・・観た皆さんはどう思ったでしょうか。
重々しい塊がズシンと心に残るような作品だった。
それと、免許ばかりじゃなくて、もうちょっとエグいモノが発掘されて欲しかったかな~。それこそ図面通りの・・・。
別にサイコな描写が好きなわけでは無いけれど、そこら辺のドキドキをもうちょっと味わわせてくれれば、更に高評価だったかも。
怖いというよりも感心させられる作品
面白かった。ホラー映画だろうと思って鑑賞したのだが、そうではなくて、父親がシリアルキラーではないかと疑問をいだいた息子の勇気ある行動の物語であった。
とはいっても気の弱い真面目な16歳の少年で、キリスト教原理主義の町での話だから、できる行動には限りがある。加えて身内にシリアルキラーが出てしまえば、残された家族は後ろ指を指される。ましてやキリスト教原理主義の町である。食料調達もままならないだろうし、家を燃やされるかもしれない。
少年と少女の追求は遅々として進まず、途中で証拠を失ってしまう間違いも犯しながらも、徐々に真相に迫っていく。本当のことを知ることはとても恐ろしい。しかし知らなければ、この先嘘を吐き続けることになるかもしれない。少年は迷い途方に暮れるが、明晰な少女の言葉に導かれるように行動し、ついには真実と向き合う。そして決断を迫られる。
少年の選択に感心した。少年には母親と妹がいる。彼らがこれからも安全に暮らしていく方法はひとつしかない。明敏な少女は一瞬にしてそれを理解し、少年とともに最後の片付けを行なう。
主人公の少年タイラーを演じたチャーリー・プラマーは名作「荒野にて」でのひとりでの演技もよかったが、本作では人との触れ合いの中で、恐怖、わだかまり、欲望、愛情といった感情が入り混じった複雑な表情が素晴らしかった。
対して父親役のディラン・マクダーモットの存在感がいまひとつ。もっと底知れぬ力強さや滲み出る悪意などを出して、タイラーを肉体的にも精神的にも追い詰める恐ろしい父親を演じてほしかった気がする。
当時23歳のマディセン・ベイティだが、十代後半の少女の役も難なくこなしていた。この年頃の少女は、同じ年頃の少年にとって自分のキスがどれだけの力を持つかをよく知っている。落ち着いた、いい演技だったと思う。
グロいシーンはないので安心して観られる。物語を冗長に陥らせない演出がとてもいい。次から次へと展開していくので、目が離せなかった。少年と少女の行動と決断が見事で、怖いというよりも感心させられる作品だった。
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